2012年6月議会 本会議討論

●東日本大震災がレキ問題について

●原発をなくす取り組みについて   

●琴浦市営住宅跡地活用について 

 
2012年6月議会での一般質問

 日本共産党議員団の辻おさむです。私は、東日本大震災ガレキ問題について、原子力発電をなくす取り組みについて琴浦市営住宅跡地活用について、市長の見解を伺ってまいります。
●東日本大震災ガレキ問題について   

まず、東日本大震災でのガレキ広域処理の問題についてです。

尼崎では、阪神大震災のときのガレキ処理を他の自治体にお願いをしてきました。また佐用町の水害被害のガレキ焼却を尼崎で受け入れてきた経過もあります。

災害のときは、お互いに協力し合うのが基本ですが、東日本震災ガレキについては、東京電力福島第1原発事故による放射線物質の存在が、問題を複雑にしています。

市長は、4月9日、震災前からのクリアランスレベルである1キログラム当たり100ベクレル以下を基準に震災ガレキの広域処理を受け入れるかどうかの検討を始めることを表明され、検討の各段階ごとに3回の市民説明会を開催するなど、「安全と市民合意」を基本に受け入れの可否を決めるとされました。

「安全と市民合意」が必要なことは、日本共産党も同じ考えです。

放射線をあらわす単位はなじみが薄いのですが、1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量が1ベクレルです。100ベクレルというのは、1秒間に100個の放射線がでる量です。

 政府は、震災後、ガレキのうち、特別に管理が必要な指定廃棄物は、セシウム134とセシウム137の濃度の合計で1キログラム当たり8000ベクレル以上のものと定めています。1秒間に8000個の放射線を出す量ですね。

震災前の基準を80倍に引き上げたわけですが、8000ベクレル以下のものは、放射性物質が含まれていても、一般廃棄物と同様の扱いとされ、まともな対策が講じられていません。

政府の試算でも、8000ベクレルというのは、廃棄物の処理をする労働者が受ける被爆量が、年間「これ以上被ばくしてはいけない」という許容量に近い被ばくを容認するものです。

この高い値で「安全だ」といわれても、国民が不安に思うのは当然です。住民の健康と安全を守る立場で、放射性物質で汚染された廃棄物の基準と、放射線防護対策を抜本的に見直し、強化する必要があると考えます。

 広域処理の受け入れ基準については、自治体が独自に基準を設けることができることになっています。関西広域連合は2000ベクレルという基準を打ち出しました。これも「2000なら安全なのか」ということについては疑問があります。

こうした中で、市長がいち早く震災前からの「クリアランスレベルである100ベクレルを基準とする」ということを打ち出されたことは、もし受け入れるとなると、現在の基準でも最も厳しいものとなります。

 Q1まずお聞きします。市長が100ベクレル/sで検討しようとした意図はなんでしょうか? 市長の思いをお聞かせください。

経済環境局長

国や関西広域連合の基準につきましては、東日本大震災後に作られた基準であり、市民の理解を得ることは難しいのではないかと考えたものです。

したがって、本市独自の基準として、廃棄物の処理において震災前から用いられていた、クリアランスレベルである1kgあたり10Oベクレルを基本に、受け入れ可能かどうか、の検討を始めるとしたところです。

次に、尼崎の廃棄物の最終処分地となるフェニックス埋立地を管理する、大阪湾広域臨海環境整備センター(通称:大阪湾センター)への対応について伺います。

 これまで尼崎市は、放射性物質を含んだ焼却灰の「海洋埋め立ての基準が示されていないので、検討する段階ではない」との考えでした。現在でも示されていません。

 尼崎の平左衛門町には、大阪湾センターの尼崎積み出し基地があり、阪神間と、京都府、滋賀県の23市3町から、毎日800トン=トラック92台分の管理型一般廃棄物が運び込まれ、船に積み替えてフェニックス埋立地に運ばれています。運搬ルートは、道意線、尼宝線、湾岸線の3ルートです。

