番外3
08年 予算委員会顛末記

2008年3月17日〜08年3月19日)


 08年度の尼崎市当初予算案を審議する予算委員会は、3月14日に総括質疑がおわりました。
 いよいよ議案にたいする態度を決めなくてはなりません。

 予定では18日火曜日に予算委員会を開き、各会派が意見表明したあと、採決する予定です。

 そのためには、「17日午後5時までに各会派の採決態度を提出してください」とのことですが、この時間までに出てくるのかどうかはわかりません。

 予算委員会で採決されるまでの議会の動きを追ってみました。


● 3月17日(月)どの会派も採決態度ださず

 日本共産党市議団では、問題となる点をピックアップし、検討した結果、指摘するべき点はたくさんありますが、市民の声もあり、他会派も問題にしている点も考慮して最終的に、@市民プール、A新高校建設、B給食調理の民間委託、C保育所民間移管、D常光寺小学校跡地活用、E国民健康保険での針灸助成に絞って臨むことにしました。

 ただし、保育所の民間移管については次の移管先を決める選定委員会の予算は組まれていませんので、補正予算などで出てきたときの問題になります。
 
 新風グリーンとは、常光寺小学校、学校給食、新高校建設、国保の鍼灸、市民プールでは一致できる可能性があるようです。

 この日の17時までには、どの会派も採決態度を提出しませんでした。明日の予算委員会は、とりあえず開会して、調整のため休憩になる見通しです。

● 3月18日(火)鋭意努力中

10:00 予算委員会


 予算委員会を開会。しかし各会派の態度が決まっていないので、すぐに休憩。この間40秒。

日本共産党の主張点

 その後、新風グリーン、虹と緑にたいし、日本共産党議員団の主張点として、@市民プール設計委託ほか441万円の「修正」、A給食調理業務選定委員会44万8000円の「修正」、B常光寺小学校跡地売り払い17億円の「修正または凍結」、C新高校建設費104億円の「修正または凍結」という考えを示しました。

 「凍結」の場合は、全会派の一致が必要です。また凍結の場合は「解除」の条件をどうするかの問題もあります。

 意見交換した項目は、市民プール、給食調理業務、常光寺小学校跡地、新高校建設費、国保の針灸等助成、高原ロッジですが、どうやらこれが焦点になりそうです。


15:30 予算委員会役員会

 予算委員会の役員会というのは、予算委員長と、3人の副委員長(分科会長兼任)、6人の分科会副会長で構成しており、各会派から出ているので、会派の意見を調整し、委員会運営も決めるなど、議運のような役割を持っているものです。

 各会派の状況を出し合ったところ、どこも「鋭意努力中」とのこと。

 今日中にまとまりそうにないので、とりあえず予算委員会をひらいて、今日は閉め、明日あらためて開会することを決めました。

 役員は引き続き、調整をするようです。

15:45 予算委員会

 再開してすぐに散会。

絞り込み

 新風グリーン、虹と緑と情報・意見交換をしましたが、どうやら国保と市民プールは一致できそうです。

 給食、常光寺、新高校をどうするかに絞られてきました。

18:00 予算役員会

 各会派の状況を出し合いました。

 新風グリーンは「できるだけ早くしたい」
 公明党は「いつでもできる」
 新政会は「いつでもOK」
 虹と緑は「明日の期限内でおさまるよう検討したい」とのこと。

 どうやら公明、新政は固まってきたようです。
 この日は、これでおしまい。

● 3月19日(水)ようやく「意見案」「修正案」

10:00 予算委員会


 開会後すぐに休憩。この間37秒。

 教育委員長が欠席し、その代行の教育委員も欠席です。当初、19日は委員会の予定が入っていなかったので、出席の調整がつかなかったようです。議席からいろいろ文句がでて、ざわついています。

虹と緑は個人で対応

 虹と緑の考え方も聞くことになっていたのですが、どうやら会派としての意見が一致しなかったようで、「個人で対応する」ということになったようです。

 情報・意見交換のなかで、「意見」か「修正」かということでは、ずいぶん絞られてきました。

11:45 予算役員会

 役員会の再開です。
 新風グリーンクラブから、「委員会意見案」と「修正案」、
 新政会と公明党から「委員会意見案」
 日本共産党議員団から「修正案」がだされました。

●(新風グリーンクラブの委員会意見案)

 「新高校建設についての予算特別委員会意見書案

 新高校の建設・開校については現在取組みが進められているが、子どもたちの期待が膨らむような状況が生まれていない、極めて中途半端な事業投資である。投資はしたものの、素晴らしい効果が期待できるという状況にないことを大変危惧しているところである。

