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・介護保険 市町村支援の検討本格化
平成11年5月31日 読売新聞より
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厚生省は、介護保険制度の来年4月からの実施に向け、市町村への支援策の本格的な検討に入っている。与野党内で衆院解散・総選挙への思惑から実施の完全先送り論などが浮上したことに対抗し、市町村の不安感を和らげることで、予定通りの実施を「死守する」(厚生省幹部)のが狙いだ。支援策は新たな財政措置で保険料を抑えたり、近隣市町村と協力して準備を進めやすくしたりすることなどが柱だが、課題は多く、市町村の自助努力の意欲をそぎかねない可能性もはらんでいる。
介護保険制度が導入されると、40歳以上の人は全員が保険料を払わなければならない。とくに、65歳以上の保険料は市町村ごとに異なり、全国平均で1人月額3000円弱と推計されているが、7000〜8000円程度のところが出るとの指摘もある。
自民党の亀井静香・元建設相が27日の講演で「(実施までに)問題を解決できるか、理解をいただけるか、抜本的に検討する必要がある」と疑念を示したのは、保険料負担に国民の反発が強まるという懸念があるからだ。
自由党は保険料を徴収せず、財源を全額税でまかなうべきだとの考えで、小沢党首は26日の記者会見で「全面的に見直すべきだ」と述べた。公明党内でも実施先送りも視野に見直しを求める声が強まっているため、保険料問題は今後の「自自公」の連立協議での焦点になりそうだ。
厚生省は、国の補助金などで市町村の保険料を引き下げる案を検討中だ。介護保険制度創設で、国の医療保険負担が2000億円程度減ると予想されるため、一部を財源とすることも考慮している。また、個々の高齢者の介護の必要性を認定する要介護認定など、複数の市町村が共同で取り組んだ方が効率が良いものについて実施される「広域協力」について、3年程度の時限措置とすることを前提に
@事務費用などを国が補助する
A保険料を統一する場合、保険料の一部も補助する
などを検討している。
家族がヘルパー資格を取得し、自宅以外でのヘルパー活動時間が自宅での介護時間より多い場合などに限り、家族に対する介護も特例的に報酬を出す制度を設ける方針。過疎地などでホームヘルパーが十分に確保できていない市町村から、高齢者を家族が介護した場合、保険から報酬を給付してほしいという要望が強く、これを受けたものだ。
しかし問題は多い。保険料は本来、サービス費用がかさむ施設介護の比重が高い市町村ほど高額になる。こうした市町村を重点的に支援した場合、ホームヘルパーなど在宅介護体制の充実で保険料を安く抑えようと努力してきた自治体との間で不公平が生じる。
「広域協力には個々の自治体の責任があいまいになりやすい欠点があり、保険料を統一しても、介護施設や人材確保の進み具合が自治体によってまちまちだと、住民の不満がかえって高まる可能性もある。
家族介護に対する特例的な報酬制度も、有識者などからは「外部の介護サービスによって家族の介護負担を減らすという制度の趣旨に反する」という批判がある。市町村が安易に家族介護に頼り、ヘルパー確保などの努力がおろそかになりかねないという指摘も出ている。
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