9月8日、1年ぶりの一般質問です。
 9月議会冒頭、白井市長の2期目への出馬表明をうけて、4年間の白井市政の評価をめぐって、各会派が質問にたちました。
 私は、日本共産党議員団の最後の質問者として、市長の政治市政について聞きました。質問の要旨を紹介します。
(答弁は、正式の議事録でなく、メモによる要旨ですから、若干違いがでる場合があります)
2006年9月市議会 一般質問(9月8日)
  武庫川の治水について
  住民税フラット化の影響について
  市長の政治姿勢について(2期め出馬表明)
武庫川治水と水害防止対策について

1、武庫川流域委員会の提言にたいする市長の評価は

2、公共施設に洪水貯留対策を

3、環境、まちづくりに配慮した河道対策を

4、早期に武庫川堤防の補強を

5、水害に対応した避難所に

6、学校校庭を利用した内水対策を

住民税フラット化による育成料軽減を

市長の政治姿勢について(2期目に挑戦するにあたって)


1、国の悪政に、市民の立場で「ノー」を

2、財政と福祉のバランスがとれていたか?

3、「さらなる改革」とは? 住民福祉に重点を

4、経営再建プログラムと新たな財政再建策との違いは?


 日本共産党議員団の辻おさむです。
 私は、武庫川の治水問題、住民税フラット化と子育て支援の問題、市長の政治姿勢について、質問してまいります。

1、武庫川治水と水害防止対策について

 まず最初に、武庫川の治水と水害対策について、お聞きいたします。
 今年の梅雨は、各地で豪雨による被害がたくさん起こりました。
 地球温暖化による異常気象にたいする危惧は、現実のものとなりつつあります。
 尼崎でも、8月22日の突然の集中豪雨により、床上浸水67件、床下浸水221件、道路冠水58個所という被害がでたところです。
 被害にあわれた方々にお見舞いを申し上げます。
 また河川の氾濫については、平成16年(2004年)10月の台風第23号により、兵庫県豊岡市などを流れる円山川、出石川の氾濫が記憶に新しいところです。
 将来にわたって市民が安心でき、安全なまちが望まれますが、そのためにも災害対策はぜひとも必要だと考えます。

 1、武庫川流域委員会の提言にたいする市長の評価は

 さて、武庫川の治水について、さる8月30日に、武庫川流域委員会の提言がまとめられ、県知事に提出されました。
 武庫川流域委員会は、兵庫県が計画した「武庫川ダム」にたいして、多数の住民の反対の声があがり、県知事が「ゼロベースからの見直し」を表明したことから、2004年から2年間の期限で設置されたものです。
 武庫川流域委員会への兵庫県の諮問は、
 @ 近年の異常気象に見られる集中豪雨などにより、河川改修やダムだけでは十分対応できない水害が発生している
 A 97年の河川法改正により、河川環境の整備と保全が目的に加えられるとともに、地域の意見を反映した河川計画制度の導入がはかられたこと 
 B 県は河川整備のあり方についての合意形成の新たな取り組みをおこなうとともに、総合的な治水対策についても検討をすすめ、ゼロベースから武庫川水系の河川整備基本方針を策定するというものです。
 委員25名のうち10名は公募によるものです。住民と専門家、河川管理者である兵庫県が一緒になって、2年半にわたって200回の会議、1000時間を超える審議を行ってまいりました。
 
 流域委員会では、「川の中だけで治水を考える発想から脱却し、洪水が川に流入するのを抑制する流域対策をはじめ、都市の側でも河川への流出を抑制する手立てを考えるほか、万一、川からあふれた場合に備えて『まち』の側でも洪水に備えた対応をとっていこう」という「総合治水」による計画づくりが本格的に取り組まれました。
 そして「今後30年間の整備計画では新規ダムを位置づけない」という結論をだしました。
 これに先だち、本年7月10日、第46回武庫川流域委員会で、流域7市のヒアリングが行われました。市長が直接、出席して意見を述べたのは尼崎市だけであり、市長の積極的な姿勢に敬意を表するものであります。
 
 そこでお尋ねします。
 白井市長は、尼崎市の見解として、新規ダムによるのではなく、流域全体での総合治水をすすめようという流域委員会の方向を支持されました。いまでもその意見に変わりはないのか、改めて、お聞きいたします。
 