 したがって、そのような危惧を払拭し、子どもたちや市民が夢を膨らませることができる状況を教育委員会の努力によって作られるまで、新高校建設予算は執行を凍結する。」


 なかなか微妙な表現ですね。

 質疑は、
 公明党「凍結の解除の判断は」
 新風グ「平成22年4月開校に間に合うような取り組みを教育委員会に期待したい」
 公明党「議会側の判断はどこで」
 新風グ「文教委員会もあるし、ここで決めなくても」
 共産党「修正案は出しているが、文面を検討するのに持ち帰る」

●(公明党、新政会の委員会意見案)

 「予算特別委員会意見案

1 はり、きゅう、あんま、マッサージの施術費助成については、これまで市民の健康を増進してきた経過を再認識する必要がある。特に高齢者の利用が多いことを考慮し、後期高齢者医療保険の被保険者を対象に助成制度を新設されたことは一定の評価をするものの、既存の国民健康保険事業での助成制度の利用制限を現行の年20回から8回に激減せず、1人年12回を限度に1回1,000円を助成されるよう措置されたい。

2 高原ロッジについては、6月に施設廃止に係る条例案の提出が予定されている。高原ロッジは、市民が自然の中で身近に憩える貴重な財産であることを踏まえ再検討を行い、その結果を6月までに議会に報告されたい。よって、それまでの間、高原ロッジ施設移管事業費、3,292万4,000円については執行の凍結を求める。

3 市民プールの整理統合については、市民プール5か所を廃止する唐突な提案がなされ、市民の間に混乱をもたらし、その後、代替案として6か所の小学校プールの開放を示されたものの、いまだ市民プールの廃止については、
充分に市民の理解を得ているとは言いがたい状況にある。そこで、平成20年度については、安全性が確保され市民プールが運営できるかどうか再度検討し、その結果を議会に示されたい。そのうえで、やむなく廃止することになっても、段階的に廃止すべきである。その際には、園田または額田の市民プールについては特に考慮されたい。
 さらに、小学校プール開放事業の運営結果についても検証し、その結果を議会に示されたい。よって、それまでの間、ワークショップなどの441万円については執行の凍結を求める。」


 質疑では、
 共産「国保で保険料は」
 公明「何人受けるかによるが、場合によっては一般財源。保険料は上げない」

 共産「市民プールについて、園田以外からも意見が出ているが、公明、新政は考慮にいれないのか」
 公明党「どうしても廃止する場合で安全性の問題などもあるが段階的に。園田は地域的に芦原でも遠いので配慮をしてほしいということだ。」

 新風グ「平成20年度の検討は、廃止するかだけか。プールを開くことは?」
 新政会「安全性をもう一度しっかり検討せよということだ。園田については地理的な問題を考慮せよということだ」

 新風グ「段階的に廃止する場合に考慮せよとは?」
 新政会「一気にではなく、段階をつけろということだ」

 新風グ「廃止の順番か」
 公明党「残せといっても安全でないと」

 共産党「高原ロッジについて、6月の設置管理条例をしてからにせよということか」
 新政会「6月判断をまって執行したらいい。まだ判断がわからないなかで、先にするなということだ」

● 新風グリーンの修正案

@ 常光寺小学校の売り払いは、市民合意が取れるまで執行しないよう削除するもの。
A 市民プールについては、441万円の削除だが、意見案がでているので抱き合わせ。意見書がまとまれば取り下げる。
B 給食調理業務の民間委託については、業者選定の44万8000円を減額する。ドライ化工事が終わった学校で、民間と直営でやってみて比較できるようにするもの。


 公明党「教育費の内容は」
 新風グ「選定委員会をやらない。ドライ化工事はするが新しい4校は直営でやる」


● 日本共産党の修正案

@ 常光寺小学校の売り払いは、新風グリーンと同じ。市民合意が取れるまで、あわてて出す必要がない。
A 市民プールについては、廃止後の活用を検討するワークショップと設計費441万円の削除。新風グリーンと同じ。
B 市立高校について、予算と債務負担行為あわせて104億円の削除。いまのままでは良い学校にならない。教育長が8月までにカリキュラムを出すといっているので、それまで執行する必要がない。意見書がまとまるかどうかもある。
C 給食調理業務の民間委託については、内容、理由は新風グリーンと同じ。


 各会派持ち帰って検討することになりました。

意見案の修正

 市議団に持ち帰って検討しましたが、公明・新政の「意見案」の3番目、市民プールについて、この表現だと段階的廃止を認めることにもなるし、園田だけ残すよう配慮するようにも受け取れます。

