2011年9月議会 本会議 一般質問


 2011年9月14日に本会議で一般質問をしました。
 内容をお知らせします。

2011年9月14日
2011年9月議会での一般質問
第1回登壇   top↑
はじめにtop↑
おはようございます。日本共産党議員団の辻おさむです。
 東日本大震災での被災地では、まだまだ厳しい状況が続いています。また、先日の台風12号による記録的な豪雨では、100人を越える死者・行方不明者がでています。なくなられた方々への哀悼の意と、被災された方々へのお見舞いを申し上げます。
 私は、原子力発電問題と放射能汚染問題、自然エネルギーの問題で質問します。
1-1●原子力発電所について top↑
3月11日におこった東京電力・福島第1原子力発電所での事故は、チェルノブイリ事故と並んで「レベル7」=最悪の過酷事故として評価されました。放射性物質の総放出量は、原子力安全委員会の概算では、ヨウ素131に換算して63万テラベクレル。文部科学省は、土壌汚染の深刻さの度合いはチェルノブイリ原発事故に匹敵すると発表しました。
半年たったいまも、福島原発では、炉心は溶け落ち、放射能に汚染された大量の水、原発内の高レベル放射能が存在し、労働者の安全も心配されます。
まきちらされた放射性物質は、東北地方、関東地方、はては静岡県まで影響が広がり、野菜、穀物、牛肉などへの汚染で、日本の食糧事情が危ぶまれる事態です。
現在の原発の技術では、危険な放射性物質(死の灰)を封じ込めることは出来ないことが、改めてはっきりしました
原発は、いったん事故がおこれば、大量の死の灰を撒き散らし、空間的にはどこまでも、時間的には数10年から数万年単位で影響がのこり、社会的には、地域社会そのものが破壊されるという、ほかの事故には見られない「異質の危険」が今も進行中です。
「原発依存から抜け出して、自然エネルギーに切り替えていこう」というのは、いまや、多くの人の願いです。尼崎市議会でも、6月議会で意見書を採択しました。
一方で、「原発は減らせば良い」「安全対策を強めれば良い」といった意見も聞かれます。しかし、原発に未来があるでしょうか。
100万キロワット時の原発を1年間動かせば、広島型の原子爆弾1000発分の使用済み核燃料を生み出します。国内で毎年、年間1000トンの使用済み核燃料が生み出されています。これの後始末をする方法は見つけ出されておらず、たまる一方です。
また、使用済み核燃料の中には、半減期2万4000年という猛毒のプルトニウムが含まれています。長崎型原爆の材料になるもので、すでに原爆4000発分のプルトニウムがたまって、どうしようもありません。
そこで考え出されたのが、プルトニウムを燃料にして使用する「高速増殖炉」です。

私は、7月13日に、福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」の見学に行ってきました。
 「もんじゅ」の敷地には24時間機動隊が警備をしていて、見学者用の綺麗な建物にはビデオルームもそろっており、ものすごいお金がかけられています。
 高速増殖炉というのは、水の代わりにナトリウムという金属を液体にして使うのですが、ナトリウムは、空気に触れると燃え出し、水と反応すると爆発する代物です。
私が言ってみて驚いたのは、ナトリウムが原子炉のなかで、長さ4メートルの燃料棒とそれを抜き差しするため、倍の高さの容器いっぱいに使われているのです。空気で燃え出すナトリウムがこんなに大量に使われているのをみて、「これは、危ないな」というのが実感です。
 しかも、見た目は水銀のような液体金属のなかで、燃料交換炉内中継装置を炉内に「落としてしまった」という事故があり、それを拾うのに何ヶ月もかかっていました。これでは、緊急のときは、対応が間に合いません。
 「もんじゅ」は、故障つづきで、15年間も止まったままです。
しかも、プルトニウムを高速増殖炉の燃料にするための青森県六ケ所村の再処理工場も故障してストップしたままです。
フランスでも、高速増殖炉フェニックスの計画を断念しました。
 「もんじゅ」が使えなくても、原発では、どんどんプルトニウムが作り続けられます。そこで、考え出されたのが、普通の原発の燃料にプルトニウムを混ぜて使おうという「プルサーマル」計画です。原子力専門家の間では、「灯油ストーブに、ガソリンを少しずつ混ぜて使うようなもの。危なくて仕方がない」と指摘されています。このプルサーマル導入を狙って、北海道電力の「やらせ問題」も発覚しました。
「核燃料サイクル政策」は完全に行き詰っています。「トイレのないマンション」状態のまま、危険な使用済み核燃料はどんどん増えていくという恐ろしい事態が進んでいることを直視する必要があります。
1-2●関西電力への申入れについて)top↑

