08年度尼崎市予算案にたいする代表質疑
 1 国は地方自治体をどのようにしようとしているか
 2 自治体のあり方について
 3 公契約・リビングウェイジ条例について
 4 白井市長の所信表明の特徴について
 5 住民の声が出されている問題について
   @市民プール廃止問題について
   A保育所民間移管について
   B学校給食調理業務民間委託について
 6 ハード事業について
 7 産業・東高校統合問題について
 8 市バス敬老パス問題について
 9 職員のあり方について
2008年2月29日
08年度尼崎市予算案にたいする代表質疑

 おはようございます。辻おさむです。
 日本共産党議員団を代表して、2008年度(平成20年)度尼崎市予算案および関連議案、市長の施政方針、「あまがさき行財政構造改革推進プラン」に関連して、質疑をおこなってまいります。
1 国は地方自治体をどのようにしようとしているか top↑

 さて、今の尼崎市民生活の実態は、どうなっているのでしょうか。

 先日、議決がおこなわれた、今年度予算の補正でも明らかなように、国の景気動向に取り残されている形で、個人市民税は、伸び悩み、一部の大手企業の収益の伸びに支えられ、法人市民税は増額補正になりましたが、機械・非鉄金属以外の業種の業績は、市の予想以上に伸び悩んでいます。
 いま、おこなわれている国の構造改革路線の痛みの部分を尼崎市民が強く受けていることの現われです。
 国は、地方自治体に何を求め、そして尼崎市はその中でどうなってきているのでしょうか。「地方分権」という言葉をキーワードに考えてみました。

 「地方分権推進法」の制定から13年たちました。
 推進法では、「基本理念」として、「地方分権の推進は、国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性・自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することを基本として行う」としていました。
 日本共産党も、「住民に身近な地方自治体が住民の意思を尊重して政治を行う」。そして、「そのまちにあった自治を行う」という地方分権の精神に賛同しました。
 しかし、その後の国の「地方分権」に対する政策は、この基本理念とかけ離れてきていると考えています。

 2000年の分権一括法の施行で、国と地方自治体は、「上下・主従」から「対等・協力」に変わるとされましたが、自治体の権限委譲はごくわずかで、税財源の委譲も今年度、所得税と住民税の税率の変更によって行われましたが、地方交付税の削減などを勘案すれば、ほとんどおこなわれていないと見るのが妥当と考えます。

 地方の自主性の確保を行えるだけの「権限」「財源」の委譲は十分に行われてきていません。
 多くの事務に国の中央官庁の関与がのこり、逆に、「分権の推進」として、地方自治体の自立のみが強調されるようになりました。
 
 とくに、小泉内閣以降の財界の代表が民間議員となった「経済財政諮問会議」の「骨太の方針」にしたがう国の施政方針下では、企業の自由な活動を阻害する規制を緩和するためでしょうか、地方自治体を再編し基礎自治体を300程度に減少させる。また都道府県を解体し道州制の導入を行う流れが強まっています。

 あわせて、国は、財政再建と称し、地方自治体への「三位一体の改革」を押し付け、補助・負担金の廃止、地方交付税の総額減額など強力な財源締め付けを行い、地方自治体がそこに住む、住民とともに作り上げてきた福祉や街づくりの施策を継続できないようにしてきています。
 
 昨年の地方交付税の大幅削減については、「もうこれ以上ガマンならない」と地方6団体が声を上げ、一定の改善が行われましたが、しかし、今年度の尼崎市予算でも、国の地方財政計画の見通しで作った予算額より大きく乖離した算定しか行われない、また、党議員団も指摘をし、市当局もその事実を認め、国に要望しているように、本来国が責任を持って行うべき、生活保護、児童扶養手当などの交付税算入額が、毎年20億円も不足しており、「分権」とは名ばかりの「地方切捨て」の姿が続いています。
 
 今年まで行われてきた「経営再建プログラム」にも、いま策定されている「行財政構造改革推進プラン」にも、「分権」の推進や「分権型地方自治体の確立」「自立した自治体」などの言葉が並び、国の方針に従った、尼崎市の行政の姿の変革が進められています。
 
 これで、推進法が提唱した「地方公共団体の自主性・自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現する」分権社会の実現がおこなえるのでしょうか?

Q、お聞きします
 分権については、これまでの議会でも論議され、当局から、分権に期待する声もあったと思います。三位一体改革についての、市長の評価と認識をお聞かせください。
 また、地方自治体を財政的にしめつけて、自治体職員削減や、それに基づく市民サービス切り下げを行わせようとする国のやり方にたいし、意見を述べるべきだと考えますが、市長の考えをお聞かせください。

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●白井市長答弁
  三位一体の改革につきましては、地方の裁量権を拡大し、財政的な自立を促すことで、地方分権を進めるもので、真の地方自治確立に向けた取組の骨格をなすものであると考えております。
  しかしながら、これまで実施されました改革の中には、国庫補助負担金改革では、補助負担率だけが引き下げられて市の裁量が働かないものが見られたり、地方交付税改革では、地方負担の所要額が措置されず、地方交付税が本来有する財源保障機能が十分働いていないといった課題が残されており、本来の三位一体の改革の趣旨からいたしますと、不十分なものであると認識いたしております。
  これまでも、地方6団体を通じて、地方税財源の充実確保についての意見を述べてまいりましたが、今後とも、あらゆる機会を捉えまして、地方財政の真の自立に向け、国等に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
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 さて、この間、小泉内閣、安倍内閣のもとで、構造改革路線がすすめられてまいりました。大企業の利益をまもる労働法制の規制緩和などにより、国民の間に格差と貧困を広げ、ワーキングプアなどを生み出し、いまや社会問題ともなっています。
 「弱肉強食」の経済運営をすすめる新自由主義の矛盾が噴出してきています。
 
 地方自治にあっては、骨太方針が新自由主義の地方版として打ち出され、「小さな自治体」づくりが推進されました。
 「自己決定」「自己責任」とは、「国はなにもしません」という裏返しです。
 自治体が市民に「自己決定」「自己責任」という場合も、「自治体は何もしません」になってはなりません。
 
 昨年の参議院選挙で政府与党が惨敗しました。「いまの政治を何とかしてほしい」という国民の反撃がはじまったともいえます。
 福田総理になって、「生活者・消費者が主役」「国民が安心して生活できる社会保障」など、言い出さざるを得なくなりました。国民の声を反映して、一定の手直しが始まっています。
 
 しかし、少なくとも、違法な派遣労働の野放しや社会保障費の自然増を毎年2200億円も削減する「骨太方針」をやめなければ、当面の対応策も一時しのぎに終わります。
 いま、新自由主義の見直し、手直しが求められているのです。
 
  さて、「あまがさき行財政構造改革推進プラン(案)」が示されています。
 
 改革改善項目については、地方交付税の確保、同和事業の見直し、多重債務対策など、一定、市議団の要望も取り入れられているものの、市民サービスの担い手を変える問題も多く含まれています。
 それだけに、市民との対話と納得が必要です。

 「推進プラン」の5年の期間については、12月の一般質問でも、急がず対話を重視すべきだとの提案をしたところです。
 あわせて、経営再建プログラムの考え方である、「顧客主義」「成果主義」についても一定の総括が必要だと考えます。
 「顧客主義」とは、市民を主権者から消費者に変えてしまうものです。市民サービスは金で買うものとし、自治体の仕事を変質させるものです。
 自治体の仕事の多くは、人が手をかけるものであり、「競争原理の導入」は、低賃金労働者を生み出すものとなります。
 ニュー・パブリック・マネージメントがいう「効率化」とは、民間企業の運営手法ですが、民間の場合は、利益の増減であらわされます。自治体への導入に際しては、行政サービスの「効率」をお金でしばってしまう役割として働きます。本来の自治体の役割を見失ってはなりません。

2 自治体のあり方についてtop↑

 まず、自治体のあり方について、伺います。

 あまがさき行財政構造改革推進プランでは、5年後の2012年度(平成24年度)までに、職員定数を500人減らし、職員2800人体制がめざされています。
 しかし、2800人の職員で尼崎市の行政をどのように運営するのか、全体像が明らかではありません。

