市税条例・
特別土地保有税に関する
4議案にたいする質疑 
2006年6月議会

市税条例および特別土地保有税に関する4議案にたいする質疑

                            2006年6月6日

 日本共産党議員団の辻です。
 私は、日本共産党議員団を代表して、報告1号 「尼崎市市税条例の一部を改正する条例」の専決処分について、議案 第103号 「尼崎市市税条例の一部を改正する条例について」および、議案 第101号 「尼崎市特別職の職員で非常勤のものの報酬および費用弁償に関する条例および尼崎市特別職の職員で常勤のものの給与および旅費に関する条例の一部を改正する条例について」、 議案 第113号 「訴えの提起について」、質疑をおこないます。
 
 【市税条例関係】

 まず、報告1号、議案 第103号、市税条例に関しての問題です。
 
これまでの税制改革の影響は?

 今回の市税条例の一部改正は、国の「三位一体の改革」による地方税法の改正にともなうものであります。今回の税制改正により、所得税から個人市民税へ約3兆円の税源移譲が実施されます。
 
 【問1】
 これまで行われた税制改正による、@公的年金控除の縮小、A老年者控除の廃止、B控除対象配偶者にかかる配偶者特別控除の廃止、C定率減税の縮減の対象者、つまり増税になる人数と、増税になる金額は、それぞれいくらになるのでしょうか。まず、念のためお尋ねします。


【答弁要旨】
 税制改正に伴うそれぞれの対象人数と本市の増収額につきまして、平成18年度は既に平年ベースとなっている、公的年金控除の縮小につきましては、対象人数を約1万6,000人、増収額を約2億1,000万円、老年者控除の廃止につきましては、対象人数を約1万5,000人、増収額を約3億6,000万円、控除対象配偶者にかかる配偶者特別控除の廃止につきましては、対象人数を約4万7,000人、増収額を約4億2,000万円と見込んでおります。
 また、定率減税の縮減につきましては、平成19年度から平年度化されますが、対象人数を約19万5,000人、増収額を約8億9,000万円と見込んでおります。

住民税フラット化の影響は?

 さて、今回の税制改正で、個人住民税所得割りの税率は、現在の3段階から一律の10%へとフラット化され、一方で所得税の税率は、現在の4段階から6段階になり、所得税の課税所得額が195万円以下の税率は10%から5%に、同695万円超の税率は各段階で3%アップします。
 納税者から見ると、住民税と所得税を合わせたトータルでの負担の程度は、現行と変わらないものとなっていますが、個人住民税においてフラット化で「累進」をなくすのは、所得再配分機能を弱めるという問題点もあります。住民税だけみると、増税になる低所得者と、減税になる高所得者がでるわけです。
 
 【問2】そこでお尋ねします。
 フラット化で、増税になる人数と全体の影響額、減税になる人数と影響額、また尼崎市への影響額を増と減でいくらぐらいになると見込んでいるのでしょうか。お答えください。

 
  【答弁要旨】
 国から地方への税源移譲に伴う今回の税率のフラット化は、所得税と住民税を合わせた納税者個々の負担は変わらないことを基本としております。
 そうした中で、個人市民税における増減の内訳人数の把握は困難でありますが、本市への影響を平年度ベースで申し上げますと、増収額は約50億6,000万円、一方減収額は約13億3,000万円、差し引きいたしますと、約37億3,000万円の増収を見込んでいるところでございます。

 次に、公共料金の負担への影響の問題です。
 納税者から見ると、住民税と所得税のトータルとしての負担は変わらないという前提ですが、公共料金の負担への影響はどうでしょうか。
 
 【問3】住民税を基礎に金額が決められる公共料金、所得税を基礎に金額が決められる公共料金の種類ごとに、対象者人数と影響金額をお答えください。
 
 次に、市財政への影響ですが、市全体の増減を見るには、地方交付税もふくめた収支で見る必要があります。地方税が増収になれば、当然地方交付税は減らされることになります。
 
 【問4】そこでお尋ねします。
 今回の税制改正で、地方交付税等もふくめた市財政全体としては、収入が増えるのでしょうか。お答えください。

 
 
 
 【特別土地保有税関係】

 次に、議案 第101号、および、議案 第113号について、うかがいます。
 いずれも、特別土地保有税の課税徴収権の時効成立に関しての議案です。
 
1億2000万円の税金の課税権が消滅!