 さて、6月議会で、会派議員が、稲村市長に「原発からの撤退」について、関西電力に強く働きかけるよう求めました。その後市長は、6月30日に、宝塚、篠山両市の市長とともに、関西電力にたいし、「脱原発」に段階的に取り組むよう申入れをされました。原発に依存した電力供給からの脱却、再生可能エネルギーの開発、中小企業に対し過度の電力制限をしないよう配慮を求めたとのことであります。
 このことは、おおいに評価をしたいと思います。

 Q1,そこでお聞きします。
 関電への申入れの際、稲村市長は「『産業界に与えた打撃も大きく、管理不能なリスクをいつまで抱え続けるのか』と訴えた」と報道されております。これは、市長自身の考えとして、原発は、「減らす」のではなく、「無くす」べきだと考えておられると理解していいのでしょうか? お答えください。

(市長答弁)
  関西電力に対する要請につきましては、福島第一原子力発電所事故を教訓として、一層、安全性を高めることはもちろん、段階的に原子力発電から脱却する方向へエネルギー政策の転換を行い、電力の安定供給を実行されるよう強く要請したものでございます。
 また、産業都市である尼崎市政を預かる身として、中小企業の活動を支援する立場から、過度な電力制限や負担増とならないよう、配慮もお願いいたしました。
 私といたしましては、今すぐに原子力発電をゼロにすることは難しいと考えていますが、再生可能エネルギーなど代替エネルギーの開発等の取組に全力をあげ、段階的に原子力発電から脱却する方向へエネルギー政策を転換する必要があると思っています。


1-3● 政府へも意見をtop↑

  さて、5月に、東海地震の想定震源域の真上につくられた中部電力・浜岡原発は停止されました。危険な原発を直ちに停止することは当然です。
原発は、定期的に止めて、検査をしなくてはなりません。定期検査中の原発の再稼働が問題になるのですが、この点で政府の対応は信用できません。
政府は、「対策」なるもので「安全宣言」をおこない、電力会社に再稼働を要請しました。この「対策」というのがひどいんですね。
たとえば、「水素爆発対策」として、「原子炉建屋に穴をあけるドリルを用意させた」というものです。炉心が溶けて、水素爆発をしそうな原子炉建屋に、いったい誰がよじのぼってドリルの操作をするのでしょうか。
野田佳彦新総理は、昨日の所信表明演説で、「「脱原発」と「推進」という2項対決で捉えるのは不毛」「定期検査後の再稼動を認める」と述べました。
まともな安全対策もないまま、再稼動に踏み切ることは許されません。
これにたいし国民の意見はどうでしょうか。9月4日の毎日新聞の世論調査によりますと、野田政権になっても「原発に依存しないエネルギー政策」を打ち出した菅内閣の方針を「引き継ぐべきだ」という意見が64%にのぼっている――というのが、結果です。

Q2,そこで質問です。
関西電力だけでなく、この際、国に対しても原発からの撤退とエネルギー政策の転換を強く働きかけるべきだと考えますがいかがでしょうか。市長の考えをお聞かせください。


(環境市民局長)
 原発からの撤退のためには、代替エネルギーの確保が最重要課題であると認識しております。
 現在、国においては、福島原子力発電所の事故の反省を踏まえて、エネルギー環境戦略を再構築する検討が行われており、まずは、そこでの検討状況を注視するなか、本市として、何ができるのかを見極めてまいりたいと考えております。
 なお、今年度の兵庫県市長会におきまして、太陽光発電の早期普及への支援について、要望する動きもあり、本市としましても、賛同しているところでございます。


