・介護保険料 半年徴収せず
 財源、国の責任で 政府と最終調整

平成11年10月29日 読売新聞より

 自民、自由、公明の与党3党は28日、来年4月から実施する介護保険制度の見直しについて断続的に協議した。その結果、@制度実施からおおむね半年間は保険料徴収を行わない A徴収を見送る対象は65歳以上に限らず40−64歳も事実上含めることとし、これに伴う財政措置は国の責任で行う−ことで大筋合意した。これを受け29日未明、丹羽厚相、青木官房長官と3党の政策責任者が政府・与党間の最終的な調整を行った。家族介護に対する支援策は介護保険制度とは別枠で慰労金を支給する方向だ。29日の臨時国会召集までを期限としてきた介護保険制度見直し問題は一応の決着が図られた形だが、制度の財源について、あくまで保険料を徴収する「保険方式」を将来的にも維持するのか、税で賄う「税方式」に転換するかはなお流動的だ。

 介護保険制度の見直しをめぐり、自民党は28日の5役会議で
  @介護保険法改正を行わない範囲で見直す
  A来年4月1日から予定通り制度を実施する
  B地方に新たな負担をかけない
との基本的な方針を確認した。
 この後、自自公3党の政策責任者が同日午後から、都内のホテルで実務者を交えて協議した。同制度の「保険方式」を維持するよう求める自民党と、「税方式」に転換を主張する自由党との対立から調整が長引いたが、深夜までに、保険料徴収を行わない対象を政府・自民党案の「65歳以上」だけでなく、自由、公明両党が求める「40歳以上」に拡大することなどで折り合った。

 保険料の徴収を行わないことについては、「凍結」や「猶予」などの表現を使わないことでも一致した。これは、保険料の徴収を見合わせることを「凍結」と表現することが、将来の保険方式の転換につながるとの懸念を持つ自民党内の反対論に配慮したものだ。

 また、3党の調整の過程では、保険料徴収についての特別措置を3年程度継続することで、その間に3党で「保険方式」を維持するか、「税方式」に転換するかを最終的に決める先送り案も一時浮上した。保険料徴収を免除する半年間を過ぎた後も、65歳以上については、制度開始から3年程度の間、保険料の段階的な負担軽減措置を講じることを念頭に置いたものだ。

 これまでの3党協議で、自民党の亀井政調会長は保険料徴収の半年間程度の凍結、家族介護に対する慰労金を含む支援などを提案していた。政府・自民党は、制度の基本である保険方式の転換につながる法改正は認めない方針で、保険料徴収を見送る対象を40歳以上まで含めることには「法改正が必要」として難色を示していたが、3党の大筋合意を受け、法改正なしで可能な方法を検討する見通しだ。

 制度の財源については、自由党は介護制度の財源を消費税で賄う税方式への転換を念頭に1年間の徴収凍結を求め、公明党は在宅介護は保険方式、施設介護は税法式とする抜本的な見直しを求めていた。



  


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