(答弁)
 武庫川流域委員会は、多様な資料を収集、分析され、また市民的な議論を積み重ね、河川行政の範囲にとどまらない武庫川づくりの将来像と地域づくりへの提言をまとめられました。
 提言では、流域全体でさまざまな対策を「総合治水」として全面的に取り組んでいくとしており、既存ダムの活用など、まずは今あるものを最大限有効に活用していくことを柱にしています。
 こうした武庫川流域委員会の提言の考え方は尊重されるべきと考えております。


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2、公共施設に洪水貯留対策を


 さて、武庫川の河川対策で基本となる河川整備基本方針における計画規模として、100年に1度確率の洪水に備える、これまで観測されたなかで最大であった2004年(平成16年)10月の台風23号のパターンを100年確率に引き伸ばして換算した、毎秒4651トン(4651?/c)を基本高水として採用しました。
 「限られた時間内に達成できる目標を」ともっと低い数値を主張する議論もありましたが、結果として毎秒4651トンにきめられました。
 
 そして、この約4600トンの流量を、「流域対策」「河道対策」「洪水調整施設」にわけて対応していくことを決めました。
 「流域対策」として111トン。雨が武庫川に一気に流れ込むのを、学校、公園、ため池、水田、防災調整池など、流域全体で押さえ込もうという対策です。
 次に「河道対策」=河そのもので3700トンに対応する。
 そして「洪水調整施設」。これは、「流域対策」と「河道対策」では、対応しきれない約800トン分を、現在ある利水ダムを治水にも活用することもふくめ、遊水池やダムで対応しようとするものです。すでに、神戸市にたいし千苅ダムの転用について流域委員会が申し入れています。
 
 「流域対策」は、流域委員会がもっとも重視した問題です。
 学校の校庭、公園での一時貯留、各戸での雨水貯留や住宅敷地内での雨水浸透対策、大型店、公共施設など、大規模駐車場や住宅団地の棟間での貯留、大規模開発予定地や未利用用地などの活用などであります。
 
 そこで質問です。今後、建設される公共施設にこうした方策を進めていくつもりはあるのか、お尋ねします。

(答弁)
 本市は、武庫川の下流に位置することから、直接、注ぐ河川はな<、流域面積に占める割合も0.3%と僅かであります。
 したがいまして、流域対策そのものは、上流の自治体に負うところが大きいのが実情でありますが、水害を防ぐための内水対策として、これまでから雨水流出抑制型のまちづくりを進めてきたものでございます。
 これまで、学校や公園は避難場所に指定してきており、雨水貯留についての課題が多いのが現状でありますが、今後建設する公共施設での治水対策につきましては、関係部局が協力するなかで幅広い観点から、そのあり方について検討して参りたいと考えております。


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3、環境、まちづくりに配慮した河道対策を

 次に、下流域、中でも最も河口近くに位置する尼崎にとって重要なのが、「河道対策」=川そのものに、どれだけの水をスムーズに流すかという問題です。
 ここで問題になったのは、現在の武庫川にどれだけの流下能力があるのかという点です。
 下流でもっとも流下能力が低いのは、河口から3キロメートル当たり、阪神電車から旧国道のあたりです。一番水が流れにくい、つまり、溢れやすいということです。しかし、兵庫県では、この3キロ地点だけ、データがない。ないのか出さないのかはっきりしませんが、とにかく資料がないので、「今後もデータをとって、検討していく」ということにしています。
 この地点の流下能力については、試算によって800トンの差が出ているんです。つまりダム1個分の誤差がでているわけです。この点は重要ですから、尼崎市としても、兵庫県にたいし、しっかりしたデータで、正確な対応を申し入れられるよう要望しておきます。
 
また、流下能力を向上させるため、@河床掘削、A低水路の拡幅、B高水敷の切り下げ、C引き堤、D堤防のかさ上げが考えられていますが、県は、堤防のかさ上げ以外はすべてやるといっています。