 そこで私が「この部分の文章を削除したらいい」と提案。それを持っていくことになりました。


15:00 予算委員会役員会

 ようやく役員会の開会です。各会派からの新しい資料が配られました。

 最初に新風グリーンからの「新高校建設の意見書案」についての各会派の態度です。

 公明党「乗れない」

 新政会「乗れない」

 共産党「文言の整理すればよりベター。協議する用意はある」

 虹と緑「財政が厳しい中で上積みというのは。文言の整理をしていただければ」

 委員長「一致しません。これはこの程度とします」

 次に、公明党と新政会の意見書案です。一部変更案がだされました。

 変更は「充分に市民の理解」が「市民の理解」に変更。

 もう一つは「そのうえで、やむなく廃止することになっても、段階的に廃止すべきである。その際には、園田または額田の市民プールについては特に考慮されたい」の文章が「その上で一定の案の提示を求める」に変えられました。
 これならいけそうです。
 

 共産党は「針灸、高原ロッジについては了とする。市民プールについては削除追加の文章で了とします。修正案から市民プールを抜く作業をしている」と表明しました。

 新風グリーンも新しい意見案でOKなので、修正案から削除する作業中です。

 虹と緑は、針灸と高原ロッジについては、いろいろ考えをいったけれど了解です。ところが市民プールで「安全性の確保は専門家を入れるべきだが」というので、新政は「それは相手が考えること」と回答。

 虹と緑は、「当局にお任せでは、はっきりしたことがわからない」というので、今度は共産党から「この文書でいいのか言ってもらわないと、全会派一致を前提に修正案を変える用意をしている。時間がいるならとってもらって考えてもらわないと前へ進まない」と提起。

 その結果、少し休憩して虹と緑が検討することになりました。
 
 3分ほど休憩して虹と緑が帰ってきて、文章の上では「了とする」ということで、全会一致で決着しました。
 これで、意見をつけるもの、修正案が出されるものが確定しました。
 
 「議案1号一般会計予算案」と「議案7号都市整備会計予算案」について、日本共産党と新風グリーンが、それぞれ修正案をだすことになります。

 「議案7号」については、内容が一緒なので、「共同にしようか」という話が出て、それなら役員会にでているメンバーで、日本共産党は早川議員と高橋議員ならこの場で決められます。ところが新風グリーンは塩見議員だけです。

 私が傍聴していたのですが、横に土田議員が座っていたの、指を刺すと塩見議員が「それなら土田議員。そこにいるやろ」ということで決まりました。
 
 あとで会派に報告していると、塩見議員が来て「共同提案だと主旨説明がややこしいので、やっぱり別にしよう」ということになりました。
 
 
16:00 予算委員会役員会

 役員会の再開です。

 修正案の訂正した内容の確認と、各議案の採決態様の一覧表の確認です。

 意見表明は、4会派でやるようです。虹と緑はやりません。

 事務局に聞くと「虹と緑は会派として対応せず個人の対応になるので、会派としての意見表明はしない」とのことです。

 すると早川議員は「意見表明して、一致するもので意見とりまとめをするのでは?」。

 事務局は「先ほど役員会で弘中議員の意見は表明されたということで理解を」

 早川議員「それならなんで採決一覧表に副議長の酒井議員の名前がでているのか」との問いに、事務局は「えっ?…」。
 しばらくして「それは間違いです!」。

 ばたばたと事務作業が行われているので、事務局も間違いが多いようですね。

尼崎方式

 役員会が始まる前の雑談で、塩見議員が「修正案が否決されたら、修正前の部分を含む予算を採決する方法は考えなあかんな」「44万円の修正案だしてあかんかったら、全部反対せないかん」といっていました。

 尼崎方式といわれる採決方法です。日本共産党議員団も前から問題だと思っていたので、見直す時期かもしれませんね。


16:45 予算委員会

  16時45分に予算委員会が再開され、18時10分に終了しました。

 各会派の意見表明のあと、日本共産党と新風グリーンの修正案が提案され、それぞれ採決がおこなわれました。
 
 結果は次のとおりです。

●全会一致で委員会意見採択
 @はりきゅうあんまマッサージの回数を年12回に。
 A高原ロッジの売却事務は6月まで凍結。
 B市民プールと小学校プール開放について検証して、なんらかの案を出すこと。それまで廃止後の設計経費は凍結。

●日本共産党の修正案(新高校、学校給食、常光寺小跡地売却)
 賛成  7 (日本共産党)
 反対 31 (新風グリーン、公明党、新政会、弘中議員)
 結果――否決

●新風グリーンの修正案(学校給食、常光寺小跡地売却)
 賛成 18 (新風グリーン、日本共産党、弘中議員)
 反対 20 (公明党、新政会)
 結果――否決

●修正案が否決されたので、原案について
 賛成 20 (公明党、新政会)
 反対 18 (新風グリーン、日本共産党、弘中議員)
 結果――可決

 わずか52.6%の賛成での可決です。採決の尼崎方式があるとはいえ、多くの問題を含んだ予算だといえます。


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住みよい尼崎のまちに
こんにちは辻おさむです
2008年3月23日 更新
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