1-4●放射性物質問題top↑
 次に、放射性物質の問題です。
放射線測定については、現在、衛生研究所の屋上および地上1メートルで簡易測定され、「自然環境中の放射線レベルの範囲内」ということですので割愛します。
食品への影響について伺います。
放射性物質は、お茶や牛肉をはじめ、野菜などへの汚染が問題になっています。今後、いろんな食物が汚染される可能性もあります。放射性物質が体内に入って、内部被曝をすることは、放射線によって細胞や遺伝子を傷つけることから、癌やその他の放射線に起因する病気が心配されます。とくに子どもは、細胞分裂、新陳代謝が激しく、放射線の感受性は大人の10倍といわれています。
大阪市は、この9月の2学期から給食の食材についてセシウムなどの放射性物質の検査をはじめました。
また、西宮市では、市独自で食品計測をおこなうため、現在開会中の議会に、放射線測定器5台を購入する補正予算案が提案されています。市保健所と市食肉センターに置いて、定期的に測定するとしています。機器もだんだん安くなってくるのではと考えています。

Q3、そこで質問です。
尼崎でも、食品用の放射線測定器を購入し、保健所や卸売市場に設置してはどうでしょうか? お答えください。

(医務監答弁)
 本市では、市内に流通する食品における放射性物質による汚染の有無を確認するために10月から地方卸売市場等における流通品の検査を民間検査機関へ委託する方式で行うこととしております。
 また、国の補助制度などを活用して市民からの相談対応等に用いるための簡易検査機器の購入及び保健所や地方卸売市場食品検査所等への配置について検討しております。


1-5◎ 東日本大震災での瓦礫処理についてtop↑
次に、東日本大震災での瓦礫処理についてです。
8月16日の京都「五山の送り火」、いわゆる「大文字焼き」に、岩手県の松からわずかながら放射線物質が検出されたので、今年は使われませんでした。
先日、NHKでも特集をしていましたが、被災地のガレキは、東北3県だけでも、福島県340万トン、岩手県580万トン、宮城県1820万トン。政府は、岩手、宮城を広域処理=全国の自治体や団体に処理を「お願いをする」方針をたてました。
環境省が4月にごみ処理している自治体・団体によびかけたところ、572の自治体・団体が受け入れを表明しました。尼崎もそのひとつです。約1万トンが受け入れ可能だということでした。これは放射能汚染がないとの前提です。
ところが、その後、先ほどの五山送り火問題、稲わら問題が起こり、ガレキ処理は、そう簡単にいかない問題となりました。
 一般ゴミ焼却灰や、下水処理後の汚泥から放射線物質が検出された地域は、東日本のほとんどの県にのぼっています。そこで、被災地のガレキは放射線物質が出ることを前提に考えなければならなくなりました。
 環境省は、8月11日に「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン」をだしました。そこでは、放射性セシウム濃度が1キログラムあたり8000ベクレル以下であれば、管理型最終処分場に「埋め立てても大丈夫だ」といっています。埋め立て後に人が住まないのであれば、一般の廃棄物と混ぜて埋めてもかまわない、とのことです。ただ、埋め立てるにしても、表面に土を被せるとかのやり方も例示しています。
 8000ベクレル以上、10万ベクレルまでの間については、8月31日に出した「方針」では、コンクリートなどで囲って遮水、排水処理をするように指示をしています。
 3月11日まで、放射性廃棄物かどうかを区別する基準は、年間10μSv=これは、セシウム137については,1キログラム当たり100ベクレルにあたります。今回の8000ベクレルというのは、基準を一気に80倍に緩和したことになります。
一応の基準がしめされたわけですが、日本弁護士連合会は、7月29日に「1キログラム当たり100ベクレル以上のものについては、放射性廃棄物として厳重な取扱いが必要であるものとすべきである。」との「意見書」を出しています。また自治体によっては、もう少し少ない放射線量であれば、受け入れる意向のところもあるようです。

 Q4,そこで伺います。1キログラム当たり8000ベクレルというのは、安全と言えるのかどうか、市長の考えをお聞かせください。

(環境市民局長)
 国のガイドラインでは、管理型最終処分場への埋立処分が可能となる基準につきましてば、焼却灰及び焼却飛灰のセシウム134とセシウム137の合計値が1キログラム当たり8000ベクレル以下となっており、これは、一般公衆や埋立作業者への被爆に対する安全性を配慮して定められた値であると認識しております。


  また、被災地のガレキは、現地から処分場へ運ばなければなりません。東北から、船か、鉄道で運搬するにしても、運ぶ人の安全、通過する周辺地域の安全、処分前の一時集積場の安全、そして焼却場での安全対策が必要です。
 焼却された灰は、最終処分場に送られるわけですが、尼崎にとって問題なのは、その最終処分場への積み出し基地が尼崎にあることです。近畿の2府4県168市町村で燃やされた灰が尼崎を通過することになります。
 
 
Q5.お尋ねします。尼崎で被災地のガレキ処理を受け入れた場合、どのような問題が起こると考えているのでしょうか?