 大阪湾センターがどのような受け入れ基準を打ち出すかが、近畿圏のガレキ受け入れの放射線量の基準を決するといっても過言ではありません。

 たとえ、尼崎市が100ベクレルでの処理を決めたとしても、他の自治体から、8000ベクレル、2000ベクレルといった放射線量の焼却灰が、尼崎市内を通過することも考えられます。

 4月12日に、日本共産党議員団として、市長が大阪湾センターに「尼崎は100ベクレルで検討を始める」ということを、伝えるよう申入れました。

 Q2,そこで伺います。市長は、大阪湾センターに尼崎は100ベクレルで検討するということを伝えたのでしょうか?お答えください。

経済環境局長

大阪湾広域臨海環境整備センターに対しましては、5月はじめに、がれき受け入れの検討方法や今後の進め方など尼崎市の考え方を説明いたしました。

その際、独自の基準といたしまして、1キログラム当たり100ベクレルを基本に、受け入れ可能かどうか検討することを伝えております。

 6月1日の毎日新聞の報道によりますと、兵庫県の井戸知事は、5月19日の関西広域連合の非公開協議で「焼却灰のセシウム濃度は1キログラムあたり100ベクレル以下とし、混合率も3%と厳格化」するという独自基準を提示したとあります。

 県の担当課のコメントとして「焼却灰に触れた雨が海に流出することや風評被害など、万が一の事態を防ぐことを考えた」と紹介されています。

 100ベクレルというのが、現実身をおびてきました。

 さて、大阪湾センターに広域ガレキにたいする取り組み状況をお聞きしたところ、国の要請を受け、4月から、広域連合や環境省の職員も含めた検討委員会をつくって、広域処理に協力できるかどうかの検討を始めているということであります。

国は、「海洋埋め立ての基準は出さないが、個別の計画について評価をする」とのことです。

 大阪湾センターでは、震災ガレキの焼却灰は、「他の廃棄物と分離して扱う」こととし、「セシウムは水に溶けやすいので、廃棄物が水と接触しないようにする。」「埋め立てで出来た土地は、港湾管理者のものになるので、土地利用計画に支障が出ないようにする。」との方針で検討をすすめています。

 最終処分の在り方が決まらないと、尼崎だけで受入の可否を判断できるものではありません。

 Q3、そこで伺います。

 大阪湾センターなど、他の機関との情報交換、調整・協議はどのようにしているのでしょうか。また今後、どのように進めていくのでしょうか?

経済環境局長

現在、大阪湾センターでは、焼却灰等の受入基準や埋立方法について、国の個別評価に向けて検討を行っているところであり、今後とも情報交換を密にしてまいりたいと考えております。

また、兵庫県内の大阪湾センターの積出基地を有している他の市町(姫路市、淡路市、播磨町)と共同で、基地周辺住民の安全確保や十分な理解を得ることなどについて申し入れの調整を行っているところでございます。

引き続き、これらの関係機関と協議・調整をしてまいりたいと考えております。

次に、市民との意見交換会について伺います。

市長は、尼崎市としての検討を始める前に、2回の市民意見交換会を開かれました。いづれも160人、170人と沢山の市民、とくに小さなお子さんをお持ちの若い方や、近隣市の方々もこられており、関心の高さを示しているとおもいます。

中には、被災地や関東地方から移り住んでこられた方もおられました。

発言は、反対の意見が多く、かなり専門的な意見もありました。一方、賛成の意見を述べられた方もいらっしゃいました。すべての人が発言したわけではありませんが、アンケート文書で意見を述べられていた人もいます。

Q4、そこでお聞きします。

2回の市民意見交換会を経ての市長の感想は、どのように持たれたのでしょうか?

また、出されたおもな意見にはどのようなものがあり、市ではどのように受け止めているのでしょうか?

また、今後の検討の進め方に変更はないのでしょうか?