 これまで、職員の退職数にあわせて、民間移管や指定管理者、嘱託や臨時雇用職員で対応してきました。今後も、こういうやり方で進められるだろうことは予想できます。「プラン」期間中は1000人の退職者にたいし、500人の採用、差し引きで500人削減という計画です。
 それでは「どこを減らすのか」というのが、不明確です。
 「推進プラン」の説明を聞いた中では、職員は「少数精鋭」にし企画・計画を行う。民間事業者や法人でもやれる業務は、委託や指定管理者にしてもらう。その際、競争性を高める。ということでした。

 人間は、「考える動物」です。目で見て、耳で聞いて、手で触ってみて、動かしてみて、認識し、脳で考えるのです。

 行政が、現場を民間に譲り渡すことは、目、耳、手を失うこと、ノウハウを失うことでもあります。今は、行政がやっている市民サービス業務の多くは、民間でも技術的にはやれる時代です。しかし、すべての現場業務を民間に譲りわたせば、やがて民間にしかできなくなります。

 「知恵」は、現場にあります。しかし、その知恵が民間からの借り物、あるいは、データだけの判断になっては、市民の生の実情が見えなくなってしまうのではないでしょうか。

 Q、お尋ねします。
 職員体制は、尼崎はどんな町、どんな行政になるのかということと不可分です。職員2800人体制にするというのであれば、その考え方、デザインを示し、市民に問うべきではないでしょうか。市長の考えをお聞かせください。


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●白井市長答弁
  現在、お示ししております行財政構造改革推進プランに基づき、今後5ケ年で500人の職員定数の削減に取り組むことにより、ご指摘のとおり将来2800人程度の体制で行政を運営していくこととなりますが、これによって行政の後退や市民サービスの低下を招いたりするようなことはあってはならず、住民ニーズを受け止めながら複雑多様化する様々な地域課題に対応していくという考え方はいささかも変わるもめではありません。
  ただ、その目標の達成に向けて職員が直接担う役割は自ずと変化していくものであり、市民や事業者との関係においては、自助・共助・公助の観点からの論議を、そして少数精鋭が求められる職員の人材育成においては、職員一人ひとりが、まちづくりへの明確なビジョンや市民感覚を更に携えた中で、漕ぎ手から舵取り役への意識改革や資質の向上を図っていかねばならないと考えております。
  何れにしましても、現時点において同プランに計上しております改革改善項目の実施だけで削減目標の達成ができるものではなく、将来の行政の姿と職員体制との関係が本討画においてより明確になるようにしていかねばならないと考えており、今後、毎年の予算編成や組織改正時において更に具体的な取り組み策を明らかにしてまいりたいと考えております。
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3 公契約・リビングウェイジ条例についてtop↑

 次に、公契約・リビングウェイジ条例の問題です。

 昨年10月に、東京都国分寺市、荒川区を、他の会派の方々とも一緒に視察をいたしました。
 国分寺市では、「調達に関する基本指針」を策定し、条例化はされていないけれど、「できるところからやる」との立場ですすめています。
  また、荒川区では、「非常勤職員制度」の見直しをおこない、職責に見合った処遇への改善を行っています。
 
 どちらも、経過は違いますが、公契約のあり方、あるいは業務委託のなかで、労働者の生活、権利を、どう保障していくのか、あわせて行政サービスの質をどう維持していくのかという問題意識をもって検討をし、制度の確立を模索しています。

 さて尼崎市では、昨年9月の市議会で「公契約条例の制定を求める陳情」が採択されました。

 全国的にも労働組合などがリビングウェイジ法、条例の制定をもとめる運動がすすめられていることもありますが、尼崎市で昨年、連続して起こった「市民課住民記録の入力データ業務での偽装請負」「火葬場での委託契約の見直し」、社会保険事務所から指摘をうけた「報償費の取り扱い」など、市役所業務のあり方が、問われる事件が相次いだことも大きな要因になっています。

 しかし、その後の当局の対応は、一般質問や総務委員会で質してまいりましたけれども、「担当課に調査させている」という程度のものでありました。

  この5年間に、市職員は900人削減されました。
  その一方で、嘱託職員は155人、臨時的任用職員は148人、合計303人増えています。
  2008年度(平成20年度)は、職員70人を減らす一方で、嘱託15人、臨時職員72人が増えます。
  このほかの人数は、業務委託、指定管理者の元で働く労働者に置き換えられています。
  これらの人も、市役所の仕事、市民サービスの担い手です。
 
 Q、議会で陳情が採択されたことは、「尼崎市は、市の仕事のなかでワーキングプアを作り出している」という疑いをかけられているのではないでしょうか。
  市当局が「そうではない」というなら、それを証明する責任が尼崎市にあると考えます。
  少なくとも、実態の調査をすべきだと考えますが、市長の決意をお聞かせください。

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●白井市長答弁
  本市としましては、適切な入札等により、最小の経費で最大の効果を上げるため、適切な業務執行を行っているものでございます。
  そうした中で、法令等を遵守した適正な労働条件を設定していることは、委託先としての要件の一つであり、また一連の偽装請負や報償費等の問題を受け、法令違反に結びつく実態を再び招くことのないよう、契約内容や現場での業務実態の把握等については、今後も継続して行ってまいります。
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 議会サイドでは、陳情の採択後、「公契約条例の実現をめざす議員の会」が発足しました。
 手探り状態ではありますが、勉強会をかさねていっているところであります。すでに3回おこなっています。
 労働者だけでなく、事業者からも期待の声があがっています。

 もちろん、議会だけでできるのもでもありません。条例ができれば執行するのは当局ですから、十分に協議することも必要だと考えています。
 
 Q、そこでお尋ねします。
 公契約・リビングウェイジ条例について、協働のテーブルにつく、あるいは協働で研究をすすめるつもりはありませんか。市長の考えをお聞かせください。
 

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●白井市長答弁
 公契約に関する条例制定に関しましては、一般に賃金等や安全確保などの労働条件は、労働基準法等に基づき、当事借間で適切に処理されることがあくまでも基本であると考えており、労働者の賃金、労働条件の確保を適正に行うためにも、公契約法の制定がまたれることから、国の動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。
 しかしながら、議会において陳情が採択されたことから、現在、担当課において同内容の陳情を採択された自治体を中心に動向、課題を調査しているところであり、現段階では、協働で研究を進める考えはございません。
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4 白井市長の所信表明の特徴について top↑

 次に、白井市長の2008年度(平成20年度)施政方針について、感想を述べておきたいと思います。
 
 一つは、「構造改革」路線で、貧困と格差が広がり、社会保障の切り下げと負担増で、市民生活は大変苦しい実態にあるのに、痛みを感じている市民生活がまったく見えない所信表明でした。
 生活保護世帯も増え続けています。年金生活者も増えています。

 昨年、ホームレスの実態調査がおこなわれましたが、多くの方が空き缶をあつめて収入を得ておられます。地域を歩いておりますと、空き缶は、ホームレスの方々だけではなくて、「国民年金だけでは暮らしていけないので、空き缶を集めて生活費にしている」「ホームレスと取り合いになる」という方もいらっしゃいます。それほど、必死に生活しているんです。

 団塊の世代が定年期に入り、「協働のまちづくり」の担い手なってほしいという思いは、わかりますが、そうした余裕もない市民もたくさんいることに思いをはせてほしいと思います。
 
 Q、お聞きします。
 「構造改革」路線で苦しむ市民の実態について、市長の認識をお聞かせください。

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●白井市長答弁
 近年、所得格差等様々な格差が現れ、それが拡大していることが社会問題となっております。
 また、国では持続可能な社会保障制度の確保のために世代間のバランスを取りつつ公平、公正な給付と負担になるよう制度改正を進めており、その結果、高齢者の方々の経済的な負担が重くなってきていることは認識いたしております。
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 もう一つは、「市民の声」についての市長の認識です。
 
 市長は、施政方針のなかで、「平成20年度施策の推進にあたって」として、こう述べておられます。
 「近年、市民の要望は多様化しており、また相反する様々な意見もあり、それらを集約することに時間を要します。そのような中で、制度や仕組みを変えていくには、何事にも説明を尽くす姿勢が大切であると考えます。市民との対話も立場が違いますので、最初からすべてうまく進むとは限りません。理解し共感してもらえるようわかりやすい情報提供に努めてまいりたいと存じます」
 