(環境市民局長)
 本市で被災地のガレキ処理を受け入れる場合、市民の方々の放射能汚染に対する不安、作業に従事する本市職員及びプラント設備の補修等における作業者の安全対策等が考えられます。


 
Q6,ガレキ処理を受け入れるかどうかは、市民の理解と納得が大切だと考えますが、市民への説明、意見の集約は、どのようにするつもりなのでしょうか?

(環境市民局長)
 震災復興に協力するため、本市でガレキ処理を受け入れることとした場合には、市民の皆様の不安を解消し、ご理解をいただくことが大切だと考えております。
 今後、国から、具体的な安全確保策等が示されると考えておりますが、本市といたしましては、市のホームページや市報等で受け入れする被災地名、放射能の安全性を確認する手法、処理に伴って発生する排ガスや焼却灰等の測定項目などについて、お示しした上で、市民の方々のご意見をお聞きし、議会に報
告、協議させていただきながら、方向性を決めてまいりたいと考えております。


 Q7,また、最終処分場を管理する「大阪湾センター」や、最終処分場がある大阪市、神戸市とは、なにか協議をしているのでしょうか? おこたえください。

(環境市民局長)
 災害廃棄物の最終処分方法につきましては、環境省のガイドラインで、一定の方針が示されているところでございますが、大阪湾広域臨海環境整備センターのような海面埋立処分場での取り扱いについては、具体的な処理方法が示されておらず、今後の検討課題となっております。
 そうしたことから、現時点では、最終処分場を管理する「大阪湾センター」や最終処分場がある大阪市、神戸市との協議はいたしておりません。
 本市といたしましては、今後も引き続き、国等の動向を注視してまいりたいと考えております。


 これで、第1問を終わります。
第2回登壇   top↑
 被災地のガレキ受け入れは、悩ましい問題です。こういう問題を起こした原発に改めて、撤退していく必要を感じます。

立命館大学の大島堅一教授が、最近、東京電力が、原発から得た事業報酬の総額を計算されています。1970年から2007年の37年間の事業報酬合計は、3兆9995億円であったとのことです。
一方、福島第1原発の事故で、被害補償額だけでも数兆円を超えると言われ、廃炉費用も1・5兆円かかることが見込まれています。
 除染や放射能汚染の完全解決のための費用を加えると、儲けよりも、出て行くほうが多くなってしまいます。大島教授は「東京電力にとっても、原発はおこなうべきではなかったと言える」と断じています。
 同じことは、他の電力会社、関西電力などにもいえます。いったん過酷事故が起これば、同様の被害が起こるリスクを抱えています。「それでも、原発つづけますか」ということが企業にも問われています。
 
 この間、「やらせ問題」が明るみにでました。
 九州電力だけでなく、北海道電力、はては、「原子力安全・保安院」が、四国電力や中部電力のプルサーマルシンポジウムで、「やらせ」に関与していたことも明らかになりました。「原発賛成」の世論が出来るように仕組まれていたのです。
 「政治のウソ」が明るみにでて、「原発安全神話」は根底から崩れつつあります。

 ことは、国民・市民の安全に関わることですから、市長に置かれては、遠慮なく、関電にも、国にも、意見を言っていただきたいと思います。

2-2●再生可能な自然エネルギーへの転換をtop↑

  さて、3月11日以降、原発をなくそうという声が広がっています。
 日本国内各地で集会やデモ・パレードがおこなわれ、各種の世論調査で、原発の「縮小・廃止」を求める声が過半数を占めるようになっています。
兵庫県医師会会長は、「医師会あげて根本的に原発問題をしっかり考え直さないとだめだ。」と反省を述べておられます。