稲村市長

がれきの受入れについては、「市民とともに考えるプロセス」と「安全性を検証するプロセス」の双方を丁寧に進めることで判断したいと考えております。

対話集会は、まず私自身が市民の皆様の声を幅広くお聞きすることで論点を共有するため開催いたしました。

発言された方のほとんどは受入れ反対のご意見であり、広域処理の必要性、焼却処理の安全性、処分場の問題等、さまざまな観点から問題提起がありましたが、やはり放射能への不安が大きいと受け止めております。

一方、ご提出いただいたアンケート等には、「受け入れたい」とのご意見も複数ございました。

賛否いずれのご意見の方も、被災地を支援したいという思いは同じだと受けとめております。

今後とも、市民の皆さんと一緒に考えるプロセスや安全性の検証とともに最終処分場の確保や被災地の状況などを踏まえて、総合的に判断してまいります。

2回の対話集会にはたくさんの方が来られ、皆さんの関心の深さと思いを直に感じることができ、実施してよかったと思っております。

  震災ガレキ処理の問題は、「100ベクレルで安全を保てるのか」という問題と同時に、「そもそも、広域処理の必要があるのか」という意見も多かったと思います。

 先日、岩手県、宮城県の震災ガレキ量の見直しがおこなわれ、従来の予測より少なくなりました。それでも247万トンの広域処理が必要だとされています。

 また、「現地で処理したほうが、雇用・復興対策になるのではないか」。さらに、ガレキを利用して防潮堤をつくる「希望の丘」構想も言われています。

 しかし、被災地で28か所もの臨時焼却場が建設予定で、すでに11箇所が稼動していますし、防潮堤建設は、将来の陥没が懸念されるなど、具体化していません。

 私たちに届いている報告では、たとえば岩手県では、県全体の一般廃棄物の12年分のガレキですが、被災地だけで見れば、陸前高田市は255年分、大槌町は93年分に当たるといわれています。

 がれきを集積する一次仮置き場が98カ所で、津波で被害を受けた市街地の中心部、港湾、運動公園などにあり、復興の中心となるべきところに10メートル、15メートルの高さでがれきが積まれている状態です。

 仕事、住宅の確保、事業所、農漁業の再建が切実な要望で、そのためには津波対策として平地のかさ上げも必要ですが、そこにがれきがあるのです。

 がれきの仮置き場で火災発生、夏場を迎えて虫がわくなど衛生面の問題、風でほこりや悪臭に悩まされ、外に洗濯物も干せない状況だといわれています。

災害がれきをできるだけすみやかに処理することは、被災地の復興にとって最重要の課題です。

 気仙沼市だけでなく、被災地全体の状況を見る必要があります。

 (尼崎市民の中にも、意見が分かれている問題です。)

 Q,そこでお聞きします。

 被災地のガレキ広域処理が必要なのか、必要ないのか、現状について、市長はどのように認識されているでしょうか。また、判断をされていないのであれば、どのように調査されるのでしょうか。お答えください。

経済環境局長

環境省は5月21日の発表で、災害廃棄物の全体推計量と処理状況の見直しを行いましたが、依然として広域処理受入量が不足しており、引き続き、これを推進するとしておりますことなどから、現時点では広域処理の要請はあるものと認識しており、今後の被災地の状況等について、情報収集に努めてまいります。

●原子力発電をなくす取り組みについて 

次に、原子力発電をなくす取り組みについてです。

これまで全国に54基あった原子炉は、福島第1原発の4基が原子炉としての位置づけが廃止されたために、50基となりました。

5月5日、北海道電力泊原発3号機が定期検査のためにとまりました。全国50基のすべての原発が停止し、42年ぶりに原発ゼロ状態となりました。

朝日新聞社が5月19日と20日に実施した電話による全国定例世論調査では、原発に対する政府の安全対策を「信頼している」というのは21%にとどまり、「信頼していない」というのが78%にのぼっています。福井県の大飯原発の運転再開については、反対が54%で、賛成の29%を上回っています。

