斑入り用語辞典


 色々と斑入り関係の用語についてまとめてみましたが、趣味で維持しているサイトのため内容に間違いなどあってもご容赦ください。なお、斑入りの呼び名について古典園芸植物などでは、植物の種類により他の植物と同じような斑入りでも別の名称で呼ばれることもあるため注意が必要です。また、少しずつ内容を増やそうと思っていますが、諸事情からサイトそのものを突然閉鎖する可能性もあることをご承知おきください。

[ア行]
・曙斑(あけぼのふ)
 新しい葉が展開する際には葉緑素がほとんど無く鮮やかな斑入となるが、葉が成長するとともに葉緑素が増えて緑色になるもの。斑が入る様子を夜明けの曙光にたとえたもの。葉の成長に比べて葉緑素の合成が遅れることによる、遺伝性の斑である可能性が高い。

・ウイルス斑(ういるすふ)
 病原性のウイルスにより、葉や花に斑が入ったもの。一般に、斑入り部と正常部の境界が不明瞭なことが多く、種子では遺伝しない。斑入り植物の分野では、洋ランなどと違ってウイルスをあまり嫌悪いしないために、市販されている斑入り植物のごく一部にはウイルス斑と思われるものもある。ただし、境界が不明瞭であるからといって必ずしもウイルス性ではないので(例:ツワブキの星斑)、注意が必要。

・うぶ斑(うぶふ)
 葉の葉緑素が全く無くなったもの。詳しくは、「幽霊」を参照。

・黄金葉(おうごんば)
 突然変異などにより通常の葉に比べて葉緑素が少なくなると黄緑色(萌黄色:もえぎいろ)の葉になるが、これを少し大げさに黄金色に見立てたもの。ライム葉などとも呼ばれるが、斑として安定しているだけでなく種子親とすれば遺伝する可能性も高い。ただし、地味な斑入りであることが多いのは欠点であり、季節で緑色が強くなるものなどは一見して斑入りには見えないこともある。

[カ行]
・烏葉(からすば)
 葉に含まれるアントシアニンなどの赤色の色素が多くなり、本来の緑色と併せてカラスの羽根のように黒っぽい色になったもの。厳密には葉緑素が少なくなる斑入りとは異なる現象だが、園芸店では葉変わりの一種として斑入りと一緒に扱われることが多く、斑入りと複合している場合もある。赤色の程度などにより、銅葉やブロンズ葉などとも呼ばれる。

・クロロシス(くろろしす)
 栄養分の不足や真夏の高温などによる代謝異常のために葉緑素がうまく形成できず、葉の全体や一部が黄色や白色になる現象。枝の途中から葉の色が変わることが多く、正常な部分と変色部との境界が不明瞭であるため、一般の斑入りとの区別はあまり難しくない。秋になり気温が下がったり、微量要素を含む適切な肥料を与えれば、普通は新しい葉から正常に戻る。

・源平斑(げんぺいふ)
 葉の左右に斑入り部と正常な緑色部が明確に分かれたもので、源氏と平家が白旗と赤旗を掲げて戦をしたことになぞらえて、緑と白ではあるがこのように呼ばれる。ただし、実際に葉の中心からきれいに左右で色が分かれることは少なく、だいたいは片寄っていることが多い。なお、「源平」は本来は「紅と白」を意味するため、花桃などで紅白の絞り咲きや咲き分けになるものも源平咲きと呼ばれる。

[サ行]
・縞(しま)
 単子葉植物に特有の斑入りで、葉の根元から先端方向に向かって文字通り縞状に斑が入ったもの。この斑は基本的に平行脈の単子葉植物に限られる。葉脈に沿って斑が直線状に入り縞模様になるが、残念ながら不安定なことが多い。斑の入り方によって、刷毛目縞(はけめじま)や棒縞(ぼうじま)と言われることもある。

・図(ず)
 万年青の斑入りで図柄 (ずがら)とも呼ばれるが、葉に不規則なモザイク状の斑が入り凹凸があったりするためウイルス斑の可能性も考えられる。ただ、類似した虎(とら)も含めて普通に斑入りとして扱われており、斑入り愛好家としては単純に斑の美しさを楽しみたい。

・水晶斑(すいしょうふ)
 斑入りの状態ではなく、斑の色が純白で濁りなどないことを意味する表現。古くから朝顔の斑入りにおいて済んだ白色の斑を表すのに使われていたが、他の植物の斑入りでも使われるようになっている。