 説明責任は、当然、必要です。しかし、わかりやすい情報、説明だけでは、市民の納得を得ることはできません。

 日本共産党議員団は、これまで2回の市長選挙を一緒にたたかいました。
 共産党市議団が評価をしてきたのは、第1に、清潔であること。第2に、情報の公開。これは、ずいぶん進んだと思います。第3に、市民の声を聞く仕組みづくりをすすめたことでした。
 しかし、問題は、市民から聞いた声を、どう生かし、取り入れる努力をしている姿が、見えないことです。
 最近、ある人から言われました。
 「都合のいいことだけ取り入れるのは、検討といわない」。なるほどそのとおりです。
 その意見に耳をかたむけ、吟味し、検討を重ねて、結論が導き出されるものでなければ、市民の納得は得られないでしょう。

5 住民の声が出されている問題について top↑

 以下、多くの市民・住民から、異論や疑問、意見が出されている問題について、順次、お聞きしてまいります。

   @市民プール廃止問題について  学校プールは代替にならない。 top↑

 まず、はじめは、市民プールについてです。

 尼崎では、児童館も廃止され、市民プールは、子どもたちの夏休みの居場所として残された数少ない施設です。
 「廃止案」発表後、大庄の社会福祉協議会、子ども会、PTAが市長に存続の要望を出したのを皮切りに、議会にも多くの陳情がだされ、PTA連合会からの陳情は、6万人にも及んでいます。

 市民の声は「市民プールを存続してほしい」ということです。
 尼崎市は、「そのためにどうすればいいのか」という立場に、なぜ立てないのでしょうか?

 市民プール廃止の代替として出されてきた「小学校プールの開放」は、8月の2週間程度です。
 市民への説明会は、去年の8月、今年の1月、2月と、3回に渡って行われました。私も大庄の説明会にすべて参加しましたが、納得する人は一人もいませんでした。

 Q、お聞きします。
 プールは、急に古くなるわけではありません。建設してから年数がたてば、老朽化することは当然です。なぜこうなるまで直さなかったのか。必要な補修、改修をする予算を担当部局は要求しなかったのでしょうか。
 また、これまで使用してきた市民プールについて、必要な施設として、位置づけられてきたのでしょうか。財政上のお荷物だという認識だったのでしょうか。お答えください。

 さらに、
 教育委員会は、市民プール廃止案がでたときに、夏休みの子どもたちの居場所として、必要な施設だという意見はもたなかったのでしょうか。意見を出さないとしたら、市民プール廃止にともなう、夏休みの子どもたちの過ごし方について、それに変わる対策をどのように検討されたのでしょうか。お答えください。

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●白井市長答弁
 市民プールは、昭和40年代に建設され、概ね20年が経過した時点で、プール槽のステンレス化や、プールサイドの全面改修などの補修工事を行っております。
 その後は、本市の財政状況が次第に厳しくなるとともに、阪神淡路大震災にかかる震災復興事業などの行政需要に優先的に対応する必要性がありましたことから、プールの安全対策として、管理運営にかかる必要最小限の補修を行ってまいりました。
 また、5箇所のプールにつきましては、建設後40年を経過していることに加え、2階建ての構造となっていることや震災の影響などもあり、老朽化が進んだものと考えられます。
 市民プールは、市民の皆様が水に親しみ、遊泳する場として、長年にわたり、その役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、民間プールの増加や、平成18年には、年間利用が可能な県立プールが本市にオープンするなど、市民プールを取り巻く状況も、建設当時とは変化しており、市民プールの老朽化状況や、本市の現下の財政状況も勘案し、2箇所の運営は継続とする市民プールの整理統合の考え方を示したものでございます。
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●教育長答弁
 市民プールは、長年子どもたちが夏休みに水に親しむ場所として活用されてきており、子どもたちの居場所のひとつであると考えております。
 しかしながら、老朽化による市民プールの整理統合が避けられない状況の中で、子どもたちの夏休みの生活への影響も考え、小学校プールの開放について、教育委員会として取組みを検討したものでございます。
 学校プールの開放に当たりましては、安全面や衛生面を考え、改築済みプールを対象とし、学校の水泳指導に支障をきたさない範囲での開放となりますため、市民プールと全く同様の条件とはなりませんが、子どもたちの健全育成に少しでも役立てたいと考えております。
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 次に、小学校プールの開放は、「市民プールの代替になるのか」という問題です。
 
 市内の浄化装置のある小学校のプール6ヵ所の開放が予算提案されています。
 開放時間は、午前・午後の2時間ずつから、3時間ずつに延長されました。
 しかし、開放期間は、8月の前半の2週間程度というのはかわりません。

 市民プールは、小学校の子どもたちだけではなく、幼児も使っています。プールを利用している保育所も、公立・私立を問わず、ほとんどの保育所が利用していると思います。

 市民説明会で、保育園関係者から出された意見では、「保育園でもプールはあるが、非常に狭い」。そして、「子どもたちが水に親しんで、その夏にどこまで成長したのかをはかるのが、市民プールでの保育だ」ということです。

 さらに、8月のお盆前後は、里帰りなど、子どもたちも少ないし、保育士も夏休みで少ない。そのころに市民プールにはいけない。したがって市民プールでの保育は、8月の後半に集中するし、他の保育園と競合しないように調整しているということです。
 8月上旬では、非常に使いにくい、使えないのです。

 こうした意見について、最後の説明会では、回答がありませんでした。

 Q、お聞きします。
 小学校プールの開放は、保育園児、幼児の成長という観点からは、どのように検討されたのでしょうか。お答えください。


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●教育長答弁
 学校プールの開放は、幼児から中学生までの子どもたちに、夏季期間に自由に水に親しめる場を提供するため、実施しようとするものでございます。
 こうしたことから、施設面等での制約はございますが、プールの水深を浅くするためのプールフロアの設置をはじめ、プールに管理責任者や監視員を配置するなど、安全管理面に配慮したなかで検討を行なったものでございます。
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 大庄の市民説明会では、プール開放の対象校になっている学校の教員の発言がありました。
 現場で指導にあたっておられる方だけに、指摘はリアルです。

 循環式浄化装置のついているプールは、常にオーバーフロー状態です。つまり最も水深が深い状態で使用します。
 小学校の低学年と、高学年では、身長がかなり違うので、プールの底が斜めになっていて、深さが違う、水面を見ただけでは、深さはわかりません。実際の学校ではプールをフェンスによって区切っています。
 
 学校でのプール授業は、深い方、浅い方、いずれかを使って、全員がいっせい、あるいは順番にプールに入り、泳ぎ、プールからでます。管理が非常にしやすい。

 ところが、市民プールのような使い方では、そうした管理ができない。学校プールとは、まったく違うわけです。
 幼児が、誤って深い方のプールに入る、あるいは、フェンスを乗り越えて深い方に入る。とめられますか。

 学校プールの開放中は、教育委員会が管理をするということですが、教育委員会が持っているのは、授業としてのプール管理のノウハウです。市民プールのノウハウではありません。
 
 2月の市民説明会では、教育委員会の出席もありました。

 私は、かえって不安になりました。
 大庄の説明会に参加したのですが、南の口プールの現在の利用人員は1日200人前後。学校プールではどれぐらい利用できるのかの質問に、「ロッカーが男女50人ずつなので100人は入れる。午前、午後の入れ替えで200人」という回答でした、しかし、8月上旬の日曜日ともなれば、親子で来ることも考えられ、教育委員会の回答は「日曜日は入りきれないと心配している」というものでした。

 最初から、収容しきれない計画で、代替案といえるのでしょうか。
 
 Q、お聞きします。
 教育委員会は、昨年の夏、市民プールとの違いを、実際に調査してみて、結論をだしたのでしょうか。学校開放の案が出てきたのは、市民プールを閉鎖してからの話ですから、できていないと思うのですが、子どもの安全に関わる問題ですから、調査したのか、しなかったのか、お答えください。
 

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●教育長答弁
 教育委員会といたしましても、学校プールの開放実施に向けまして、対象となる小学校プールや市民プールの現地調査を行うとともに、学校長の意見を聞くなど検討を重ねてまいりました。
 また、関係部局等と利用者の安全管理の面や施設面、運営方法などについて協議した中で、具体的な実施内容を決定したものでございます。
 更に、実際の学校プールの運営に当たりましても、プールの深さや利用上の注意をわかりやすく表示するとともに、監視員による注意喚起を行うなど、安全確保に努めて参ります。
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  市民プールについて、市民説明会とは別に、陳情者と個別の話し合いもあったようです。
 しかし、武庫地域の説明会で、PTAの方が大変、いかった発言をされていたと聞いています。
 