 日本共産党は、3月11日の事故をうけて、方針を変えました。
これまで原発は「段階的に無くす」という方針でしたが、今回の事故をうけて、「原発からのすみやかな撤退」という方針に踏み込みました。
撤退の政治的決断をおこない、期限をきめたプログラムを策定することを求め、「再生可能エネルギーを最大のスピードで開発・普及する」ため、6月13日に「国民的討論と合意」をよびかけました。
 できるだけすみやかに原発から撤退することが強く求められますが、同時に、電力不足による社会的リスクや混乱は避けねばなりません。また、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスによる地球温暖化を抑止するという課題もあり、安易な火力発電などに置き換えるやり方もとるべきではありません。そのためにも自然エネルギーの本格的導入と低エネルギー社会への転換にむけて、あらゆる知恵と力を総動員し、最大のスピードでとりくむ必要があります。

 日本の総発電量に占める原子力発電の割合は、2009年度実績で25・1%です。
日本共産党は、5〜10年の間に、電力消費量を10%程度削減すること、そして、現在の総発電量の9%程度の自然エネルギーによる電力を2・5倍程度に引き上げることができるなら、原発による発電量をカバーすることができると考えています。
環境省による推定でも。現在の技術水準や社会的な制約なども考慮して、実際のエネルギーにできる資源量は、太陽光、中小水力、地熱、風力だけでも、20億キロワット以上と推定されています。これは、現在、日本にある発電設備の電力供給能力の約10倍、原発54基の発電能力の約40倍に匹敵します。それだけの潜在能力を持っています。
 いま、大企業から中小企業、NPO法人まで多様な事業者が自然エネルギー事業に参入する動きが急速に広がっています。それぞれの地域に固有のエネルギーを活用するために、小規模な事業を無数に立ち上げていくことが求められますから、仕事おこし、雇用創出にも大きな効果があります。
 “町おこし”として、太陽光、小水力、木質バイオマス、風力などの自然エネルギー開発をすすめ、電力自給率27%をさらに高めようとしている高知県梼原(ゆすはら)町や、電力自給率160%を達成した岩手県葛巻町のような先進例もうまれています。
 原発を2022年までに全廃することにしたドイツでは、発電にしめる自然エネルギーの割合を、現在の16%から、2020年までに35%、50年までに80%にする「エネルギー基本計画」を閣議決定しています。
 日本の自然エネルギーの技術は、世界でも先進的なものであり、日本の技術を使って日本よりはるかにすすんだ自然エネルギーのとりくみをおこなっている国も少なくありません。日本の技術水準からみても、世界の国々での自然エネルギーへのとりくみからみても、けっして不可能なことではありません。

また、地方自治体を自然エネルギー促進の拠点としていくためには、(1) 自然環境、地域産業、文化・伝統など地域資源をさがして、活かすこと、(2) 地域のエネルギービジョンをつくり、共有すること、(3) 市民・住民の共同で、自然エネルギー推進の政策や運動をすすめること、(4) 自然エネルギー推進を担う人材をみつける、育てること、(5) 既存の制度の活用と、必要な制度の創設を進めることが大切です。

Q8,そこで質問です。
市長は、「尼崎版グリーンニューディール」と言っておられますが、その内容は、まだ明らかではないと思います。「尼崎版グリーンニューディール」について、市長の考えをお聞かせください。


(市長答弁)
 「尼崎版グリーンニューディール」は、これまで官民あげて様々な環境問題に取り組んだ経緯や技術力の高い企業が集積するという本市の特性を十分に活かしながら、本市の持続可能性と経済の市内循環に主要な視点を置き、私たちの暮らしを人にも環境にもやさしい形に変え、それを支える産業との共生を目指す取組であります。
 私が掲げる「持続可能なまちづくり」の中心となる取り組みであり、現在、理事を中心としてその具体化に向けた検討を進めているところでございます。

 
Q9,また、福嶋慶三理事は、環境省からこられ7月1日に理事に就任されました。主に「尼崎版グリーンニューディール」などについて、市長をサポートされるものと理解していますが、福嶋理事の所信をお聞かせください。

(理事答弁)
 私は、市政全般の政策推進を担当させていただいておりますが、とりわけ「尼崎版グリーンニューデイール」の推進は、主な任務の一つであります。
 7月の着任後、環境、産業及び企画部局の関係職員を集めて必要な情報の収集や共有を行い、引き続き9月からは庁内の検討体制を整え、具体化に向けて基本的な考え方や進め方、事業について検討を進めているところでございます。
 「尼崎版グリーンニューディール」をはじめ、本市の政策推進にあたりましては、これまでの職務経験やネットワークを最大限に活かし、関係する皆さんと力を合わせながら取り組んでまいる所存でございます。