 低水路の拡幅と高水敷の切り下げで対応するとすれば、高水敷が狭くなります。高水敷、いわゆる「河川敷」は、現在、グラウンドやランニングコース、憩いの公園として多くの市民に親しまれています。面的利用が制限されることになれば、まちづくりにも関わってくる問題です。
 しかし、違う方法で流下能力を高める方法もあります。たとえば、阪神電車の南にある潮止め堰や、床止めを撤去すれば、流下能力は向上するし、鮎などの魚の溯上も回復しますし、土砂が下流に流れることによって、干潟が再生されるなど、河口部に豊かな自然が生み出される可能性も出てきます。

 そこで質問します。河道対策について、環境回復や、まちづくりの観点から、潮止め堰や床止め撤去などの方法を求めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

(答弁)
 床止工や潮止堰は、河床を安定化させ河道勾配を維持したり、塩水を遮断し、地下水への塩分浸入を防止するなどの目的で造られております。
 武庫川流域委員会においても、床止工や潮止堰の撤去につきましては、生物の生息環境への影響や治水安全上への影響など、良い面、悪い面を含めてどのような影響を及ぼすかについて、専門的な立場から十分議論する必要があると提言されているところでございます。
 したがいまして、床止工や潮止堰の撤去につきましては、今後、慎重に議論する必要があると認識しております。

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4、早期に武庫川堤防の補強を

 次に堤防強化の問題です。
 古来、武庫川は暴れ河として知られています。武庫川のほとり、旧国道のすぐ南にスサノオ神社があり、河が静まってほしいとの先人の願いが伺えます。
 武庫川の下流は約9キロメートルにわたって天井川になっています。水面が、周辺の地域より高く、決壊すれば、致命的な被害を受けかねません。
 現在の堤防は、豊臣時代に築堤され、大正8年から昭和3年にかけて河川改修がされました。しかし、もともと、武庫川の土砂をさらってその土を積み上げた堤防にすぎません。阪神大震災で、大きく亀裂が走ったり、痛んだことも忘れてはならないことだと思います。武庫川流域委員会でも、治水対策の大きな重点が、この堤防強化にあるとしています。
 6月に配布されました尼崎市の「防災マップ」は、大庄地域の一部に水深5メートルと記載した部分が「2〜3メートル未満」と訂正されましたが、それでも2〜3メートル、1階の軒下まで水につかる深さです。武庫川沿線の地域はゆうにおよばず、大庄地域、本庁地域の大半が、1〜2メートル地域、被害は、6行政区すべてに及んでいます。
 ここで重要だと思うのは、流域委員会が指摘している「堤防強化は、洪水調整施設の有無とは関係なく推進されるべき」だとしている点です。
 つまり、ダムがあっても、なくても、堤防を強化することが必要だという点です。一昨年の豊岡・丸山川の堤防決壊などが、記憶に新しいところですが、ダムがあっても決壊は起こる、かえってダムがあることで警戒心が薄れ、災害への備えがおろそかになることが被害を大きくすることも心配されます。
 
 兵庫県の計画では、引き堤=つまり、堤防を川の外側に移動させて川の断面広げる対策をする場所は4箇所あり、甲武橋南の西宮側、上武庫橋と名神高速間の尼崎側、成文小学校あたりにある1号床止めから国道43号までの西宮側、臨港線南部橋あたりの西宮側です。
 流域委員会の提言では、堤防の幅を50m程度の盛り土にする「補助スーパー堤防」が提案されています。これはなかなか大変な提案です。堤防の沿線50メートル幅の地域には多くの住宅があります。また、阪神電車武庫川駅より南の西宮側ですが、ここには阪神電車の武庫川線があります。これを動かす、いじるとなると、武庫川駅がどうなるのか、といった問題も出てきます。商店街も近くにあります。大庄のまちづくりにとって大問題です。

 そこで質問です。
 堤防の強化は、必要だと思います。市長も強く要望されているところです。しかし、その方法によっては、まちづくりに大きな影響を与えます。補強にはいろんな方法があると思いますが、もっと安くても効果のある方法、早くにできる方法を要望すべきだと思いますが、市長の考えをお聞かせください。

(答弁)
 本市におきましては、市域の約30%がゼロメートル地帯であり、武庫川が決壊しますと壊滅的な被害を受ける恐れがあることから、従来から兵庫県へ堤防強化について要望を行ってまいりました。
 また、本年フ月に開催されました武庫川流域委員会においても、堤防の強化工事を実施してほしいとの意見表明を行ったところでございますが、議員ご指摘のように費用対効果も考慮し、早期に実施可能な対策でなければならないと考えております。
 こういったなかで、兵庫県では今年度より詳細調査を行い、対策が必要な箇所から順次工事着手すると聞いております。