 Q、お聞きします。
 連合PTAとはどんな話し合いがされてきたのでしょうか。経過と内容をお聞かせください。
 また、市の説明に市民は納得したのでしょうか。市長の認識をお聞かせください。

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●白井市長答弁
 都市整備局からは、本年1月にPTA連合会の役員の方々に、学校プールの開放を含む市の修正案を、説明するとともに、委員会での陳情審議の中でも、議論のありました、段階的廃止などについても意見交換をさせていただいたと聞いております。
 その後、5箇所のプールを改めて、点検し、検証した結果、市民の安全を確保した責任ある運営はできない状況であるとの報告を受け、5箇所同時の閉場と決定したものでございます。
 私といたしましては、本件に限らず、何事も説明を尽くす姿勢が大切であると考えます。
 市民プールの整理統合につきましても、多くの市民のご意見があるなか、市民の皆様の理解が得られますよう、市民プールの状況や整理統合の必要性について、わかりやすい情報提供などにより、説明を尽くす所存でございます。
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   A保育所民間移管について  top↑

 次に、保育所民間移管について、伺います。

 昨年12月議会で、今福保育所と、大島保育所を民間移管する条例は、日本共産党議員団は反対しましたが、議会ではわずかの差ながら賛成多数で可決されました。

 現在、今福保育所の事業を引き継いで運営する社会福祉法人の募集が行われています。
 
 Q、お聞きします。
 大島保育所については、市長が、直接、出向いて説明をしたと聞いています。しかし、大島保育所の保護者は、納得できないので、選定にあたっての「ガイドライン」という形で改善要求が出されてきました。当局は、ガイドラインについての返答を返したと聞いていますが、それで保護者は、納得したのでしょうか。

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●白井市長答弁
  大島保育所の民間移管にあたりましては、保護者から移管に係る選考基準や、選考方法等についての、要望書の提出があり、現在、各要望項目につきまして、市の考え方をお示しし、ご説明しているところでございます。
  今後、協議を進める中で、保護者の方々のご意見を取り入れることが可能な項目につきましては、柔軟に対応してまいりたいと考えております。
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 次に、「公立保育所のあり方」についてうかがいます。
 
 公立保育所を最終的に9ヵ所だけ残すことについては、議会も、市民も納得していません。
 日本共産党議員団は、民間移管の是非は別にしても、公立保育所の充実は必要だと考えています。

 尼崎市が示した「公立保育所の今後の基本的方向」では、公立保育所の果たす役割について、「保育に欠ける子どもの受け入れを保障する役割」「市の保育水準の維持向上を示す役割」「地域における子育て支援事業の協力・連携機関としての役割」をあげ、「今後は、長年に渡って培ってきた、公立保育所がもつ子育てノウハウを積極的に提供することにより、子育て支援の充実を図る役割を果たしていく」と書かれています。
 
 Q、お聞きします。
 民間移管計画は、年度ごとに移管保育所名もあげられて、具体的です。しかし、公立保育所の充実については、具体化がまったくありません。公立保育所の役割を評価し、充実をめざすのなら、まずそのことを具体化すべきではないでしょうか。市長の決意をお聞かせください。

 
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●白井市長答弁
 昨日も、ご答弁いたしましたとおり、「公立保育所の今後の基本的方向」は、公立保育所の今後のあり方についての基本的な考え方を示したものでございます。
 その中で、公立保育所が果たすべき役割としまして、3つの役割を掲げ、一部例示的な事業を示しておりますが、そうした役割を実現するための具体的な取り組み内容等につきまして、今後、さらに検討してまいりたいと考えております。
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   B学校給食調理業務民間委託について top↑

 次に、小学校給食の調理業務民間委託について、お尋ねします。

 昨年の予算審議では、小学校の給食室を衛生的な「ドライ方式」に改修すると同時に、その経費を絞り出すために、調理業務を「市職員による直営」から、「民間に委託する」という提案がされました。議会は「施設の改修、献立の充実と民間委託は別である。民間委託については、07度以降、市民、PTA、学校関係者及び議会との協議の場を持ち、慎重に内容を検討されたい。」との意見をつけました。

 その後、「素案」の説明会が市内6カ所で行われました。
 施設改修や、献立の充実については、議会も承認し、だれも否定する人はありません。
 問題は、「民間委託でいいのか」ということであったにも関わらず、民間委託については「まだ決まっていない」と、まともに説明はしませんでした。私も参加したので覚えています。

 また、先日の反対討論で明らかにしたように、保護者や学校に対しても、十分知らされないまま、業者選定など、着々と準備を進めてきたわけです。
 
 Q、おたずねします。
 議会の同意も得ず、保護者や学校関係者にもまともに説明もしないで、準備をすすめ、強引に民間委託をすすめるやり方は、「決める前に市民と相談する」という、白井市長の政治姿勢からみてどうなのでしょうか。市長の考えをお聞かせください。

 
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●白井市長答弁
  学校給食調理業務の民間委託につきましては、給食調理業務見直しに係る実施計画(素案)を作成し、教育委員会において、数度にわたり保護者、PTA連合会、市民等に対し、ご理解を求めるために、各小学校や地域で説明会を実施し、パブリックコメント等でご意見をいただき、また、その都度議会へも報告をし、実施計画(案)を作成したものでございます。
  また、実施計画(案)についても、素案と同様に、市民等に対し説明会を行うなど、説明に努めてまいりました。
  議会の同意を得てから、市民の皆様に具体的な説明をする方法では、限界のあることから、今後は、より早い時期に意見交換を行う必要があると考えております。
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 次に給食の民間委託化を、「なぜ4年間でやってしまう計画なのか」という問題です。

 文教委員会でも、各委員から、「試行的にできないのか」「とりあえず4校をやってみて、様子を見たらどうか」などの意見が相次いでいます。不安が拭い去れないからではないでしょうか。

 4年間で、全小学校で実施する点では、「全小学校を公平にするため」という意見もあります。
 しかし、公平に全生徒に提供するのは、米飯給食であり、3品献立であって、民間委託ではありません。新築の杭瀬小学校の給食室には1億円が投じられています。一方、改修の3小学校では2500万円です。施設の上でもすでに差がついています。

 かつて尼崎でも、中学校に食堂を設置しましたが、試行的に3中学校で実施しただけで、公平には行われませんでした。数年で、取り止めとなりました。

 宝塚市では、いったん学校給食に導入した民間委託を、事故や問題が発生したこともありますが、直営に戻した例もあります。
 
 Q、お聞きします。
 なぜ、「4年間で全校実施」という計画でなければならないのでしょうか。
 民間委託化により、問題が発生したとき、直営に戻すことも視野に入れているのかどうか、お答えください。

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●教育長答弁
  衛生管理のさらなる向上と給食内容の充実などについて、各学校での不公平感を出来るだけ短期間で解消するために4年間を目処に、全ての給食室の改善を行うものであります。
  ただし、耐震診断の結果の如何により改築の必要性がある場合や統合関係校については、別途検討が必要であると考えており、整備後に順次給食調理業務の委託化を図ってまいります。
 なお、委託後も、安全で安心な給食を継続的に行ってまいるものでございます。
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 先日、尼崎市嘱託労働組合の方々と懇談しました。小学校給食の調理に携わっている方々です。
 
 給食調理室は、現在の水で洗い流す方式から、「衛生的」であるとしてドライ方式に「改善」すると同時に、コンベクションオーブンを導入するなど、設備を改善し、自校米飯、3品献立など、調理内容を充実させるとしています。
 新築の杭瀬小学校では、当初からドライ方式で給食室が作られています。まもなく竣工です。
 しかし、竹谷小学校など3校は、改修によって「ドライ化」工事がおこなわれました。
 
 嘱託労組との懇談では、開口一番、「『なんちゃってドライ』だ」と、言われました。
 「なんのこっちゃ」と、聞きますと、非常に不十分な改善であることが口々に語られました。

 「新築の杭瀬小学校では、水を使うスペースと、使わないスペースが区切られているので問題ないが、他の3校では、同じ場所で水を使う作業と、使わない作業を行う」

 「前は、野菜などを洗った後のかごなどは、次の作業をしながら掃除する作業ができたが、いまは水が使えないので、配食が終わった午後に、回収された食器とともに洗っている。洗い物で超勤が続いている」