2-4●尼崎で出来るエネルギー対策はtop↑

 次に、具体的に尼崎でできる対策についてお聞きします。
 市の環境政策課に、尼崎での自然エネルギー導入の可能性について聞きました。
 尼崎市域内の平成21年度の総電力使用量は、約49億kWhだということです。
これを太陽電池でまかなおうとすると、面積約49平方キロメートルの太陽光パネルが必要です。尼崎の面積は約50平方キロメートルですから、尼崎市域全体をパネルで敷き詰めなければならない計算です。
また大型風力発電機でまかなおうとすると、風車が1400基、これも面積にして40平方キロメートル、やはり大半の市域面積が必要です。
あまりにも現実離れしていますが、それではやってもムダなのでしょうか。そうではないと思います。
菅直人前総理は、今年5月の主要国首脳会議で、太陽光発電パネルを日本の1000万戸の住宅に設置する目標を示しました。国内にある2700万戸の戸建て住宅の約40%にあたります。
尼崎市の一戸建て住宅は約7万戸ですから、40%だと2万8干戸です。これに3KWhの太陽光発電を設置すると、年間約8400万KWhとなり、49億KWhの1.7%です。 
ところが、尼崎市の家庭部門だけ見れば、その電力消費量は約10億KWhですから、これとの対比では約8.4%になります。12軒に1軒は太陽光でまかなえる計算です。集合住宅への普及をすすめれば、もっと増やすことができます。せめてこれぐらいはめざすべきではないでしょうか。
尼崎市の民家への太陽光パネルの普及は、2009年でわずか1100戸です。
6月議会の会派議員への質問に、市当局は、「太陽光発電の普及につきましては、市の補助がなくとも、国の補助制度や余剰電力買取制度の実施により、普及は進んでいると考えている。」との答弁でした。こんな消極的なことでいいのでしょうか。
 日本はかつて、太陽光発電などでは世界をリードする役割を果たしていましたが、現在ではドイツなどに大きく遅れています。この10年間、ドイツは自然エネルギーをめざましく伸ばしました。電力の買取制度に加え、補助金などにより、7,8年で投資額が回収でき、耐用年数20年の残り期間の発電は「儲かる」ようになっています。
その間、日本の自然エネルギー割合は、ほとんど伸びていません。国の補助制度だけでは、普及はすすまないのです。
 住宅用太陽光発電導入支援策を実施しているのは、昨年11月現在で東京都、京都府、29県と、624区市町村です。今はもっと増えていると思います。
 8月20日つけの神戸新聞では、国への補助申請は昨年同期にくらべ1・5倍。兵庫県は7月15日から始めましたが、3000件の予定件数に対し1ヶ月で764件もの申請がありました。西宮市も当初予算の倍以上の補正予算で対応するそうです。

 Q10,そこで質問です。太陽光発電設備設置にたいする補助金の復活をすべきだと思いますが、どうでしょうか。

(環境市民局長)
 本市では、国の補助制度等がなかった平成19年度から21年度まで、住宅用太陽光発電補助制度を実施しており、21年度には244件の補助を実施いたしました。
 また、22年度につきましても、概ね300件ほど増加しており、今後も電力買取制度や国。県の助成に加え、節電意識の高まりもあり、市の補助がなくても、一定、普及が進んでいくものと認識しております。
 本市といたしましては、財政状況も考えますと現時点においては、多数の市民の方に太陽光発電のメリット等を体感いただくことが、自然エネルギー等の導入促進につながるとの考えのもと、今年度から、太陽光発電設備設置の補助を、私立幼稚園、保育園に対して行っておりますが、そうした先導的な助成を中心に行う考えでございます。

2-5◎ 住宅リフォームとの組み合わせをtop↑

  また、地元業者に仕事が回るよう、住宅リフォーム助成との組み合わせをしてはどうでしょうか。お答えください。

(産業経済局長)
 「住宅リフォーム助成制度」は、地域経済の活性化を図ることを目的としており、これまで、その効果や、助成することが住宅リフオームのきっかけとなるのかといった、多くの懸念事項があることから、実施には至っておりません。
 従いまして、太陽光発電設備の設置と住宅リフォーム助成を組み合わせた助成制度につきましては、現在のところ、実施の予定はございませんが、お尋ねの自然エネルギー等の促進策につきましては、尼崎版グリーンニューディールの中で引き続き検討していくこととしております。

