介護保険自己負担 上限、月3万7200円

平成11年5月20日 読売新聞より

 来年4月にスタートする介護保険制度で、厚生省は19日、介護サービスに対する利用者負担額(費用の1割)が過大となるのを防ぐため、利用者の所得区分別に負担額の上限を示した「高額介護サービス費制度」の案をまとめ、医療保険福祉審議会の老人保健福祉部会に初提示した。厚生省では近く同審議会に諮問し、夏ごろに答申を受けて政令で定める考えだ。

 同案によると、上限額は一般の被保険者の場合は月額37,200円。低所得者層はさらに負担を軽減することとし、同一世帯に住民税課税対象者がいない人は月額24,600円、生活保護や老齢福祉年金の受給者は同15,000円を上限としている。いずれも、受けたサービスの利用料が上限額を超える分については、市町村の保険会計から補てんすることになる。
 また、同一世帯に介護サービスを受ける人が複数いる場合、世帯の負担の上限は1人分と同額となる。

 介護保険制度では、低所得者を中心に利用者の負担の軽減が課題。厚生省では医療保険制度の高額療養費制度に準じて上限額を設定することにした。

 厚生省では、この上限額を適用し、平均的なサービスを受けた場合の自己負担額を試算。それによると一般の被保険者の場合、在宅介護では最も重い要介護者でも1割負担は約35,000円と見込まれ上限に達しない見込みだ。また施設に入所して介護サービスを受けた場合では、最も負担が重い長期療養対応の療養型病床群に入所すると、負担額の平均、約40,000円が上限の37,200円に圧縮されることから、保険給付の対象外の食費(約23,000円)を合わせた負担額は約63,000円から約60,000円に引き下げられる計算になるとしている。


<上限額を設定した後の平均的な自己負担額>
      (厚生省試算、数字は月額、単位は円、100円以下切り下げ)

要介護度、利用施設 一般被保険者 住民税非課税世帯 老齢福祉年金受給者
要支援
(浴槽の出入りなどに一部介助必要)
 6,000  6,000  6,000
要介護 1
(排泄や入浴などに一部介助必要)
17,000 17,000 15,000
要介護 2
(1人で立ち上がれないことが多い)
20,000 20,000 15,000
要介護 3
(立ち上がりや歩行が1人でできない)
26,000 25,000 15,000
要介護 4
(排泄、衣服の着脱などに全介助必要)
31,000 25,000 15,000
要介護 5
(生活全般に全介助が必要)
35,000 25,000 15,000
特養老人ホーム 50,000 40,000 24,000
老人保険施設 53,000 40,000 24,000
療養型病床群 60,000 40,000 24,000


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