 「水を使わないからと、普通のエプロンに変えられたが、結局びしょびしょになってしまった」

 「床を拭いたあとの雑巾を干す場所もないから、調理室に干している。ほんとうにドライ化が衛生的なのか?」
 などなどであります。
 
 どうしてこんなことになるのでしょうか。
 これまでの水で洗い流す方式から、「ドライ」になると、消毒液で拭きとる作業になります。不慣れな点は差し引いたとしても、作業工程が大きく変わることになります。
 
 嘱託労組の方々は、「私たちが夏休みの間、児童ホームに勤務し、学校に帰ってきたらドライ化工事が終わっていた。つくるときに意見を聞いてもらう間もなかった」と言っておられます。
 だれが作業をするにしても、これから工事をしていく学校が大半なわけですから、すでに完成した3小学校について、検証する必要があります。
 しかも、直接、職員や嘱託のみなさんが作業にあたれるのは、3学期の給食がおわる3月17日までです。意見を聞き、検証できる期限は残り少なくなっています。
 
 Q、お聞きします。
 「ドライ化」工事がおわった3校の実情について、教育委員会は実態を調査し、その上にたって、残る学校の「ドライ化」が、3小学校の方式でいいのか、検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 その際、直営で行われている間に、嘱託やアルバイトもふくめて、現場に働く職員の意見を聞くべきであります。ご答弁を求めます。

 
 Q、市長にお聞きします。
 昨日の答弁で、市長は現場を見ていないということですが、教育委員会の報告だけでなく、現場をみていただき、実際に調理にあたっている職員の話をきていただきたいと思います。
 ご答弁をおねがいします。


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●教育長答弁
 今回のドライ化工事は、高温多湿である環境を改善するために必要な整備であり、今後もさらに、安全な給食を継続するために行っていくものでございます。
 また、3小学校についての課題点については、9月からの実施状況について報告を受けるだけでなく、実地確認などの検証を行い、現場の意見を反映させ、可能な改善を行いました。
 今後とも、よりよい給食室の整備に努めてまいりたいと考えております。
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●白井市長答弁
 給食室の具体的な整備について、教育委員会で現場の意見を聞いて反映させ、改善を行っているものと聞いております。
 今後とも、工夫改善が必要なものについては、適切な措置が行われるよう実施してまいります。
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 次に、業者選定と、雇用の問題で伺います。

 当初、給食調理業務について、現在の体制のままだと、13億円の経費がかかっているが、民間に委託すると9億円程度だという試算が提示されていました。

 しかし、今回、業者選定をおこなった結果、直営と民間業者の差は、4校で400万円、1小学校あたり100万円の効果しかありません。最近では教育委員会も「財政効果」を言わなくなっているようです。
 
 また、業者選定の過程で、当初、説明会への参加や、応募書類を受け取ったのは18業者でしたが、実際に新政をしたのは6業者です。その後、1業者が別の地域で学校給食調理業務を受けたので辞退し、またもう一つの業者も、責任者になる予定の人が退職し、「人材を確保できない」との理由で辞退しました。

 結局、4業者を審査し、大阪と神戸の2業者が選定され、別の大阪の1業者が次点となりました。それぞれ、給食の委託を手がけている大手業者ばかりです。市内の業者は次点にも選ばれませんでした。

 市の担当者は、「初めてであり、ハードルを高くしたため」といっておられました。
 しかし、次の選考も、ハードルを下げるわけにはいきません。子どもたちが、毎日食べる給食の問題ですから。
 しかも、これから毎年、4校、18校、18校と民間委託をすすめていく計画です。これに対応できるのは、多くの調理員や、資格をもった責任者を配置できる業者に限られてきます。

 Q、お聞きします。
 限られた業者にしか受けられなくなることで、業者が特定され、その意向を尼崎市が無視できなくなる危険はないのか。少なくともそういった懸念を検討したのかどうか、お答えください。

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●教育長答弁
 今回給食調理業務の委託業者を募集するにあたり、説明会の参加や問い合わせが18業者あり、そのうち、応募は6業者で、最終的に2社を選考いたしたものでございます。
 しかしながら、応募に至らなかった業者の中には、参加までの準備にいたらなかったが、来年度以降は参加したいといった業者も数社あることから、次年度以降は参加業者が増えるものと考えております。
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 嘱託労組との懇談でお話をきかせていただいた嘱託調理員の方は、経験年数が9年から、一番短い人で5年でした。給食調理というのは、家庭料理とは違って、全校の生徒分を大量につくるという業務です。たとえ調理師免許をもっていても、大きな釜を持ち上げるにもコツがいります。経験が必要な職場です。ですから、嘱託という専門性が要求されるのですが、1年限りの雇用という不安定さもあります。

 民間委託によって、嘱託調理員の方々は、どうなるのでしょうか。来年度は、「配置換えによって対応する」と当局から言われているようですが、4年後にすべての対象校が民間委託されます。

 Q、お聞きします。
 このままでは、4年後には、給食調理に携わっている嘱託調理員の方々は雇い止めになるのでしょうか。雇用対策はどのようにするつもりでしょうか。お答えください。
 
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●教育長答弁
 ご指摘のとおり、平成20年度につきましては配置換えによる対応により、嘱託員の雇用確保の問題は生じてまいりませんが、今後さらに委託化を進める中では、嘱託員の雇用対策につきましてできるだけ早期に明らかにしていく必要があると考えております。
 なお、雇用対策の検討にあたりましては、これまでの経緯も踏まえ、嘱託員の意見も聞きながら最大限努力していく考えでございます。
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 つづいて、栄養職員について伺います。
 
 栄養職員を各小学校に配置することは、「偽装請負」にならないためにも重要です。請負業者への指示の窓口になるからです。
 しかし、現状は、尼崎市の給食にたずさわっている栄養職員は27人です。全対象校に配置するとなると17人足りません。兵庫県も「新行革プラン」をすすめているなかで、県費で栄養職員を確保することは、難しいのではないでしょうか。
 
 Q、お聞きします。
 市費で確保するとなれば、かえって直営より経費がかかることにもなりかねません。学校栄養職員の確保は、どのようにするつもりでしょうか。お答
えください。

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●教育長答弁
 食育の推進のためには、栄養士等の確保が必要なことから、不足する栄養教諭、学校栄養職員につきましては、引き続き兵庫県及び県教育委員会に対し、あらゆる機会を通じて、全校への配置を要望してまいります。
 しかしながら、これら職員等の確保が困難な場合につきましては、負担に係わらず、市費による栄養職員等の確保についても検討してまいります。
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 学校給食について、いろいろお聞きしてまいりました。
 民間委託については「行財政構造改革推進プラン」の項目にかかげられています。
 職員の500人削減とあわせての「プラン」です。
 正規職員の調理員が退職したあと、新たに雇用したのでは、その職員が退職するまで、続けなくてはならない。退職者を不補充にし、新たな職員を雇わない。ベテランであっても嘱託だけで調理業務をおこなうわけにはいかないので、この際、民間業者に委託する。嘱託職員は雇い止めにする。民間委託するためには、給食調理室を「ドライシステム」にしなければ、国が認めてくれないので、不十分な「ドライ化」であっても、とにかく「ドライ化」の工事をする。
 「4年間で全校実施」というのは、こういう計画だといわれてもしかたありません。

6 ハード事業について  top↑

 次に、ハード事業について伺います。

 日本共産党議員団は、ハード事業すべてを批判しているのではありません。
 生活密着型の事業は、市民の生活、安全を守るためにも必要ですし、市内中小零細業者の仕事を作り出す上でも必要だと考えています。
 その点で、土木事務所の予算を増額しているのは、大いに評価し、期待をするものです。

 問題は、多額の市財政を使う大型の事業です。
 
 「行財政構造改革推進プラン(案)」と同時に、今後3年間のハード事業計画がだされました。
 3年間の投資的事業費の総額は724億4400万円です。そのうち継続中の大規模投資事業は、387億7200万円、53.5%を締めています。これらの事業は、一度はじめると、なかなかやめられない、とまらない。

 未来の尼崎市財政にも大きな影響を与えるだけに、慎重に検討する必要があります。

7 産業・東高校統合問題について  top↑

 今後、3年間のハード事業計画のうち104億円、14.3%を占めているのが、尼崎産業高校と尼崎東高校を統合する新高校の建設費用です。
 新年度予算案では、建設費として15億7800万円、債務負担行為の86億8700万円が計上されています。
 
