2006年12月市議会 議案質疑
議案第148  後期高齢者医療保険兵庫県広域連合の設立に関する条例案について
議案第148号 
兵庫県後期高齢者医療広域連合に関する協議への質疑    
(200612月5日 議案質疑)

兵庫県後期高齢者医療広域連合に関する協議への質疑

 日本共産党議員団の辻おさむでございます。

 私は、ただいま上程されました「議案第148号 兵庫県後期高齢者医療広域連合の設立に関する協議」について、質疑をいたします。

 本議案は、「後期高齢者医療制度」の2008年度からの発足をめざして、兵庫県域のすべての自治体が加盟する「兵庫県後期高齢者医療広域連合」の設立を協議するものであります。

 「後期高齢者医療制度」は、75歳以上の高齢者を「後期高齢者」として、現在加入している国民健康保険や組合健保など被用者保険から切り離し、後期高齢者だけを被保険者とする独立した医療保険制度とするもので、第164国会で成立した、医療制度改悪法の一つです。

 厚生労働省がしめした「後期高齢者医療制度」の財政の概要では、75歳以上の高齢者人口を約1300万人と見込んでおります。

Q1 尼崎市でこの制度の対象となる75歳以上の高齢者は、何人でしょうか。

また、現在、子どもなどに扶養されている被扶養者も対象となりますが、被用者保険の被扶養者は何人になるでしょうか。お答え願います。

答弁
 平成20年4月における後期高齢者医療制度の対象者は、現在の老人保健医療の対象者と同様に、65歳から74歳の障害者と75歳以上の高齢者で、合わせて、約43,600人と見込んでおります。
 このうち、後期高齢者本人が被保険者となっている人数は約29,700人、被扶養者は約13,900人と見込んでおります。

次に、厚生労働省は、後期高齢者の医療費を11・1兆円(給付費総額10.3兆円、患者負担1.1兆円)と見込んでいます。

 そのうち、約半分を公費負担分とし、定率国庫負担が25%、国の調整交付金が8%、都道府県と市町村の定率負担がそれぞれ8%ずつ負担することになります。

 残り約50%のうち、40%分を健保、国保等、74歳までの各医療保険の後期高齢者支援金でまかないます。残る10%分を後期高齢者の保険料、高額医療費に対する支援、保険基盤安定制度でまかない、後期高齢者の保険料は8%=0.8兆円が見込まれています。

 2年ごとに見直しをおこない、後期高齢者の数が増えるのに応じて、財源割合が増える、保険料が引きあがる仕組みになっています。

 一方、現役世代と、後期高齢者は、診療報酬も「別建て」になり、後期高齢者の治療や入院の報酬を引き下げるなど、差別医療が行える仕組みにもなっています。

 後期高齢者の医療費が増えるたびに、「保険料値上げか」「医療内容の切り下げか」という、どちらも耐え難い「痛み」の選択を迫られることになります。

 Q2 国民健康保険では、一般会計からの繰り入れなど保険料軽減の措置がとられてきましたが、後期高齢者医療制度では、どのようになるのでしょうか。お答えください。

 答弁
 後期高齢者医療制度につきましては、都道府県単位で、全ての市町村が加入する広域連合を設置して、財政運営を行うこととなり、同一の広域連合内は均一保険料を設定することが基本となります。
 また、同制度に係る経費の負担割合につきましても、法律により、患者負担分を除いた医療給付費等の総額に対して、公費約5割、現役世代からの支援約4割、保険料約1割の負担が規定されております。
 従いまして、この財源構成によって運営されていくことが基本であると考えております。

次に、この後期高齢者の保険料が、実際、どのようになるのか、見て行きたいと思います。

後期高齢者の保険料は、介護保険と同じ様に後期高齢者一人ひとりにたいして、保険料が賦課・徴収されます。

 保険料の算定については、国保の算定方法を参考にして、頭割りの応益割と。所得に応じた応能割の2階建てです。

所得割の算定対象所得は、旧ただし書所得=総所得金額から基礎控除を差し引いた額を基準とするとしています。

世帯の所得水準に応じて七割、五割、二割の軽減があります。

08年度の保険料の全国平均は、激変緩和措置をふくまない場合、月額6200円という推計です。

厚生労働省が示しているモデルケースでは、
@厚生年金の平均的な年金額の受給者(厚生年金年額208万円)は、応益割3100円、応能割3100円の月6200円。

A基礎年金受給者(年間年金額79万円)では、応能割がなく応益割のみで七割軽減されますので月額900円です。

Bまた、自営業者と同居する人(子の年収390万円、親の基礎年金79万円)の場合は、応益割のみで月3100円。

C被用者の子どもと同居する人(子どもが政管健保被保険者で平均年収が390万円、親が基礎年金年額79万円)の場合は、応益割のみの月3100円であります。

 これらの保険料は、介護保険と同様に年額18万円(月額1万5000円)以上の年金受給者は、年金から天引きされます。後期高齢者の8割が年金天引きになると見られています。

 月額6200円。介護保険料と合わせると、月1万円以上も天引きされるわけです。

 高齢者にとって、大変な負担です。

 さらに、保険料を滞納した場合には、短期保険者証、資格証明書、あるいは、保険給付の一時差し止めをおこなう、としています。

 高齢者に病気はつき物であります。医療を受けられないことは、命にもかかわる問題です。

Q3 そこでお尋ねします。

従来、国民健康保険では、後期高齢者は、障害者や被爆者などと同様、短期保険証、資格証明証を発行してはならないとされてきました。医療保障なしで生きてゆけない弱者にたいする救済措置はあるのでしょうか、お尋ねします。