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5、水害に対応した避難所に

 次に、危機管理の問題です。
 どんなに補強しても、堤防が破れない保障はありません。そのときどうするかの問題です。
 
 水深1メートルというのは、大人の腰までつかる深さです。2メートルでは、1階の軒下までつかります。とくに堤防の近くは、決壊したら、あっというまに水につかり、しかも2〜3メートル地域は、堤防の近くに位置しています。高齢化の著しい地域でもあります。尼崎市が指定している避難所は、学校などが多いのですが、とてもそこまで逃げる余裕があるのだろうかと心配です。流域委員会では、街区やコミュニティ単位の避難場所、近隣のマンションなどとの連携、日常からの避難サポート体制、さらに、2階、3階に避難ができ、「逃げなくてもいい住宅づくり」などが提言されています。
 
 尼崎市の避難所の多くが学校ですが、水深1〜2メートルでも、避難所として対応しているのかどうか疑問です。避難所が水につかったら、どうしようもない。
 また、明倫中学校跡地に市営住宅が建設されますが、住民の意見で、避難所ともなる集会所は、3階以上にしてほしいとの要望がありました。浸水を心配しての意見です。
 
 そこで質問です。学校や公共施設は、水害時の避難所として、十分対応できているのかどうか、お答えください。

(答弁)
 災害時の指定避難場所は、市民の御自宅からできるだけ近<の周知された施設で一定の規模等を有し、かつ、継続して使用が可能な施設であるとともに、避難者に対しまして災害情報等を迅速・的確に伝達できる機能を有する施設であることが求められることを踏まえまして、本市は市立学校等の80箇所を避難場所に指定しております。
 議員御指摘の台風等により河川の堤防が決壊し浸水が予想されるような場合は、指定避難場所の2階以上を一時的に使用して対応することとしております。
 一方、地震による津波が発生した場合の一時避難場所といたしましては、市南部地域に指定避難場所とは別に津波避難ビルを2箇所指定しております。
 しかしながら、そうした中にあっても指定避難場所等への避難が時間的に困難な場合は、地域内の中高層の建物に緊急的に一時避難していただくといった対応も必要となります。
 今後、指定避難場所等の周知に加え、このことについて引き続き、地域の協力を得ながら対応してまいりたいと考えております。


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6、学校校庭を利用した内水対策を
 
次に、内水対策です。
 武庫川流域委員会の提言の中で、流域対策の一つとして、学校や公園での一時貯留が言われています。敷地内に降った雨をグラウンドにあつめ、ピーク降雨をカットするオリフィス構造で30センチまで一時的にためようという内容です。
 「オリフィス構造」というのは穴あきダムの小型版で、少ない降雨量はすべて流出するけれど、一定量を超えた分は溜め込むというものです。これは、内水対策としても、有効であると指摘されています。
 8月22日の集中豪雨では、床下・床上浸水の被害がでましたが、聞くところによると、尼崎工業高校から流れ出た水で道路があふれ、冠水したということであります。学校の敷地に降る雨の量は大変なものです。
 かつて長洲小学校でも同じようなことがあり、学校敷地の周りにブロックを一段積んで、校門のところはスロープで少し高くして水が流れ出ないようにしたことで、最近はそういった被害は出ていないようであります。

 そこで質問です。
 こうした学校周辺をブロックで囲うなど、あまり費用をかけないでも、周辺の被害を抑える対策を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

 (答弁)
 現在、学校は避難場所に指定されており、学校で雨水の一時貯留を行いますと、その避難所としての機能の確保が困難になることが予想されるなど、多くの課題があると考えられます。
 しかし、このたびの集中豪雨での被害状況を見ましても、内水対策としての雨水流出抑制策は非常に重要でありますので、今後建設する公共施設での治水対策につきましては、関係部局が協力するなかで、幅広い観点から、そのあり方について検討してまいりたいと考えております。