 また、5月5日、6日の毎日新聞の全国世論調査でも、稼働する原発がなくなり、今年の夏に電気の使用が制限された場合、「我慢できる」と答えた人が74%に達しており、最も電力需給が逼迫(ひっぱく)すると予想される近畿圏でも、61%が「我慢できる」と回答しています。

原発の稼動ゼロから、原発ゼロへは、多くの人の願いとなっています。

こうしたなかで、関西電力大飯原発3,4号機の再稼動問題が、重大な局面をむかえています。

民主党政権は、福島原発事故後、菅前総理は「脱原発依存」だといいました。

ところが野田政権になって、「原子力は基幹電源」だと態度が変わりました。これは、日本経団連が昨年11月に、原発は「基幹的役割を担ってきた。」といっていたのと同じ表現です。

大阪の橋下市長は、当初、「再稼動反対」といっていたのを、「事実上、容認する」と態度を変え、531日に関西広域連合が大飯原発3、4号機の再稼働について声明を発表。これを受けて、野田総理が再稼働を決定しようという動きです。野田総理は今週中にも再稼動問題で関係閣僚会議を開く意向だと伝えられています。

再稼働の是非は、科学的に安全かどうかが唯一、最大の基準であるべきです。広域連合が暫定的に認めた声明をもって、再稼働への条件が整ったとは到底言えません。

しかも、野田総理は、4日の記者会見でも「暫定的」とは一言も言っていません。

5月13日、14日に福井県の大飯原発に行ってきました。いま見学者が増えているそうです。原発そのものには、テロ対策だということで入れませんでしたが、近くのPR館には3分の1の模型が展示されており、相変わらずの安全神話を振りまいていました。

海から船で、原発を眺めたのですが、一緒に行った人たちは一様に「防潮堤など、どこにあるかわからないぐらいだ。これで安全といえるのか」といった感想を述べられていました。

日本共産党は、大飯原発の再稼動について、5つの大問題があると考えています。

(1)福島原発事故の原因究明がされていない

第1は、福島第1原発の原因究明がされていないということです。炉心内部の状況さえわかっていません。

(2)政府がとりあえずやるべきとした「安全対策」さえ取られていない

第2の問題は、「安全対策」なるものの不十分さです。

 福島原発の事故さえ究明が尽くされていないのに、どんな対策をとれば安全かなどいえるはずがありません。

大飯原発のストレステストをおこなったのは、三菱重工ですが、大飯原発をつくったのも三菱重工です。客観的なテストかどうか疑問です。

また、大飯原発の場合、事故のさい不可欠な免震事務棟の整備などは、すべて計画だけですまされています。まったく安全の名に値しません。

 (3)地震・津波の学問的知見を根底から見直す必要がある

 第3に、大飯原発近くに3本の活断層があることや、敦賀原発では、直下に活断層があることは、最近、わかったばかりです。地震・津波の学問的知見を根底から見直す必要があります。

(4)原発事故が起こった場合の放射能被害の予測も住民避難計画もない

第4に、原発事故が起こった場合の放射能被害の予測も住民避難計画もないことです。福井の原発から50キロ圏内に45万人が住んでいますが、その避難計画さえありません。

(5)まともな原子力規制機関がない

 第5に、まともな原子力規制機関がないことです。

国会で「規制庁」法案の審議は始まったばかりです。

この状況での再稼働は無謀極まりないものです。

科学的知見も、道理のかけらもなく、中止するべきであると考えます。

 原子力発電はもともと技術的に未完成で、現在の水準では「安全な」原発は実現不可能です。東日本大震災のあと、世界でも日本でも、原発からの撤退を求める声は急速に広がっています。