2-6◎国に財源対策求めよtop↑

 問題は財源です。
 日本の国は、この5年間に原子力対策に2兆円以上の税金がつぎ込んできましたが、自然エネルギーには6500億円にも達しません。
 原子力推進に使っていたお金を自然エネルギーの普及に振り向けることが大切です。
いま、私たちが電気料金の中で支払っている3500億円の電源開発促進税を太陽光パネル導入の補助金として10年間使えば、それだけで柏崎刈羽原発なみの電力をつくれます。


 Q11,そこで質問です。国に対して、エネルギー開発を自然エネルギーへ振り向けるよう、国に求めるつもりはありませんか。お答えください。

(環境市民局長)
 先ほどもお答えしましたように、自然エネルギー利用の早期普及への支援について、兵庫県市長会から要望が出される動きもあり、本市も賛同しているところでございます。
 今後も、様々な機会を見極めながら、再生可能工ネルギーの開発を求めてまいりたいと考えております。

2-7● 発電収入の一部を自然エネルギー財源にtop↑
 次に、尼崎市での財源です。あらたな財源を作り出すことは、なかなか困難です。
 しかし、これまで尼崎市でも、クリーンセンターでゴミ焼却を利用した発電をおこなってきました。バイオマス発電もしています。
高知県梼原(ゆすはら)町では、2基の風力発電機を設置し、売電で得た資金で、公共施設への太陽光発電パネル、中学校への小型水力発電機、道の駅に地熱利用の温水プールを建設するなど、次々に取り組みを広げていって、2009年に政府より環境モデル都市に選定されています。
 
Q12,そこで質問です。クリーンセンターやバイオマスの発電で得た収入の一部を再生可能エネルギーの普及や、省エネ対策に優先的に使ってはどうでしょうか。少なくとも、来年度から予定されている灰熔融炉の停止による電力収入が2900万円程度は増える見通しですので、それを使ってはどうでしょうか。お答えください。

(環境市民局長)
 現在.本市では壁面緑化推進事業や自然エネルギー等導入促進事業などの環境施策について、環境基金の原資を取り崩し財源に充てているところでございます。
 今後、基金原資の取り崩しも限度がありますことから、財政状況が許すのであれば、環境部門で生み出した収入など一定の財源を、継続的に環境対策に確保できれば、本市の環境施策を進めていく上で、有効な手段だと考えます。
 そうしたなか、発電で得た収入の−部の環境施策への優先的使用につきましては、本市の財政状況等も考慮しながら、関係課と協議してまいります。


2-8●その他の自然エネルギー活用はtop↑
 次に、その他の自然エネルギーの活用の可能性について伺います。

Q13,まず、お聞きします。公共施設、公共用地の活用です。今度、保育所、幼稚園などへの太陽光パネル設置をすすめますが、その他の公共施設への太陽光パネル等の発電設備はどのように進めるつもりなのかお聞かせください。

(環境市民局長)
 太陽光パネルを設置するにあたりましては、建物の耐震性能や設置場所の状態等といった一定の条件を満たす必要がございます。
 しかしながら、本市の公共施設につきましては、旧耐震基準の建物が多いなど、設置できない施設が多い状況にあります。
 そうしたなか、これまでも、新築や大規模な改築等にあわせ、個々に太陽光パネルの設置を進めているところであり、今後も、新築等の機会を捉え、さらなる設置に努めてまいりたいと考えております。


その際、太陽光だけでなく、小風力発電も進めるべきだと思いますがいかがでしょうか。

(環境市民局長)
 小型風力発電につきましては、クリーンセンターや女性センタートレピエなどで、太陽光パネルと併設したハイブリッド型の街路灯を導入しております。
 しかしながら、現時点において、小型風力発電は、発電出力も小さい上に、通常の街路灯に比べ、設置費用も高額となっておりますことから、啓発用として、効果的な場所があれば、設置について、検討してまいりたいと考えております。