 武庫川流域委員会の提言にもとづき、災害対策について聞いてまいりました。
 提言がだされたばかりであり、具体化はこれからですが、流域委員会としても、関係各市に報告をし、懇談をしたいとのことのようであります。
 さらに、流域委員会は、「河川管理は河川管理」「まちづくりは、まちづくり」「コミュニティは、コミュニティ」など縦割りではなくて、行政内部でも相互に連携し、防災対策を基本にすえた体制づくりをもとめています。
 流域委員会ともよく意見交換をし、今後の市政のなかで、総合対策に取り組まれるよう要望しておきます。

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2、住民税フラット化による育成料軽減を

 次に、子育て支援の充実と、負担の問題について質問いたします。
 2006年の地方税法改正により、所得税から個人市民税へ約3兆円の税源委譲が来年度から実施されます。これにともなって、個人市民税所得割の税率は、現在の3段階(3%、8%、10%)から、一律6%へとフラット化されます。この税制改正にともなう尼崎市の条例変更は6月市議会でおこなわれたところです。一方で、所得税の税率は、現在の4段階から、6段階になることをはじめ、「今回の税率構造見直しの前後で所得税・個人市民税合計の税負担を増加させない」という原則のもと、調整がおこなわれます。
 このように、「負担は変わらない」というのが、この税制改正の基本です。
 ところが、市民税が増えることによって、児童育成料が引きあがるという問題が起こります。住民税フラット化による育成料への影響額を教育委員会に試算してもらいました。今年度の児童ホーム利用者1667人のうち、38%にあたる632人を、各行政区ごとに2ヵ所ないし3カ所をピックアップして集計したものです。生活保護、母子等非課税のA階層(育成料0円)、市民税非課税世帯のB階層(育成料2500円)では、フラット化の影響はありません。
 問題は所得割りによって区分されるC,D階層です。C階層からD階層(育成料5000円から7500円)へ、またD階層からE階層(育成料7500円から1万円)へと、収入が増えないのにランクアップする世帯が16%にものぼります。1667人に換算すると265人が、収入は増えないのに育成料が毎月2500円も引きあがることになります。
 
 そこで質問です。人口動態でも尼崎への定着が懸念されている30歳代の若い世帯です。子育て支援策の拡充という点からも、「負担は増やさない」という住民税フラット化の原則からも、育成料の軽減策が必要だと考えます。市長のお考えをお聞かせください。
 あわせて、育成料以外に、フラット化による影響を受けるものがあればお答え下さい。

 <教育長答弁>
 留守家庭児童対策として実施しております児童ホームにかかる児童育成料につきましては、前年度の市民税額により階層区分を決定していることから、その影響は平成20年度以降となりますが、現在、国が「放課後子どもプラン推進のための連携方策」を示していることから、それらも含め、様々な面からの検討を進めていく必要があると考えております。

 (答弁)
 所得税や市民税を基準にして補助金の交付や保育料の徴収等を行っている制度につきましては、
 現行制度に当てはめれば、このたびの住民税フラット化により負担の増減の影響が出るものと考えられます。
 具体的には、児童育成料以外に
  @保育所保育料
  A母子生活支援施設自己負担金
  B助産施設措置費自己負担金
  C難病患者等居宅生活支援事業、他5制度がございます。


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 児童育成料は、「経営再建プログラム」による児童ホーム有料化に伴い、平成15年度から実施されたものですが、当初の案では、1万円と、5千円の料金設定でしたが、児童ホーム関係者の意見交換の中で2500円、7500円のランクを導入しました。これは、利用者の負担軽減をはかったものと理解しています。議会としても一定の負担軽減の手直しをした問題です。
 
 比較的収入の低い世帯、C階層では2500円のアップは大変な負担感となります。
 負担の軽減策を強く求めるものです。
 いずれにしても、児童ホームを利用している保護者の意見をよく聞いて検討していただくことを要望しておきます。


3、市長の政治姿勢について(2期目に挑戦するにあたって)

 「市長の政治姿勢について」で質問してまいります。
 白井市長は、9月議会の冒頭で、11月におこなわれる市長選挙に出馬し、2期目に挑戦する決意を述べられました。
 この4年間は、尼崎市政にとって、もっとも厳しい、もっとも苦しい時期のひとつだったと思います。歴代市長に責任があるとはいえ、難しい舵取りがもとめられた4年間でした。
 4年間の白井市政の評価については、先日、今西団長がとりあげました。
 私は、今日の到達にたって、尼崎市政が抱える課題と方向性、認識についてお尋ねしていきたいと思います。
 