 政府や電力業界は原発を再稼働しなければ電力不足が起き「集団自殺」になるなどといいますが、「電力需給のためには多少の危険に目をつむれ」という悪質な脅しです。

 しかし、私には、福島第1原発のような過酷事故の危険を再稼動によって残すことこそ「集団自殺」行為と思えます。

再稼働問題と電力需給問題は切り離して判断すべきであり、両てんびんにかけるようなやり方は、こと原発に関しては絶対にやってはなりません

 原発再稼働に国民の納得を得る見通しもないまま、ずるずると既成事実を積み重ねるだけというのでは、国民の不安を逆に高めるばかりです。

原発の再稼働は押し付けず、原発からの撤退をこそ決断し、自然エネルギーの本格的な導入を急ぐべきです。

さて、昨年9月の一般質問で、私は、市長が関西電力に申入れをされたので、「市長自身の考えとして、原発は、減らすのではなく、無くすべきだと考えておられるのか」とお聞きしました。

市長のご答弁は、「一層、安全性を高めることはもちろん、段階的に原子力発電から脱却する方向へエネルギー政策の転換を行い、電力の安定供給を実行されるよう強く要請したもの」と答えられました。

また、市長は、ご答弁で「今すぐに原子力発電をゼロにすることは難しいと考えていますが、再生可能エネルギーなど代替エネルギーの開発等の取組に全力をあげ、段階的に原子力発電から脱却する方向へエネルギー政策を転換する必要があると思っている」とのことでした。

 当時は、「段階的に減らせばいい」との考えだと理解しました。

 ところが、今年の4月23日の定例記者会見で、市長は、大飯原発の再稼動について、「『なし崩し的に再稼動するのではなく、原子力に依存しない方向をめざすべきではないか』と、反対の考えを示した」と報道されています。

 Q、そこでお聞きします。

全原子炉が停止するという事態のもとで、市長は、再稼動に反対し、段階的廃止ではなく、原発の稼動ゼロから、原発ゼロへ、認識を深められたのでしょうか?

私は、そうすべきだとおもいますが、市長の考えをお聞かせください。

Q,あわせて、そうした立場から、「暫定的」だとしても、原発の再開につながる大飯原発の再稼動について、反対を表明すべきだと考えますが、いかがでしょうか?

稲村市長

原子力発電所については、将来的に無くしていくことが望ましいという私の考えは今も変わっておりません。

本市のような産業都市においては、市民生活、産業活動への影響も考える必要がございます。

また、大飯原発再稼動については、私としては、現段階で十分な対策が取られているとは考えておらず、そのような中での再稼動に向けた動きについては残念に思っております。

このようになし崩し的な再稼動が進むことには憂慮いたします。今後、国として、安全性を十分確保しつつ、原発に依存しないエネルギー政策推進の道筋を明確にす

べきであると考えます。

●「脱原発をめざす首長会議」について

次に、原発をなくす取り組みで、「脱原発をめざす首長会議」について伺います。

 4月28日、東京で原発反対の立場を明確にしていることで有名な城南信用金庫本店で、「脱原発をめざす首長会議」の設立総会が開かれ、原発ゼロをめざす新たな動きとして注目されています。

 福島県の南相馬市長や、茨城県の東海村村長、元国立市長の上原公子氏らが呼びかけ、全国35都道府県の69人の市町村・特別区の首長や首長経験者が加入していましたが、総会の開催中に蕨市長が加盟して70人になりました。

自治体の長が決意するということは大変なことだと思いますが、世話人である静岡県湖西市の三上市長は、昨年の震災後、「脱原発」を市長として明確に訴えていくことを決意し、このネットワークには「並々ならぬ決意を込めた」と言います。

 総会では、大飯原発などの拙速な再稼働に反対する決議や、今年の夏に策定予定の「新しいエネルギー基本計画」で原発ゼロを決定するよう政府に求める決議を採択しました。

兵庫県からは、宝塚の中川智子市長、篠山市長、養父市長、福崎町長が参加をしています。

お呼びがなかったのか、呼ばれたけれども行かなかったのか、わかりませんが、稲村市長の名前は入っていません。

市民との意見交換会でも、「入ったらどうか」という意見もあったと思います。

 Q,そこでお聞きします。

いまからでも「脱原発をめざす首長会議」に入るべきではないでしょうか?