 この問題は、2004年9月議会の一般質問で飯田議員から、「尼崎市食満3丁目に所在するマンションの敷地にかかる特別土地保有税の課税に関し、市会議員の口利きによる不適切な取り扱いがあったのではないかとの質問があった。」ことに端を発しました。
 平成9年度に徴収すべき特別土地保有税1億2000万円が徴収されることなく、平成15年3月31日をもって徴収権が時効で消滅し、巨額な税をとり逃したという問題です。
 
 市長は飯田議員の質問をうけて内部調査をしましたが、事実関係が判明せず、尼崎市監査委員に監査を要求し、昨年12月にその報告が行われました。本議案は、その報告の指摘をうけて、尼崎市が対応している問題の一環です。
 特別土地保有税は、昭和48年から平成15年にかけて、土地の投機的な取得の抑制と良好な住宅等の供給の促進を目的に作られたものです。いわゆる当時問題になっていました「土地ころがし」を防止するためのものでした。

督促することなく時効が成立

 1991年から93年にかけて、藻川(もがわ)の堤に面した土地を買収した建設会社が、取得分および保有分について、平成9年に「市の開発指導に問題がある」として、特別土地保有税の課税留保を求めました。
 調査のため課税留保されましたが、調査の結果「市の開発指導に問題はなかった」との結論になり、課税留保の措置が解かれました。
 この土地に本当にマンションが建てられれば問題はなかったのです。しかし、建設会社は、その土地を他の企業に売却しました。この時点で、課税留保を取り消し、さかのぼって課税すべきであったにもかかわらず、市税務当局は、督促をおこなうこともなく、法定措置もおこなわず、時効が成立し巨額な税をとり逃してしまいました。
 
損害賠償と特別職の責任

 本議案は、当時の税務担当者である3名に延滞金をふくめ1億7000万円の損害賠償を求めると同時に、平成9年から11年度当時、あるいは時効が成立した平成14年度当時の市長、所管助役、総務局長の管理監督責任をふまえ、現在特別職にあるものの給与を引き下げるものです。
 
後任の役職者に引き継がれず

 私も、改めて監査の結果報告書を読みました。
 平成9年9月に建設会社が土地を売却し、当時の資産税課担当職員が徴収猶予の取り消しを起案しましたが、決済は途中で消えてしまいました。
 その後、平成10年1月ごろの「部長ファイル」に「調停をあげずに、納税通知を出し、折衝は続ける」との、いわゆる「部長メモ」が書き込まれました。
 監査結果は、この「部長メモ」として記された方針が、「市の徴収金を収入するために本来必要である調停を行わないことを内容とするものであり、この調停を行わなかったことが結果的に、いずれの後任者においても本件特別土地保有税が徴収されていないという事実を認識することができず、その時効消滅を回避し得なかった一因になったと考えられる」とのべています。
 調停を行わない、つまり滞納扱いになっておらず、しかも後任の担当職員に引継ぎもされていない中で、時効を迎えたわけであります。時効当時の役職者の何人かが処分をうけていますが、役職上の責任はあるとはいえ、ある意味、気の毒であります。
 
【問1】そこでお尋ねいたします。
 知らなかった、知らされなかったとはいえ、時効にいたったことについて、今回、市長自ら給与の引き下げを提案されていることから、その責任を重く受け止められていることと思います。
 こうした問題の再発を防ぐ上での市長の決意、心情をお聞かせください。