1、国の悪政に、市民の立場で「ノー」を

 さて、白井市長の4年間のすべては、国での小泉政治の5年間の中にありました。小泉政治は、自民党政治の矛盾を極限まで広げました。
 第1に、過去の侵略戦争を正当化する異常です。その最たるものが靖国神社への参拝です。靖国神社は、日本がアジア諸国に行った戦争は正しい戦争であったと宣伝する政治団体です。中国、韓国をはじめアジア諸国は優に及ばず、アメリカからも批判が広がっています。
 第2に、異常なアメリカいいなり政治です。日米軍事同盟を、安保条約の枠さえ超えた地球規模の軍事同盟へと侵略的変質を深めています。そのあらわれが、米軍再編、アメリカの言うままに9条を含めた憲法改悪の動きであります。
 第3の異常は、大企業中心の政治が進められた結果、大企業は史上最高の利益をあげ、バブル期を上回る空前の富をえながら、他方で国民の大多数の中で所得が減少し、格差と貧困が深刻な形で広がったことです。自治体行政にも「自立自助」「競争原理「民間開放」の理念が持ち込まれ、自治体本来の「住民の健康と福祉の増進」という目的が崩されようとしています。
 いま、日本は、「アメリカと一緒に戦争をする国」に作りかえられようとしています。これに大きく一歩を踏み出したのが、小泉政治です。
 しかし、小泉政治は準備段階がおわったに過ぎません。教育基本法改悪は、国会に提出されましたが、成立はしていません。憲法もまだ変えられていません、米軍基地移転もこれからです。道州制はこれから具体的に検討されていきます。
 財政運営はどうか。「骨太方針2006」は、小泉内閣最後の方針ですが、小泉後の自民党政治の方向を打ち出しています。さらなる社会保障の削減、その後に消費税の増税です。
 
 いま、自民党の総裁選候補者が出そろいましたが、(安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、谷垣禎一財務相の)三人とも小泉内閣の現閣僚です。小泉内閣は国民の暮らしと外交を壊してきましたが、三人ともその反省がないどころか、格差と貧困を拡大させた『構造改革』の継続、憲法、教育基本法の改悪を公約に掲げ、小泉内閣の悪政にいっそう拍車をかけるものになるでしょう。
 

 そこで質問です。
 4年間の市政運営を振り返って、自治体に影響を及ぼした小泉改革の評価について、また「骨太方針2006」に示された、今後もつづく社会保障の切り下げについて、仕方がないものと考えるのか、「社会保障の後退ノー」という声を上げるのか、市長の認識をお聞かせください。
 また、住民の福祉と健康をまもるべき自治体として、国・県にたいし、尼崎市民の生活をまもる立場で、これまで以上に積極的に、言うべきことはきちんと言うべきだと考えますが、どうでしょうか。お答えください。
 
 (市長答弁)
 少子高齢化が進展する中で、将来世代に負担を先送りしないよう、受益と負担の世代間格差を緩和し、将来にわたり持続可能な社会保障制度を構築していかなければならない状況であると思います。
 ただし、こうした改革の前提として、先ずは、国自身が人員削減などの内部改革をしっかりと行うべきであります。また、社会保障制度改革が、地方への負担転嫁も危惧され、そうした場合は、地方分権の確立には結びつがず、市民生活に多大な影響をもたらすこととなります。
 このため改革の動向を的確に見極め、改革に対する本市の見解も示していかなければなりません。
 今後、様々な改革の進展や情勢の変化が想定されますので、そうした動きに対応して、本市として主張すべき点があれば、強<訴えてまいります。

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2、財政と福祉のバランスがとれていたか? 

