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市区町村の要介護認定
76%が広域化で対応
平成11年4月20日読売新聞より
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来年4月に導入される介護保険制度で、全市区町村の76.1%、2,477市町村が、高齢者の介護の必要性などを判断する要介護認定を近隣市町村と共同で実施、広域行政方式取り組むことが、読売新聞社の全国調査で分かった。うち375市町村(全市区町村の11.5%)は、介護サービスはもちろん、保険会計も統一して制度運営全体を共同で行う完全一体化方式とする方針。介護保険の実施主体は本来、個々の市区町村だが、財政難、人材不足を背景に、制度運用の広域化はさらに拡大する見通しだ。
調査は先月、47全都道府県を対象に実施。全国3,255市区町村(区は東京特別区のみ)の取り組み状況を集計し、広域化に対する考え方などを聞いた。
調査の結果、介護の必要性や等級を判断するため、10月から始まる要介護認定業務の広域化は、全都道府県にまたがる2,477市町村が452グループに分かれて対応する。広域化率100%は青森、長野、島根、鳥取、香川、佐賀、熊本、大分の8県。27道県で同80%を超え、5割未満は東京、大阪など大都市圏の10都府県。
うち、介護サービスも近隣市町村と共同で実施、65歳以上の保険料も同額にして保険会計を統一する完全一体化方式は、20道府県の49グループ375市町村。財政基盤の弱い東北、中部、北陸、九州で目立ち、富山。島根、福岡の3県では8割近い市町村が参加する。
広域化の長所としては、
@認定審査委員など医療・福祉の専門家の人材確保
A保険財政の安定化
B65歳以上の保険料の不均衡解消
が上位を占めた。
しかし、完全一体化方式には慎重な自治体も多い。介護に必要な施設や人材確保の進み具合が市町村によってまちまちで、実際に介護サービスの水準を同一に保つのは難しいと見られるためだ。介護保険法が市町村単位での取り組みを基本としている点を踏まえ、「保険料は同額なのに、提供できる介護サービスが市町村によって異なるという別の格差が生じる場合もあり、簡単にはいかない」(福島県介護保険準備室)との意見も聞かれる。
厚生省の高井介護保険制度施行準備室長は「小規模自治体の場合は事務の効率化など広域化のメリットが大きい。しかし、保険会計まで統一するのは、保険者としての市町村の責任感が薄れてしまう心配もある」と指摘している。
<堀田力・さわやか福祉財団理事長の話>
「要介護認定の広域化はいいが、保険会計統一の是非を判断するには、広域化で本当により良い介護を、より安く受けられるか、見極める必要がある。そのためには、単独と広域の費用、サービス内容を比較した試算結果を住民に提示しなければならない。なのに自治体はその努力を怠っている。住民は絶えず広域と単独の長所、短所を比較して行政の姿勢を問うことが必要だ」
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