 「良い学校にしたい」というのは誰もが思うことであります。日本共産党議員団も、当然それを願っています。
 しかし、教育は、あとで「間違いでした」では、すまされない問題です。
 
 日本共産党議員団は、昨年末と、新年にかけて、尼崎東高校と、産業高校を訪問し、校長先生や現場の先生から、実情とご意見を聞かせてもらいました。

 どちらも、一様にいわれるのは、「いったい、どんな学校になるのか」ということが、いまだに明らかでないことです。「どんな学校にするのか」ということは、新高校建設にあたっての基本中の基本の問題です。

 教育長は、2006年(平成18年)12年の議会で、「2校の統合により新しい高校をつくるという、またとないこの機会をとらえ、全国に誇れる、また市民が誇れる高校にしてまいりたい」と答えられました。
 
 Q、お聞きします。
 昨日の蔵本議員の質問にたいし、教育長は、教育目標として、「実学の重視」を掲げ、「キャリア教育を柱とした進学・進路指導の充実」「文化芸術」「科学技術」「国際理解」「地域に根ざした学校」など、新高校の概要をしめされましたが、この概要にたって、どのような「全国に誇れる」内容となるのでしょうか。お聞かせください。

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●教育長答弁
 新高校が、他に誇れる学校となるためには、教育内容の充実とこれを支える環境整備が相まって、まず生徒や保護者、市民から入学したい、学んでみたいと、評価を得ることが必要であります。
 このためには、教育内容におきましては、昨日ご説明したとおり、実務や実践を大切にする「実学」を重視してまいりたいと考えております。その細部にわたる内容は、今後定めることになりますが、学校での取組を通して、進学や就職において十分な成果を出していくことこそが、他から の評価に繋がり、市民が誇りうる高校となると考えております。
 このため、施設設備においては、教育を保障する学習環境はもとより、クラブ活動の推進などにおいて、これからの時代に相応しい内容を備えたものが必要と考えております。
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 学校での教育活動の中心は、「教科指導」と「生活指導」です。

 「教科指導」とは、授業の内容です。
 「生活指導」というのは、ホームルームや特別教育活動の指導のことですが、教育活動の方針や枠組を示すものが「カリキュラム」で、時間割や年間指導計画の形で示されます。

 この「カリキュラム」を決めるためには、まず「どんな学校にするのか」の方針が必要です。そして、その方針に沿った「カリキュラム」があってこそ、教室はいくついるのか、特別教室はどんなものが、どれぐらい必要なのか、またその配置などを決めることができます。
 
 尼崎産業高校と、尼崎東高校の統合で、一番問題になるのは、職業科という専門分野を扱う産業高校と、受験などを中心とした普通科の尼崎東高校とは、質的にまったく違う高校の統合だという点です。
 全国にほとんど例がないのは、それほどむつかしい問題だということです。

 高校生たちに教える教科目は、学習指導要領で職業科の場合は、専門科目の単位履習が25単位以上と定められています。尼崎産業高校では、33〜39単位に拡大しています。だからこそ、専門の分野を手厚く履修することができていると考えます。

 しかし、その分、普通科目の単位数は、普通科に比べて少なくなります。分量の少ない科目=教科書を履修させることにならざるを得ないんです。
 その結果、教える内容も教え方にも違いが出てきます。また、評価の仕方や単位認定の基準も違うことになります。

 さらに、ホームルーム編成も、尼崎産業では、商業科、機械科、電気科の3つの科のミックスホームルームを実施しています。尼崎東でも、自然学級編成にしています。その編成理念は同じでも、それをならしてのホームルーム編成は、たいへん難しい問題です。

 また、両校に聞きましたところ、尼崎産業高校では、生徒のモチベーションを9月に高めるよう工夫しています。就職時期に合わせているんです。
 一方、尼崎東高校では、11月、あるいは2月にあわせています。受験に備えるためです。
 この時期に、体育大会や文化祭など学校全体の行事を組むことはできません。
 それほど違っているんです。

 ホームルームや生徒会指導でも異なっているのに、これを教師の側が一括して指導することは出来ないのではないでしょうか。

 したがって、教科指導や評価の仕方を相談する「教科会議」、ホームルーム指導を相談する「学年会」、学校全体の教育活動を相談する「職員会議」も別々に持たざるを得なくなってしまいます。

 これを無理やり一つの学校として運営することは、到底、不可能といわざるをえません。

 これは、私が言っているのではなく、両校の教職員の方々が、そろって言っていることです。
 先月末に尼崎産業高校の職員一同、今月のはじめに尼崎東高校の職員一同の名前で、教育委員長、教育長宛に意見書がだされました。職員一同、つまり教職員が全員一致して出した意見だということは、きわめて重要です。

 要約すると、こうです。
 「現在および将来の生徒にとって、良い方向で教育が発展することにいささかの異論はない」
 「両校の現場では、昨年度末(2007年3月)まで、両校のカリキュラムを統一することが、可能かどうかを検討しましたが、困難であるとの結論に至りました。その後、教育委員会からは、この結論をくつがえすような提案はなく、設計図完成にむけた提示だけがなされてきました」
 
 つまり、両校の教員は1年もかけて検討したけれど、結論は「無理だ」ということにならざるをえなかった。しかも、それを再検討するような材料を、教育委員会は、1年間も示さないまま、今日に至っているわけです。

 Q、お聞きします。
 いまだに「統一カリキュラム」ができていないのは、1年間も放置してきた教育委員会に責任があります。教育委員会は、「統一カリキュラム」ができるというのなら、両校にたいし誠実に答えるべきです。
 昨日のご答弁では、2008年度(平成20年度)の出来るだけ早い時期に説明やPRをすると答えられました。そうであるならば、「統一カリキュラム」ができるという根拠をお持ちと思いますが、お聞かせください。
 また、「統一カリキュラム」のない状態で設計された新高校の設計図は、どんな位置づけになるのでしょうか。お答えください。
 
 Q、市長にお聞きします。
 市長は、両校の教員が誠実に検討した結果、職業科と普通科高校を統合した「カリキュラム」の作成は、困難だとの結論を1年も前に出しているのに、教育委員会から何の解決策も、まだ出されていないことを認識されているのでしょうか。市長の考えをお聞かせください。
 

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●教育長答弁
 教育課程いわゆるカリキュラムについては、市の学則により校長が定めることになっております。新高校の教育課程につきましても、これを定める必要がありますので、教育委員会が主体となって、今後、予定されている学習指導要領の改定も踏まえながら、できるだけ早い段階でまとめてまいります。
 次に、新高校の設計につきましては、高校としての基本的な構成は大き<変わるものではありませんが、法令の遵守はもとより、統合する両校から、必要な教室等の数や面積についての要望も受けて、市立尼崎高校や他の高校との比較検討もする中で進めてまいりました。こうしたことから新高校における教育を展開するに際し、諸条件を満たす施設となっていると考えております。
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●白井市長答弁
 カリキュラムの作成につきましては、学校現場と教育委員会との共同作業でつくられるものと受け止めております。
 現時点において、こうした状況があることは、残念であり、必要により、論点等を公開して専門家の智恵を借りるなどの工夫により、早期に作成することが必要と考えております。
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 なぜ、このような事態になったのでしょうか。
 もともと、産業高校と東高校の統合を決めた市立高等学校審議会では、総合学科のようなものを想定していましたが、途中で、工業系の学科から、「電気」「機械」「国際ビジネス」と、明確に専門科を定めたことで、当初の基本計画が崩れてしまったのです。そのために「統一カリキュラム」の作成が不可能になってしまいました。
 
 さらに、前述の「意見書」では、こう述べています。
 「計画では、開校までたった2年しか残されていません。となると、カリキュラムは実質的に来年度夏(つまり今年の夏)までに完成させなければなりません。しかし計画を推進する教育委員会でさえ、具体的な提案もできずに今年度末を迎えようとしています。とても間に合いません。」

Q、お尋ねします。
 意見書が述べているように、教育委員会が、いまだに具体的な提案ができないのなら、開校に間に合わないか、二つの学校が並存する「併置校」とならざるを得ませんが、教育委員会の考えをお答えください。