市長の決意をお聞かせください。

稲村市長

現在のところ、ただちに首長会議に参加する考えはございませんが、まずは、原発の今後のあり方について、産業界や市民の方々に、私自身の考えを伝え、幅広く意見交換をしていきたいと考えております。

●琴浦市営住宅跡地活用について    

 次に、琴浦市営住宅跡地のスーパー銭湯への土地貸与について伺います。

尼崎は、戦後の高度成長期に人口が増え、地方から「金の卵」といわれた労働者が多数、入ってこられました。当時の住宅事情では、企業の寮や木造アパートで対応したため、風呂のない住宅が多数存在します。

尼崎市の公衆浴場は、兵庫県内の3分の1が集中しています。

 家にお風呂のない人は、約1万人といわれ、市内の銭湯は、市民の衛生保持だけでなく、高齢者の癒しの場、見守り活動の一翼を担っているとの自負を持ってがんばっておられます。

 阪神淡路大震災の時には、西宮・芦屋・神戸からの被災者を受け入れてきました。

 私も、駅前で「銭湯の場所を書いた地図」を配って、案内したものです。

大庄西町の私の近所のお風呂屋さんには、いまでもそのときに世話になったからと西宮から時折お風呂に入りに来ている人もいます。

 しかし、年々、銭湯を取り巻く情勢は厳しくなるうえに、尼崎はスーパー銭湯の激戦地区でもあります。そこへ、市役所が、公衆浴場に近接する市の土地にスーパー銭湯を誘致するのでは、既存の銭湯はたまったものではありません。

 予算委員会の中でも、各会派が問題点を指摘したところです。

 さて、尼崎浴場組合連合会から3月19日に尼崎市にたいして「質問状」がだされました。

「スーパー銭湯が名乗りを上げた時点で、なぜ国や公衆浴場を所管する部局の見解を求めなかったのか」

「公衆浴場組合との十分な調整を行なわず計画を決定、推進できるのか」「浴室を有しない世帯も含めた市民の意見が、事前調査に反映されているのか」

銭湯が淘汰されたとき、「地域住民の日常生活において保健衛生上、必要なもの」である浴場施設を尼崎市は財政支出をしてまで確保するのか。

などです。それぞれ、もっともな質問です。

3月28日の尼崎市の回答は、次のものです。

「今回の提案された施設は、その他の公衆浴場の一つであるスーパー銭湯と呼ばれるもので、大型の駐車場を確保し、温浴施設だけでなく、岩盤浴、エステ、ボデイケア、フィットネススタジオを併設したレジャー型の施設であり、設置の目的、施設の規模や集客対象の範囲が異なっている」。

つまり、対象にする客の範囲が違うので問題はないという態度ですね。

この回答をうけたあとも、浴場組合の方々は、納得されていませんでした。

4月11日に、市の担当部局と、浴場組合連合会との協議の場が持たれ、翌12日に浴場組合連合会有志が再度の質問状を出されています。

その内容は、「住み分けについて、どう考えて、どう各部署に指示を与えるのか」ということについて、担当者でなく市長自からの考えを聞かせてほしいというものでした。

これにたいし、4月24日に、市長名で回答されました。

回答は、「温浴施設が営業されることによって既存の公衆浴場に全く影響を及ぼさないとは考えておりません」というものでした。

Q,そこでお聞きします。

 この回答は、市長自身の考えと受け取っていいのでしょうか。お答えください。

Q,また、選考する当初から、既存の公衆浴場に影響を及ぼすという認識があったのでしょうか。

あったのならば、なぜ事前に協議しなかったのでしょうか。

なかったのなら、地元商業者への影響を考慮しなかったことについて、どのような反省をしているのでしょうか。

資産統括局長

琴浦住宅跡地につきましては、温浴施設の建設のため、4月18日付けで、事業者と一時使用賃貸借契約を締結したところでございます。

この温浴施設は、岩盤浴を中心としたレジャー志向の強いもので、300台程度の駐車場を確保し、市内はもとより市外からの集客を見込んだ施設であることから、設置の目的や規模、集客の対象が公衆浴場とは異なっているものと認識しております。

