09年5月議会 討論
「尼崎市立保育所条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例について」にたいする討論
2009年5月19日
09年5月議会での討論
「尼崎市立保育所条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例について」にたいする討論

 日本共産党議員団の辻おさむです。

 議案第89号 尼崎市立保育所条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例について、「否決すべきもの」とした委員長報告に反対の討論を行います。

 大島保育所の民間移管計画については、これまで2年間にわたって、議論がされてきました。しかし、それでも大島保育所の保護者は「納得できない」と、裁判につづいて、今回の条例直接請求に取り組まれました。

 委員会での論議は、先ほど委員長から報告があったとおりです。

 私は、今回の条例案は、市民との合意と納得、話し合いの進め方が、問われていると思います。それは、市行政に問われているものですが、同時に、市民が納得していない行政のやり方を議会が認めるのか、あるいは、見直しを求めるのかどうかも問われています。

 裁判は「違法かどうか」のみを問うものであって、たとえ適法であっても、市民合意なしにすすめていいものではありません。

 だからこそ、直接請求に踏み切られたのです。1万3800人の署名、実際には1万5000人を超える署名が1ヶ月の間に集まったことは、決して少なくない数字です。

 5月11日の本会議で、私が、この点に関して、市の認識を質疑いたしました。

 「真摯に受け止める」との答弁でありました。「真摯」とは、辞典で調べましたら、「まじめで熱心なこと。」と書いてありました。

 答弁では、それにつづいて「しかしながら、今後とも、民間移管は進めていく必要があると考えている」。つまり「態度は変わりません」というお答えです。

 また、「訴訟は保護者の一部」との表現についてお聞きしたところ、「提訴されていない保護者がいらっしゃるという意味で、一部と申し上げているもの」、つまり「全部でないから、一部だ」というご答弁です。

 これが、まじめで真摯な態度ですか!

 当局は、「数の多い少ないではない」と言いますが、誤解されても仕方がない表現です。

 代表者が意見陳述で、述べておられます。
 「反対しているのは一部の保護者にすぎないという声を耳にしますが、それを言うなら、大島保育所の民営化に賛成と答えた世帯は65世帯中5世帯だけです。ほとんどの世帯が納得も合意もしていないこの状況をどのようにお考えになるのでしょうか。」。
 問題はここにあるわけです。
 
 委員会では、代表者のうち4人が陳述をされました。私は、どの発言も、保護者の方々の子どもを思う気持ち、必死な思いをひしひしと感じました。

 少し紹介していきたいと思います。

 最初の方は、こう述べられました。

 「育児、家事、仕事にとぎりぎりの生活の中で、直接請求署名活動は、精神的にも体力的にも大変負担の大きいものでした。そんな状態の中で、1軒1軒署名のお願いに回ったり、街頭に立って、この署名の大切さを訴え」「署名に協力してくださった方のほとんどは、公立保育所の廃止・民営化問題について、理解、納得した上で記入してくださりました」と述べられました。
 
 2人目の方は、他の保育所に子どもを通わせている保護者の方ですが、こう述べられました。

 「理由を一言で言うならば、市の計画内容が不十分で、一方的な進め方に納得、理解できないからです」「今後、同じように保護者の意見も聞き入れてもらえず、強引に推し進められるのではないかと心配でなりません」――――
 
 3人目の方は、「大島保育所の廃止・民営化問題は、尼崎のうそから始まった」とのべられました。痛烈な批判です。

 「まだ計画案であったときから、もう決まったような印象を与える説明をし、尼崎市は過去にも民間移管をしてきた、だから大丈夫、運営主体が公立から民間へ変わるだけで、ほかは何も変わらない、公立の保育を継承しますと言いました」
 「しかし、自分たちで調べてみると、先生たちが一斉に入れかわること、過去の民間移管後も何も検証をしてこなかったこと、民間移管後に園と保護者間では解決できない問題が起きて、市に相談に行っても、園と保護者で話し合ってくださいの一点張りであったことなどが、いろいろ出てきました」
 「大島保育所の父母の会と担当課の説明会は、回数だけは重ねていますが、中身は全く進んでおりません。私たちの疑問や不安から出る質問には一切答えてもらっていません」―――

 これが現状、到達なんですね。これでは、解決しない。

 続けてこの方は、こういっておられます。

 「現在の大島保育所の保育内容と先生方をとても信頼し、満足している」
 「日々の生活で いっぱいいっぱいの中で、大島保育所の存在は、子供だけでなく、保護者にも寄り添い、接していただき、大島の先生方に任せれば安心して仕事に行けるからです。保育とは、ただ預かって、適当に遊ばせて、生きて帰せばいいというのではありません」「大島保育所の保育は、保育所に通う5年の間に生きる力の土台をきっちり培うことができており、小学校に上がったときに、その効果が歴然とあらわれるからです。そして、何よりも子供たち自身が大島保育所も先生も大好きだからです」 ―――
 
 最後の方は、「保護者と市当局のやりとりは、交渉や話し合いと呼べるレベルのものではありませんでした」と厳しく指摘されました。

 そして、「私たちがこれほどまでに反対する理由は、1つには、市当局の進め方に問題があるからです。根拠はないが理解してくださいという態度は話し合いとは認められません。合意形成の努力というレベルのものでもありません。子供も保護者も現在の大島保育所が大好きで、尼崎市の行っている保育を信頼し、支持し、このままであってほしいと強く願っているのです」「よくなるか、悪くなるかやってみないとわからないという程度の計画では困るのです」と述べられました。

 ここまで、信頼され、愛されている施設は、尼崎市内にもなかなかありません。

 同時に、ここまで信頼されない尼崎市の進め方は、大きな問題です。

 民間移管については、議会でも様々な議論がされてきました。

 最近、厚生労働省は、市町村の保育実施義務に基づく現行の保育制度を大きく変え、利用者が保育所と直接契約を結ぶ「新たな保育の仕組み」を導入する動きを強めるなど、保育をめぐる状況が、大きく変えられようとしています。
 
 日本共産党議員団は、このようなときだからこそ、尼崎の公立保育所のあり方について、充分な議論が必要だと考え、民間移管には反対です。

 しかし、少なくとも、今回の直接請求で保護者が求めているのは、「市当局のこれまでの説明では、合意も納得もできない」「いったん白紙に戻してほしい」ということです。

 もう一度、陳述を紹介します。

 「子供のことに直接かかわることだけに、私たちは本当に必死なんです。大島保育所の保護者は、こんな計画や一方的で強引な進め方では安心して子供を任せられないと、この民営化計画案にノーと言っています。いつ廃止されるかわからない宙ぶらりんな状態ではなく、一度白紙に戻してから仕切り直すことが解決の一番の近道だと思います」 

 民間移管に賛成であれ、反対であれ、合意と納得抜きにすすめていいという方はいらっしゃらないと思います。保護者の方々の願いを。1万3800人の願いを。議会が聞き届けようではありませんか。ご賛同たまわりますよう、訴えまして、討論といたします。

 ご清聴、ありがとうございました。

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copy right     辻おさむ
 尼崎市大庄西町
  電話:06-6417-7424
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2009年5月20日 更新
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