・砂子斑(すなごふ)
 細かい斑が葉に砂を撒いたように入ることから名付けられた。機構としては遺伝的な斑入りであることが多いが、いずれにせよこのタイプの斑入りは遺伝性が強く、斑入り株から採った種子を蒔けばかなりの確率で斑入りの植物が得られる。

・砂子覆輪(すなごふくりん)
 葉の周辺部に砂子斑が多く入ったもので、一見すると覆輪のようにも見えるため、このように呼ばれる。よく観察すれば、斑入り部と正常部の境目が直線的ではなく細かなモザイク状などになっているため、判別は難しくない。市販されているマンリョウの斑入りはこの砂子覆輪の品種がかなり多い。一般的な覆輪とは異なり基本的に遺伝性の斑入りであり、斑入りとしても非常に安定している。

[タ行]
・虎(とら)
 万年青の斑入りのうち葉に大小の雲のような斑が入ったもので、虎柄(とらがら)とも呼ぶ。斑と緑の部分の境界が少しボンヤリしておりウイルス斑の可能性も高いが、図柄 (ずがら)と同様に斑のない別の株に斑が伝搬することもほとんどないようで、普通に斑入り万年青として扱われる。

[ナ行]
・糊斑(のりふ)
 ユーフォルビアなどの多肉植物で表面に厚みのある白っぽい色の斑入り層が出来ると、まるで糊で覆われたように見えることからこう呼ばれる。斑入りの分類としては覆輪に該当し、一見すると緑色が目立たないが、陽に透かしたり良く見ると内部に緑色があることが分かる。葉緑素が内部にあるため、少しゆっくりになるが枯れずに成長する姿は美しく斑入りとして珍重される。

[ハ行]
・掃き込み斑(はきこみふ)
 細胞質遺伝による斑入りで、緑色の葉に筆で色を塗り散らしたように不規則に斑が入ったもの。多くは細胞内の葉緑体が一部変異して葉緑素が無くなったために不規則な斑となるもので、ある程度は母系で遺伝する。ただし、遺伝性の斑入りでもパッと見では同様の斑入りとなる植物もあり、細胞質遺伝と断定するのは難しい。こちらのホームページで、ある程度の大きさの斑が葉に不規則に入ったものは、とりあえず面倒だからと全て掃き込み斑と表現している。

・刷毛目縞(はけめじま)
 縞の中でも細かな縞が入ったものは、緑地に白色を刷毛で掃いたようにも見えるため、このように呼ばれる。派手さに欠けるものの、繊細で美しいだけでなく縞の中では比較的安定で、種子により遺伝する可能性も高い。

・覆輪(ふくりん)
 葉の周辺部を取り囲むように斑が入ったもの。周縁キメラによる斑入りであり、基本的に非常に安定で鑑賞価値も高いため、市販されている斑入り植物の多くはこのタイプの斑入りである。ただし、種子を蒔いても遺伝しないので、新しい斑入りを作り出すための交配親には使用できない。
 覆輪の幅は狭いものから広いものまで色々あるが、幅が狭く糸のような覆輪は、糸覆輪(いとふくりん)とも呼ばれる。

・棒縞(ぼうじま)
 葉に棒状の斑が入ったもので、ストライプのように入った斑は見た目では鮮やかだったりするが不安定で斑が消えてしまうことが多い。斑が消えても諦めずに栽培を続けていると脇芽などから再び縞が出てくることもあるため、元斑入りで緑一色になっても処分に迷う困りものだったりする。

・星斑(ほしふ)
 葉に夜空に煌めく星のように点々と斑が入ったもの。斑の境界が不明瞭なことも多くウイルス斑の可能性もあるが、市販品であれば問題ない斑入りであると考えられる。熱帯植物や樹林下などの薄暗いところで育つ植物などに良く見られることから、葉緑素が少なく本来は成長に不利な斑入りだが、開花時に昆虫を誘引するなど何らかのメリットがあるのではと思われる。

[ヤ行]
・幽霊(ゆうれい)
 葉の葉緑素が完全になくなり白色や黄色になってしまったもので、うぶ斑(うぶふ)やお化け(おばけ)、全斑(ぜんふ)とも呼ばれる。寄生植物なら他から栄養を盗って成長できるが、普通の植物は株全体が幽霊なら葉緑素がないため、成長に必須の光合成もできず枯れるしかない。斑入り株から幽霊の枝が出た場合は、早めに切り落とすことをお勧めする。ただし、多肉植物の糊斑(のりふ)など内部に葉緑素を含む層があれば、遅いながらも成長するため切り落とさず大事に育てたい。



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