しかしながら、こうした違いはあるものの、温浴施設が運営されることにより、周辺の公衆浴場に全く影響がないとは言い切れないため、議員ご指摘のような趣旨で市として回答したものでございます。

 また、このたびの跡地活用の提案募集にあたりましては、地域イメージの向上や市財政への貢献を目的とし業種を限定せずに広く公募したもので、総合的に選考した結果、温浴施設に決定したものでございます。

こうした業種に決定したことにより、周辺の公衆浴場への影響を一定考慮する中で、事業者に対し公衆浴場との住み分けとして、入浴料金について提案のとおりとするよう、改めて強く申し入れを行ったところでございます。

今後とも必要があれば、事業者と協議してまいりたいと考えております。

今回、誘致されるスーパー銭湯は、20年間の定期借地であり、20年後には出て行きます。それ以前にも撤退することも考えられます。

一方、尼崎の公衆浴場は、長年にわたって尼崎市民の公衆衛生保持のために貢献してこられました。

最悪の事態は、スーパー銭湯が進出することによって、周辺の銭湯がつぶれ、その後にスーパー銭湯が撤退することです。

そのためにも、尼崎市が、公募時の料金設定を守らせるよう、強く要望しておきます。

ちょうどいま、人気コミックを映画化した「テルマエ・ロマエ」という映画が公開されています。日本のお風呂屋さんと、古代ローマの浴場を結びつけた楽しい映画です。

尼崎の浴場組合でも、お風呂屋さんが注目されているときをチャンスにしようと、市内の銭湯をマップにして、振興を図ろうとされています。

Q、そこでお聞きします。

市内に50以上もある公衆浴場は、尼崎の特徴でもあり、資産でもあります。尼崎の魅力を作り出すことにつながる可能性もあるのではないでしょうか。公衆浴場が多いといった魅力を生かした振興策を考えるべきだと思いますがいかがでしょうか? 市長の考えをお聞かせください。

企画財政局長

市としての公衆浴場への支援策といたしましては、これまで、公衆衛生の観点から、水道料金の減免措置等を実施してまいりました。

今回、本市における公衆浴場が多いことを資源とした新たな振興策のご提案につきましては、現在のところ考えておりませんが、浴場組合として、市内銭湯マップを作成された場合には、PRの協力等について、検討してまいりたいと考えております。

▲競艇場駐車場との関係

次に、競艇場との関係です。

誘致するスーパー銭湯には、約300台の駐車場がつくられる予定です。

競艇場の公営駐車場は、競艇場敷地内の南側に集約され、競艇を開催していないときは、時間貸し駐車場として利用されています。

また、民間の駐車場も、少なくはなりましたが競艇場の北側に存在しています。

もともと琴浦市住跡地の一時活用にあたって、周辺駐車場への影響があるため、「駐車場にするためには貸さない」ということではなかったでしょうか。

それなのに、スーパー銭湯に300台の駐車場ができると、その使われ方によっては周辺駐車場に大きな影響が出てきます。

 Q,そこでお聞きします。

 スーパー銭湯の駐車場設置は、既存の周辺駐車場にどのような影響があると考えているのでしょうか。

また、スーパー銭湯の駐車場と競艇場周辺駐車場との利用の住み分けはどのようにするのでしょうか? そのための対策をどのようにするつもりでしょうか?