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●教育長答弁
 新高校は、普通科と3つの専門学科で構成する―つの高校であります。学科の枠を越えた選択科目の設置や学校行事、課外クラブ活動などに工夫をこらした学校運営に取り組んでまいります。
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 次に、「行財政構造改革推進プラン」との関係で、伺います。

 教育内容が不明確なまま、行革効果だけは、明確に数字がだされてます。

 「行財政構造改革推進プラン」では、「市立全日制高等学校の見直し」の項目をかかげて、「尼崎東高等学校と尼崎産業高等学校を統合することに伴い、併せて経常的経費の見直しを行う」としています。

 その効果額は、「同規模程度の高等学校との比較による概算額」として、3億5814万円を計上しています。
 おそらく人件費が多くをしめていると考えられます。

 Q、お尋ねします。
  概算額だとしても、何を比較しての効果額としているのでしょうか。根拠をお示しください。
 管理職の削減だけでは、できない数字です。効果とは、職員の削減でしょうか、教員の削減で考えているのでしょうか。お答えください。

 
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●教育長答弁
 行財政構造改革推進プランでお示しした構造改善効果額は、新高校と尼崎東高校及び産業高校2校の経費比較から算出したものであります。
 そのうちの大半は人件費となりますが、新高校の教職員数につきましては、同規模程度の学校を参考とし、学校規模や学科構成によって配置人数を定める高校標準法(公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律)を基本として、さらに一定の加算を行ったものであります。
 一方、2校の教職員の人数は現行人数を合計したものであります。
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Q、教育長! 
 尼崎産業高校と、東高校の全教員が、統一カリキュラムはできない。無理だといっているんです。
 それなのに、あなた方は、「できる」といって、この財政が大変なときに、100億円もの予算を使いたいと、議会に提案しているんですよ。我々も判断を求められている。
 それならば、「こうすればできる」という、材料を示すのは当然ではありませんか。
 しかも、「全国に誇れる高校にする」といったのは、あなたです。
 完全なカリキュラムを出せとはいいません。「できる」という材料を、予算議会中に、出してもらいたい。再答弁をお願いします。
 

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●教育長答弁

 できるだけ早い段階で新高校のカリキュラムを示せというような質問でございましたけれども、カリキュラムというのは毎年度、学校においてつくる教育計画でございます。そしてその基準となるものが、教育基本法とか、学校基本法とか、学習指導要領、そしてその学校の生徒の実態といったものを踏まえて、毎年、計画をたてるのがカリキュラムでございます。
 したがいまして、現在、学校教育法が改定され、そして高等学校の学習指導要領は、この夏以降、秋ぐらいに新しい改定案を示すということになっておりますけれども、そういうものを踏まえて新しい学校のカリキュラムをつくらなくてはなりません。
 しかし現段階で基本的なところは、教育委員会が骨組みをつくって、できるだけ早い段階でお示しをしたい。(議会中に出さないと議決できないよ)基本的なことについては、この会期中に示すことはできます。以上です。
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 産業高校の教育目標は、「文化の香り高い人間性の豊かな明朗にして幅の広い実践力に富む産業人の育成」であり、特色として「専門についての基礎理論と、技術革新の時代に対応する専門職業技術の習得」が掲げられています。

 一方、尼崎東高校の教育目標は、「民主的な文化国家の形成者としての資質を十分に伸ばし、健康で実践力のある人間を育成する」ことにあり、「基礎学力の充実、真理を探求する態度の育成」などであります。

 専門技術を習得するためには、専門課程の教員を減らすわけにはいきません。
 一方、普通教科では、共通性があるとはいえ、教える内容にはかなりの違いがあり、一人の教師が両方の授業をすることは無理ではないでしょうか。そうすれば、普通科教員を減らすこともできません。

 現在、尼崎市立高校には、教員の加配が行われていますが、それを減らすことになるのでしょうか。
 教員を減らして、どうして「全国に誇れる良い学校」にすることができるのでしょうか。

 このままでは十分な検討もされないまま開校となります。無理に統合すれば、両校の良いところを歪めてしまう結果となることを指摘しておきます。
 
8 市バス敬老パス問題について  top↑

 次に、「老人市バス特別乗車証交付事業」について、伺います。
 
 「老人市バス特別乗車証」は、市内に1年以上居住している70歳以上の高齢者に、交付しており、事務事業評価でも、「高齢者の就労や、学習など社会参加をうながし、高齢者の生きがい促進を図ることを目的にしている」とされています。

 現在、尼崎の路線バスを利用している人の48%は、65歳以上の高齢者です。
 そして、路線バスにのっていく目的地は、病院などが25%、大規模小売店舗などが24%。これで半数を占めています。尼崎市のバスは、買物、食事、病院などに利用されているわけです。

 とくに高齢者にとって、日常の生活になくてはならないものとなっています。
 中には、近くの銭湯、お風呂屋さんがなくなったので、バスにのって銭湯にいく。「バスでバスに行く」という方もいらっしゃいます。
 
 さて、「行財政構造改革推進プラン」には、事務事業の見直し項目の一つとして、「老人市バス特別乗車証の見直し」がかかげられ、「改善内容」として、「利用者に半額負担を求めるなどの事業の見直しについて、会議体を設置し、市民等の意見を聴取しながら検討し、実施する」としています。そして、2008年度、2009年度(平成20年度、21年度)に、「会議体の設置や市民アンケートの実施、関係機関との調整、市民への説明等」をおこない、2010年度(平成22年度)に、「制度の見直し実施」としています。

 2008年度(平成20年度)の予算案には、公営企業審議会を設置するとともに、バス交通に関する市民意識調査をおこない、老人市バス特別乗車証調査事業では検討会の設置やアンケート実施予算が計上されています。
 
Q、お尋ねします。
 「公営企業審議会」は、企画財政局と交通局が共同で運営負担金を支出するものですが、何を審議するのでしょうか。市バスを存続するためにするのか、廃止のためにやるのか、設置の目的と狙いをお答えください。また、審議会は、公開とし、市民説明会や市民意見の聴取もすべきだと考えますがいかがでしょうか。
 

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●白井市長答弁
 市営バスは、通勤・通学者や高齢者などの身近な交通手段であり、市民生活・都市活動を支える「市民の足」として重要な役割を担っております。また、今後の高齢社会の進展や環境問題への対応など公共交通としてのバスに求められる役割は大きいものと考えております。
 しかしながら、市営バス事業の経営状況は、人口減少やマイカーの普及などによる利用者数の減少により、一般会計からの路線補助金を繰り入れても、なお厳しい経営環境にあり、今後更に厳しさが増すものと考えております。
 そういった中で、市営バス事業の今後の進むべき方向性について、全市的な観点から総合的に審議いただくために、公営企業審議会を設置するものでございます。
 なお、公営企業審議会は市長の諮問機関として設置するもので、委員として学識経験者や市議会議員、市民の方などにも参画いただくこととしておりますので、市民説明会は行いませんが、その審議は公開して参ります。
 また、市民意見につきましては、別途実施する「バス交通に関する市民意識調査事業」において、市営バス事業についてもお聞きすることとしておりますので、その結果を審議会に報告して参ります。
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 「市バスのあり方」については、2006年度(平成18年度)に庁内での「市バス事業検討会議」が設置され、2007年(平成19年)3月に「報告書」が出されています。

 また今年度は、「市営バスのあり方懇話会」が設置され、現在、報告書のまとめの段階にはいっています。
 いずれの会議も「老人市バス特別乗車証」制度の見直しについて、市バスの経営に及ぼす影響の大きさを指摘しています。

  庁内での「市バス事業検討会議」報告書では、「老人等特別乗車証制度のあり方」について、こう書かれています。

 「市営バス事業においては、現行制度による負担金収入が事業収益の約42%(平成17年度事業収益3,705,241千円)を占めており、事業経営上の大きな財源となっているのも事実である。例えば、老人特別乗車証の見直し方法のひとつとして、利用者に一部負担を求めた場合、徒歩でも移動可能な短距離の乗車も多く(平成16年11月に実施した乗客流動実態調査の結果では、バス停留所2区間の特別乗車証利用者は約15%であった。)、こうした乗車料の一部負担を求めることにより、これらの利用者がバス利用を控えることも考えられ、これによる大きな減収は免れないと思われる。このように、制度見直しの内容如何によっては、市営バス事業経営をさらに逼迫させ、事業の存続さえ危ぶまれる状況になることも想起される。」