 
前市長にも道義的責任

 次に、道義的責任について、お尋ねします。
 引継ぎを受けなかったものの、時効を迎えてしまった責任として、関係役職者の処分がおこなわれ、また市長以下の給与減額が提案されています。
 それでは、徴収を行わなかった平成9年から11年の役職者の責任はどうでしょう。
 当時の担当職員は、裁判にかけられようとしています。また当時の所管助役も今回の給与引き下げの対象者です。
 それでは、当時の市長の責任はどうでしょうか。
 職員の処分は、退職者にまで行えないことはわかっています。
 特別職については、現在特別職にあるものは自ら給与減額の形とならざるを得ないことも理解しています。
 しかし、現在、特別職にないからといって、何の責任もないのでしょうか。
 市長は今回の給与減額で、財政再建のための減額のうえ、さらに今回の議案で給与を引き下げ、自らの責任を明らかにしようとしておられます。
 日本共産党議員団は、道義的責任については、時効はないと考えています。

【問2】
 そこでおたずねします。
 当時の市長についても、少なくとも道義的責任はあると考えますがいかがでしょうか。
 お答えください。

 
【答弁要旨】
 当時の市長につきましては、特別土地保有税に係る徴収手続きが取られていないという事実を、結果として看過したという点で管理監督責任を十分に尽くしたとは言えないと考えておりますが、重大な過失は認められず、既に退職していることもあり、責任を求めていかないと判断したものでございます。


とんでもない理由
「議会で追及されるから」と調停せず


 次に、市民との関係、市議会との関係、そして市職員の名誉回復の問題です。
 私、監査報告書を改めて読みまして、本当に腹がたった部分があります。
 それは「調停を行わない」とした理由について、当時の関係職員が述べているくだりです。
 一般論、あるいは推測としながらも、「未収になることの対応ではないか」「滞納が大きくなり議会でも問題になっていた」「課税してしまえばそれまでであるが、少しでも滞納を圧縮しようと収税課ががんばっている中で、滞納が増えることへの危機感や危惧といったものがあったのではないか」「税額が大きく、調停を上げて、徴収できなければ議会でも追及されることになる」等々であります。
 当時、バブル経済の崩壊、阪神大震災に見舞われたあとで、市民生活は、大変苦しいときでした。公共料金が払えない、それでも市職員は努力をして、役職者が、夜間、あるいは休日に市民のところへ出かけていって、市民を説得する、徴収をお願いする。大変な努力です。市民も、生活が苦しい中でもそれに応えていった。数万円、数千円の徴収のためにわざわざ出かけていったんです。
 議会も、平成11年度、12年度、「自主財源確保対策促進特別委員会」を設置し、滞納問題に取り組んでいました。
 市民も、市役所も、議会も、あげて滞納問題に取り組んでいるときに、8500万円もの税金、延滞金を含めると1億円をこえる巨額の税金を「議会で追及されるから」と、滞納扱いしない、隠す、その結果、時効で消滅させたことは、市民への裏切り、市職員の努力への裏切り、議会への裏切りではないでしょうか。とくに、地道に努力している市職員への信頼を大きく傷つけました。
 
 【問3】
 そこでお尋ねします。
 今回の一連の対応は、巨額の税金をとりそこなった責任をあきらかにすると同時に、不適切な事務執行により、市民の信頼を失ってはならない、貴重な財源を失うことで市政運営に支障をきたしてはならない、都合の悪いことは議会に隠してはならない――そうしたメッセージも込められていると理解していますが、いかがでしょうか。お答えください。


白井市長【答弁要旨】
 今回の特別土地保有税の課税取扱いに関しましては、市民の皆様の信頼を裏切る事態となりましたことを、大変申し訳なく思っております。
 本件に係ります管理監督責任を厳粛に受け止め、私をはじめ関係する特別職の給料等の減額をご提案申し上げているところでございますが、このようなことを二度と引き起こすことのないように、全職員が一丸となって、風通しの良い職場環境をつくるとともに、事務執行体制の見直しに取り組みはもちろんのこと、市民の皆様方と情報の共有を図り、信頼回復に努めてまいりたいと考えております。

 
  以上で、私の質疑を終わります。
 残余の問題は、常任委員会で会派議員が取り上げてまいります。
 ご清聴、ありがとうございました。
 
 

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2006年6月8日 更新
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