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・介護保険料 全市町村に補助金
平成11年6月10日 読売新聞より
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来年4月から実施予定の介護保険制度で最大の懸案になっている保険料の負担問題で、65歳以上の高齢者が支払う保険料を全市町村で軽減する案が政府・自民党の中で浮上してきた。介護保険法で定められた国庫負担(保険給付費の4分の1)とは別に、新たに年2000〜3000億円を超える規模の財源を確保し、最長で3年程度の時限措置つきの補助金として全市町村に交付するというもの。制度の導入による負担増への不安感を和らげることが狙いで、政府・自民党はこの案を軸に調整を進め、来年度予算の概算要求に財政措置を盛り込む方針だ。
介護保険制度では、高齢者の保険料は各市町村がそれぞれ決定する。厚生省の試算では、全国平均で月額3000円弱、市町村間の格差は3倍前後とされている。保険料が高くなる市町村で反発が予想されるため、自民党内から、介護保険の実施先送りを含めて大幅な見直しを求める声が出ていた。
これを受けて、政府・自民党は、保険料が高くなり過ぎる市町村だけを対象に、一定の基準額を超えた部分の2〜3割程度を国が肩代わりする案を検討した。
しかし、保険料が高い市町村は、費用がかさむ施設介護の比重が高いところが多い。こうした市町村だけに絞って援助すれば、施設介護を必要以上に増やすことにつながり、ホームヘルパーなど在宅介護体制の充実で保険料を安く抑える努力をした市町村との間で不公平が生じるとの指摘も出ていた。
全市町村に補助金を交付する案によると、3000億円を超える財源を確保できた場合、高齢者が負担する保険料の平均はこれまで想定された半額の月額1500円程度に抑えられる見通しだ。政府・自民党内には高齢者の保険料だけでなく、40〜64歳の保険料を軽減するため、さらに財源を1000億円程度積み増しする案もある。
財源としては、介護保険制度の創設で国の医療保険負担が2000億円程度減ることが予想され、その分を使う案が浮上している。
政府・自民党はすでに、ホームヘルパーの確保など介護保険の実施準備が遅れている市町村については、来年4月の実施時期を遅らせる方向で検討している。
市町村の「十分な介護サービスを提供できず、住民の批判を受けかねない」という不安感を払拭するのが狙いだ。今回、これに加えて保険料の軽減措置を打ち出すことで、先送り論の沈静化を図りたい考えだ。
介護保険制度は、国や地方自治体の公費と、40歳以上の国民から徴収する保険料とで運営される。運営主体は市町村。10月に各市町村で要介護認定が始まり、来年3月ごろに各市町村が65歳以上の保険料を条例で決定する。
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