 この「報告書」がだされてから、「推進プラン」で、見直しが出されてきたわけです。
 
Q、お尋ねします。
 経営が悪化することがわかっていて、利用者に半額負担をもとめようとしているのでしょうか。また、「市営バスのあり方懇話会」で審議中にもかかわらず、市バス経営を悪化させる「老人市バス特別乗車証」制度の見直しを検討するのは、なぜでしょうか。お答えください。
 

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●白井市長答弁
 今後、70歳以上の高齢者人口が増加する中で、それに比例して事業費が増え続ける状況が見込まれます。
 財政状況が極めて厳しい中で、老人市バス特別乗車証制度を、今後も安定した事業として継続していくことができるよう、福祉制度としての見直しを検討することとしたものでございます。
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 次に、「老人市バス特別乗車証調査事業」での「市民意識調査」について伺います。

 同調査は、70歳以上2000人と、70歳以下3000人を無作為に選んでアンケートを行う事業です。ここで重視しなければならないのは、「老人市バス特別乗車証」の対象となるお年寄りの声です。

 若い人、元気な人は、バスが使えなければ、自転車や徒歩などの代替交通機関が使えます。しかし、バスを使うしかない高齢者、無料だからこそ利用できる低所得の高齢者の声が、もっとも大切だと思います。

 また高齢者が多くいる団体の声も聞くべきです。
 
 Q、お尋ねします。
 調査にあたっては、公営交通を守る立場で、実際に市バスを最もよく利用している高齢者の声を重視すべきだと考えますが、いかがでしょうか。


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●白井市長答弁
 老人市バス特別乗車証の見直しにあたりましては、乗車証を利用している高齢者はもとより、交付の対象とならない方も含め、幅広い市民の声を聴取して参る考えでございます。
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 次に、アンケートの内容です。

 市バスを利用している高齢者からも、「私らが、ただで乗っているから、バスが赤字なんや」という声をよく聞きます。実際には、乗客の48%が高齢者であり、市バス会計の収入の42%が「特別乗車証」による収入です。高齢者が乗るから、市バスが存続できているんです。

 昨年、市民プールの問題で、その前年におこなった市民プール利用者へのアンケートが問題になりました。せっかくアンケートをとりながら、大人には「市民プール存続」という選択肢がない設問、子どもには「市民プール廃止」さえ、言わずに、利用実態だけ聞き取る内容でした。

 市バスの問題は、高齢者の生活がかかった問題です。市民プールの轍を踏むべきではありません。

 Q、お尋ねします。
 市バスのアンケートでは、「特別乗車証」の果たしている役割を正確に理解してもらえる工夫が必要です。そして、高齢者が、病院や買物など、日常生活を送るうえで、市バスや特別乗車証が果たす役割が正確に反映、掌握できるなど内容にすべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、アンケート内容は、当局だけで決めるのではなく、学識経験者や市民も入った検討会で決めるべきだと考えますが、ご答弁をお願いします。

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●白井市長答弁
 アンケートの実施に当たりましては、制度の趣旨や市の財政状況、高齢者の推移、見直しの必要性などについて理解していただくための資料も盛り込んだ内容にしていく考えでございます。
 アンケートの内容につきましては、市がその項目や内容の素案を作成し、検討会の委員のご意見をお聴きする中で決定してまいります。
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9 職員のあり方について top↑

 毎年、4000人前後の職員が、能力開発研修や、他の期間への派遣研修に参加しています。
 パソコン教室から、リーダー育成、実務研修など様々です。

 Q、ときに市長は、黒沢明監督の映画「生きる」をごらんになったことがあるでしょうか?
 
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●白井市長答弁
 ご質問の映画につきましては、私自身も市長就任の直後に見たことがあり、私としても共感ができる部分もございました。
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 映画「生きる」について市長は、ごらんになったということでありました。
 
 志村喬さんが演じる主人公が、雪の降る公園のブランコに乗って「命短し」と歌うシーンが有名であります。昨年、松本幸四郎さんの主演でリメイクされました。

 内容を少し紹介します。
 
 ある市役所の市民課課長が、ガンの告知をうけ、余命半年という中で、「自分はどうしたら良いのか」、悩んで悩みぬいた後、選んだ道は、「仕事をやり遂げる」ことでした。
 ここでいう市民課とは、市民の苦情窓口です。かつて「たらいまわし」の窓口でしかありませんでしたが、一念発起した課長は、積極的に動くことになります。
 やがて死を迎えるのですが、お通夜の席で市役所の職員たちが、「なぜ、やる気のなかった課長が、突然変わったのか」「自分の担当でもないのに、口を出してくる」「上司に立てついたのは前代未聞」「実績を横取りされてかわいそうだ」など、さまざまな疑問や感想が飛び交います。
 しかし、やがて明らかになるのは、公園を作ってもらった近所のお母さんたちが、心底、悲しがっていること、公園をつくるために、担当である公園課の職員全員に頭をさげて回ったこと、上司や、ならず者の妨害にもめげなかったことなど、必死に意思を貫き通した姿でした。
 そして最後に、雪の公園で死んだことは、寂しい死に際でなく、最後にその姿を見かけた人が「とても楽しそうだった」という感想を語り、半年という短い期間ではありますが、満足をして死んでいったのだということが浮かび上がります。

 ここには、住民にもっとも身近な地方公務員としてのすばらしい姿があるのではないでしょうか。

 「住民のために物をつくる」「住民のために制度をつくる」。そのために、身を粉にして働く。
 ここに地方公務員としての役割も、やりがい、生きがいも、知恵と工夫も生み出されてくるのではないでしょうか。
 
 Q、そこでお尋ねします。
 映画「生きる」を職員研修の材料として使ってはどうでしょうか? 見解をお聞かせください。

 
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●白井市長答弁
 この映画は、本当に生きる意昧とは何か、私たち公務員の使命とは何かを考えさせられる内容であったと考えております。
 現在策定中である新たな人材育成計画におきましても、市民の立場に立って、市民とともに考えることができる職員を育て上げていくことを基本として、職員の研修に取り組んで参りたいと考えております。
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 映画「生きる」を職員研修の材料にするということについては、ぜひ、採用されるよう、要望いたします。
 
 さて、最後に、ある人の言葉を紹介したいと思います。
 
 「市職員になった方々は、市民サービスに徹し、『市民福祉の向上に貢献したい』と思って、市役所に入ったはずです。私は職員の皆様には、市民の方々の感動を、自らの仕事の原動力にするような公務員になっていただきたいのです。 市職員という仕事は、それができる仕事なのです。 現在の大変厳しい状況は、『市役所は、一体何のためにあるのか』『職員は、誰のためにいるのか』を改めて見直し、職員としての働き方を自ら問い直すチャンスであります。 一人一人が自分自身を信頼し、自治体職員として市民の視点に立って仕事を着々と行っていかなければなりません。 その積み重ねにより信頼が育くまれ、そうした信頼が更なる新しい信頼を生み出し、やがて市民から市役所職員は『市民の宝物』『尼崎市の財産』と評価されるようになると思います」
 
 以上であります。
 
 まさに映画「生きる」に表現された市職員の姿を、市長も思い浮かばれていたのではないでしょうか。
 
 これは、2002年12月12日、市民や職員、約700人の前で、初登庁の就任のあいさつをされた白井市長の言葉であります。
 
 市民の声、要望にたいし「お金がないのでできません」と、市民にあきらめさせるように説得する市役所職員の姿は、『市民の宝物』と言えるでしょうか。
 
「あなた方は人件費が高いので、安い嘱託や臨時職員、請負、派遣、指定管理者に置き換えます」ということで、市役所職員は『尼崎市の財産』と言えるのでしょうか。
 
 困難ではあっても、市民の要望をどのように実現していくのか、前進させていくのか、市民と一緒に悩み、知恵を出し合う姿こそ求められているのではないでしょうか。
 
 市民のために働くことにこそ、自治体職員の生きがい、やりがいが生まれます。市長は、所信でのべられた職員像が、市政のなかで根付かせられるよう期待します。

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 以上で日本共産党議員団を代表しての、私のすべての質疑を終わります。
 残余の問題は、分科会、総括質疑でただして参ります。
 ご清聴、ありがとうございました。
 
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住みよい尼崎のまちに
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2008年3月1日 更新
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