 市長の所信表明につづき、6日に今西団長の質問にたいする答弁をいただきました。
 市長は答弁で「住民福祉とバランスを図り、財政再建を進めてきた」と述べられました。なかなか難しいテーマであります。
 市民福祉金の廃止や、福祉事務所の1ヵ所統合などについては、私たちのもとへ賛成できないという多くの意見が寄せられています。
 市長も、「様々な見直しに対して多くの批判があるのも事実です」あるいは、「苦しい選択をしなければならないこともあった」とも述べておられます。
 
 そこで質問です。
 こうした批判があること自体、政治姿勢として財政再建と住民福祉のバランスがとれていなかったのではないでしょうか。市長の考えをお聞かせください。
 
 (市長答弁)
 財政再建は、自分たちの世代が豊かさ、利便性を享受し、その借金の負担を次世代に先送りすることは許されないこと、また財政の再建が果たせないならば、市民サービスは最悪の状況に陥り、市民生活が守れないことから、経営再建プログラムに基づき取組んで参リました。上
 その取組に当たりまして、市民サービスの見直しでは、可能な限り、市民生活の実情を考慮して参りましたが、市民の皆様に負担や我慢をお願いすることもありました。
 苦しい選択の中でありましたが、私といたしましては、財政再建と住民福祉のバランスを十分に考え、取組んできたところであります。


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3、「さらなる改革」とは? 住民福祉に重点を

 所信表明で「市民の福祉と健康を守ると同時に、尼崎の財政に明るい展望をもたらすためには、今後ともさらなる改革が求められています」と述べておられます。
 
 お尋ねします。
 「福祉と健康をまもる」ための「さらなる改革」とは、どういう改革でしょうか。お答えください。また、バランスをとるなら、政治姿勢として住民福祉にも重点をおくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 (市長答弁)
 市民の福祉と健康をまもり、安心して暮らしていけるまちづくりを進めていく上では、その基盤となる財政基盤がしっかりと築かれ、安定した行財政運営が確立されることが不可欠であります。
 今後の市民サービスのあり方や施策の重点化の方向性などについて市民の声を聞きながら進めて参りたいと考えております。


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4、経営再建プログラムと新たな財政再建策との違いは?

 最後に、財政再建計画についてお尋ねします。
 経営再建プログラムについて、昨日の市長の答弁では、目的については市長の考えと一致しているとのことでありました。
 しかしそれでは、市長が選挙で批判していた点との関係ではどうなるのでしょうか。
 経営再建プログラムは、来年度までであります。2008年(平成20年)度からの次期行財政計画、仮称「あまがさき 行財政構造改革推進プラン」という名前のようでありますが、この策定にむけ、取り組みが進められています。
 
 そこで質問です。
 これから策定しようという次期計画と、経営再建プログラムとの違い、選挙で批判していた点との違いもふくめ、市長の考えをお聞きいたします。
 
 (市長答弁)
 私は、平成14年の選挙戦において、経営再建プログラムの策定過程において、市民との情報の共有化や市民意見の反映に問題があるということを申し上げてきました。
 就任後は、一部見直しをするとともに、市民と財政状況についで情報の共有化をするとともに取り組み内容についての意見交換をするために、タウンミーティング等を繰り返し、予算をご提案してまいりました。また、支所の統廃合におきましては、特別委員会を設置して協議をいただきました。
 なお、改革を急いだのは、財政再建団体となる標準財政規模の20%にあたる収支不足は、もう目の前に迫っていたからです。
 平成20年度以降の行財政の健全化に係る計画につきましては、計画策定の初期段階から、議会に設置をお願いいたしました「行財政の健全化に係る協議会」で意見をいただくとともに、市民懇話会を設置し、特に、今後対応すべき施策の重点化方向などもお聞きし、策定していくものであります。
 また、市民懇話会とは別に市民の意見を聞<場も設けるなど、策定のプロセスを大事に進めて参ります。

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 白井市長の4年間の到達の上にたって、現状の認識と課題についてお尋ねしてまいりました。
 財政状況は、依然として厳しいものがあります。
 きびしい財政状況のなかで、福祉・教育をどう充実させていくのか、学校耐震化や、老朽化した公共施設の問題など課題がたくさんあり、難しい舵取りが求められています。
 白井市長のもとで情報公開や市民との対話が大きく前進したのは事実であります。しかし、まだ不十分な点も残されていると思います。
 住民福祉とのバランスも、大きな課題です。
 
 所信表明や市長からのご答弁をいただきました。
 
 日本共産党議員団として、「住民が主人公」の市政をめざして奮闘する決意を表明いたしまして、私のすべての質問をおわります。
 
 ご静聴ありがとうございました。
 
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                  (終わり)

区切り線
copy right     辻おさむ
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2006年9月9日 更新
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