 答弁

 国民健康保険法では、老人保健法の規定による医療給付を受ける者は資格証明書の発行対象からは除かれております。
 しかしながら、後期高齢者医療制度では、こうした取り扱いはなく、「高齢者の医療の確保に関する法律第54条」において、被保険者が保険料を滞納した場合に、有効期限の短い短期証を発行することや滞納発生後1年を経過した滞納者に対しては、災害等の特別の事情のない限り、被保険者証の返還を求め、資格証明書の交付を行うことと定められております。


 次に、広域連合についての問題です。

 後期高齢者保険制度の運営主体は、新たにつくられる広域連合であります。

都道府県単位で結成し、すべての市区町村が加入するしくみです。

広域連合の議会がつくられ、兵庫県の場合は、@市町の首長、または助役、A市町議会議員から、各自治体1名を選出する提案であります。

広域連合の議員の選出は、有権者による直接選挙も可能ですが、規約案ではそうなっていないようです。

もともと広域連合というのは、廃棄物処理など「広域的に処理することが適当な事務」を複数の市町村で行うとして、1994年の地方自治法改正で導入された制度であります。

本来、広域連合は市区町村から自発的に発議するものです。これまでの広域連合は市区町村の判断で脱退もできましたが、「後期高齢者医療保険」では法律で加入を義務付け、脱退を許さないという点では、「地方自治の建前にも反する」という指摘もあります。

2階の組織であり、「住民の声が届きにくい」という問題があります。

本年68日の参議院厚生労働委員会で日本共産党の小池晃参議院議員が「75歳以上の高齢者にとって、切実な保険料条例や、減免規定が、高齢者の実態からかけ離れたところで決められる懸念がある」とただしたところ、厚労省の保険局長が「75歳以上の方々のご意見を踏まえて運営すべきはそのとおり。何らかの形でそうした努力をしていただきたい」と答弁をしております。

Q4 そこでお聞きします。今回提案の規約案の中で、75歳以上の高齢者の意見が直接に反映される仕組みとなっていませんが、なぜでしょうか。また、そうした仕組みを入れるようにどのような努力がされたのでしょうか。お尋ねします。

答弁要旨
 広域連合の規約事項につきましては、地方自治法第291条の4に規定されており、@広域連合の名称をはじめとして、A区域、B処理する事務、C広域計画の項目、D事務所の位置、E議会の組織、F経費の支弁の方法等、広域連合の組織としての基本的な事項を定めるものであり、議員ご指摘の高齢者の意見反映に関する仕組みを規定するようなものではございません。
 従いまして、意見反映の仕組みづくりにつきましては、広域連合設立後の連合の意思で検討し、定めていくべきものであると理解しております。

Q5 次に、尼崎からの議員の選出について、規約案によれば、市長、助役、議員の中から選出することになりますが、その方法についてどのように考えて折られるのか、おたずねします。

答弁
 今回、提案させていただいている規約案第8条におきまして、広域連合議員の選挙の方法を規定しており、市町長、副市町長及び議会の議員のうちから、議会において1人を選挙することとしております。
 その選挙の方法といたしましては、地方自治法第118条の規定により、投票又は指名推薦の方法によることと規定されております。
 なお、具体的な選出方法等につきましては、今後、他都市の状況も考慮し、検討・協議して参りたいと考えております。

 75歳以上の高齢者は、これまで扶養されていた人まで、保険料が課せられる。年金から天引きされる。医療費が上がれば、保険料が上がる。払えなければ、保険証を取り上げられる。

 国保で資格証明書の発行を受けた披保険者の約半分が受診を控え、医療から遠ざけられているといわれており、健康悪化を引き起こすなど、大問題になっています。この措置を後期高齢者医療制度でも持ち込むものであり、重大です。

 こうした高齢者の命と健康にとって重大な制度であるのに、高齢者の意見が直接に反映されないというのは、大問題です。

 広域連合議会は、住民から直接選ばれない議員が、保険料や保険料の減免の有無、財政方針、給付計画など、高齢者の生活にかかわる重大問題を決定するだけに、不透明であってはならないと思います。

Q6 そこで質問です。
 広域連合の各自治体、各議会への報告義務はどのようになっているでしょうか。また、白井市長は情報公開をすすめておられますが、尼崎市と同じような情報公開を規約に盛り込むよう、どのような努力をされたのか、お尋ねします。

答弁
 広域連合は、県下全市町が加入して後期高齢者医療制度を運営するために設置するものであるため、円滑な制度運営を図る観点から、必要に応じて随時、市町への報告等がなされるものであると考えております。
 また、広域連合の設立後においては、広域連合としての組織運営を行うための各種規定を整備する予定になっており、各自治体等への情報提供の仕組みや情報の公開に関する条例の制定など、所要の規定が整備されるものと考えております。

また、尼崎からの議員の選出については、これからということでありました。

市長、助役が出る場合でも、議会議員が出る場合でも、尼崎市内の後期高齢者の意見をどう聞いて、どう反映させるかということが求められます。

Q7 そこで質問です。

 尼崎市内の75歳以上の後期高齢者の声を聞く仕組みは、どのように考えておられるのか、お伺いいたします。

  答弁
 市内の後期高齢者のみなさんの声も聞<ことは大切であると考えておりますので、種々の機会を通じて。意見聴取につとめるとともに、その仕組みづくりについても検討して参りたいと考えております。

 以上で、私の質疑を終わります。
 残余の問題は、委員会等で、ただしてまいりたいと思います。
 ご清聴、ありがとうございました。


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2006年12月8日 更新
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