考えを聞かせください。

資産統括局長

温浴施設に併設する駐車場につきましては、あくまで施設利用者を対象としたもので利用者数を勘案したうえで必要な台数が確保されるものであり、その管理につきましては、事業者がゲートを設け、温浴施設の利用者の利用に供するものとなっております。

さて、種々、琴浦市住跡地活用についての問題を指摘してきました。

こうした問題は、今回の公有地の土地利用についての選考が職員だけでおこなわれたという問題があります。予算委員会では会派議員がただしましたが、選考委員会の議事録さえ作られず、検討内容も非公開です。

 市長は、東日本大震災のガレキ広域処理の受け入れを検討するにあたって、2回も直接、市民の意見を聞かれました。市バスの経営のあり方についても、公営審で具体的検討に入る前に市民説明会を開いています。

 しかし、琴浦市住跡地の活用については、市民の意見を聞かずに決めてしまいました。一貫性がありません。市長の政治姿勢が問われるものです。

 大庄地域では、これから大庄西中学校跡地についても本格的な活用方策が検討されるでしょう。また、最終的にどうなるかはわかりませんが、市全体の公共施設の再配置、あるいは小中学校の統廃合による市有地活用が、課題にされようとしています。

 これら、ひとつひとつが、まちづくりや、地元経済への大きな影響を及ぼすものと考えられます。それだけに、今回の琴浦市住の選定方法での問題点を市として総括する必要があるのではありませんか。

 Q、そこでお聞きします。

今後の公有地の土地利用については、地域産業の影響、市民の暮らしへの影響を考慮したうえで、職員だけでなく市民の声を反映させるべきではないでしょうか? お答えください。

資産統括局長

この度の琴浦住宅跡地の活用につきましては、平成20年度から21年度に設置されていた大庄中部《未来につなぐ》まちづくり市民委員会において、ご検討いただきそのご提案を踏まえ、暫定的な土地活用を図ったものでございます。

今後とも、こうした大規模な市有地の土地活用につきましては、周辺環境はもとより、まちづくりを進める上においても、大きな影響を及ぼすものであることから、その検討にあたっては、市民、地域住民の皆様のご意見をお聞きする中で、慎重に進めてまいりたいと考えております。

【コメント】

大飯原発再稼動について。

政府や橋下市長らは、大飯原発を「限定的」でも再稼働させなければ電力供給に不安が出ると言いますが、本来原発の安全性と電力問題はてんびんにかけるものではありません。また、再稼働が「限定的」ですむ保証はどこにもありません。

5月4日に福井県知事と細野原発事故担当相らが会談していますが、席上、斎藤官房副長官は「この夏をしのぐためだけの稼動は考えていない」と、期間限定の再稼動とはしない政府の方針を述べています。

特定非営利活動法人・環境エネルギー研究所(ISEP)の飯田哲也所長=この方は、大阪市と大阪府の特別顧問もしている方ですが、飯田哲也氏は、政府の推計を「過大に見積もった需要を固定視」していると批判し、「関西電力(管内)でも昨年並みの節電と若干の追加対策や揚水発電の活用で安定的な需給はできる」とし、原発再稼働は必要ないと報告しています。

 また先ほど紹介しました「脱原発をめざす首長会議」の中で、前福島県知事の佐藤栄佐久氏は、原発についていますすめられている論理は「必要だから安全だ」というものだ、といっておられました。言いえて妙であります。

 原子力事故は、ひとたび起こると取り返しのつかない危険を私たちにもたらします。

 そのことは、福島第1原発事故で明らかです。福井県は、14基もの原発が密集する原発銀座です。一度事故があれば、関西各地、琵琶湖の放射能汚染は、避けられません。尼崎市民の安全を守るためにも見過ごせない問題です。

 電力の安定供給をいうなら、一日も早く原発からの撤退を決断し自然エネルギーへの転換や省エネルギーに力を尽くすことこそ重要です。

 尼崎市政と市長がその立場んいたたれるよう、強く要請しまして、私のすべての質問を終わります。

区切り線
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 尼崎市大庄西町
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こんにちは辻おさむです
2012年6月9日 更新
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