2-10◎フェニックス埋め立て用地の活用をtop↑

 Q14,つぎに、臨海部、フェニックス埋立地の活用です。一定の面積が確保できますが、風力発電、メガソーラーなどの設置の可能性は、どう考えているのでしょうか。また、尼崎市として、自然エネルギーを活用した利用方向をめざすべきだと考えますがいかがでしょうか。


(環境市民局長)
 フェニックス埋立地の一部の土地につきましては、自然エネルギーや緑地などでの活用が考えられます。
 本市といたしましては、自然エネルギーの活用は、普及啓発につながると考えております。
 一方、所有者の兵庫県におきましても、太陽光発電も含め、その活用方策を検討していると聞いており、引き続き、兵庫県の動向を注視してまいりたいと考えております。






2-11◎ 小水力の活用はtop↑

 次に、水力です。
 水力はこれまで、ダムのような大型で、落差を利用したものがすすめられてきましたが、一方では環境破壊の問題などが発生します。そこで、小規模で、水流を利用した小水力発電が注目されています。京都の宇治川や、嵐山での小水力発電が有名です。


 Q15,そこでお聞きします。
 尼崎では土地の高低差が少なく、水流の大きな川はありませんが、六樋や、三平井周辺の比較的水流があるところは利用できないでしょうか。
 また、松島ポンプ場をはじめ、下水、排水の水流を利用できないでしょうか。
 お答えください。
 
(都市整備局長)
 小水力発電については、様々な方式があり導入事例も紹介されておりますが、主に水量と落差が発電量に影響すると言われております。
 お尋ねの六樋や三平井など本市の水路は、勾配がきわめてゆるく、水量も少ないことから、発電には余り適していない状況であります。
 また、ポンプ場や下水処理場等におきましても、放流箇所の落差を利用する発電が考えられますが、非常に少量の発電量しか得られないと想定されます。
 いずれにおきましても、これらを設置するにあたっての設備投資、また、ランニングコスト等に見合った発電量が期待できないことから、現在のところ導入については難しいと考えております。

2-12◎ 民間企業への対策はtop↑
 次に、企業に対する対策です。
 岩手県釜石市では、10年後に自らエネルギーを生み出すあらたな取り組みが進められています。モデルは北九州市といわれますが、製鉄会社の炉を利用した発電、あるいは民間の風力発電会社の誘致など、それこそ、民間の力をも動員しようという試みです。

 Q16,そこでお尋ねします。以前にも会派議員が質問しましたが、パナソニックなど尼崎に誘致した工場に、太陽光パネルか、小風力発電などを義務づける考えはありませんか?
 また、企業の省エネ対策の推進について、尼崎市の取り組みを強めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。


(産業経済局長)
 新たに市内に立地した企業の中には、自主的に太陽光パネルや風力発電装置の設置に取り組むなど、環境に配慮した事業活動を行っているところもありますが、現在のところ、義務とはいたしておりませんが、企業の省エネ対策や環境配慮の取り組みの推進という観点からは、大企業や中小企業を問わず、社会的責任として積極的な活動が求められていることは、十分認識しております。
 こうした活動を支援するため、今年度から、中小企業における効率的な省エネ設備の導入を促進する「中小企業エコ活動総合支援事業」や、市内で製造される環境に配慮した優れた製品の発掘とそのPRに取り組む「あまがさきエコプロダクツ支援事業」を実施するなど、企業の自主的な環境への貢献活動の支援を進めております。
 さらに、市内産業界5団体と共同して「ECO未来都市。尼崎」宣言を行い、市内の産業界が、産業活動のあらゆる場面で、先駆的な環境。エネルギー技術を活用、導入するなど、尼崎発の創造的な新しいものづくりのスタイルを創出し、ものづくり産業の活性化を図っていくこととしてしているところでございます。

【第3回目登壇】top↑
 市長は原発について、廃止という考えを改めて表明されました。このことは同時に、CO2は増やすわけにはいかない、自然エネルギーにシフトせざるを得ません。
 市長の本気度が試されています。
 同時に、低エネルギーの社会にしていくためには、「大量生産、大量消費、大量廃棄」、「24時間型社会」などのエネルギー浪費社会の抜本的な見直しをすすめることが大切です。
 原発のツケは、未来に残さない。自然エネルギーでこそ、循環型社会がつくれます。
 いくつか提案しましたが、ぜひ前向きに取り組んでいただくことを期待して、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。

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2011年9月15日 更新
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