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ドナーカードの限界
10人確保に1億枚/自由配布に限界
平成11年2月26日読売新聞より
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1997年10月施行の臓器移植法では、臓器提供の生前意思は文書で示さなければならないことになっている。遺書でもよいが、厚生省、日本臓器移植ネットワークは「臓器提供意思表示カード(ドナーカード)」を作成、各都道府県機関などを通じて98年末までに2800万枚を配布した。しかしカードに脳死での提供を記入していても、家族が反対すれば臓器提供者にはなれず、今回はそのいずれもの条件がそろって、初めて移植を前提にした脳死判定作業に至った。法施行後1年4ヶ月かかったことで、ドナーカードの問題が改めて議論されることになりそうだ。
同カードはテレホンカード大で、裏面に
@脳死判定に従い、臓器を提供する
A心臓停止後に臓器提供する
B臓器提供しない
−の3つの項目が書かれ、それぞれの番号を○で囲む。
@Aのケースは心臓、肺、肝臓など提供する臓器を選ぶことになっている。署名年月日や本人署名欄への記入が必要。15歳以上であれば、意思表示できる。記入後に気が変わったら、破り捨てても差し支えない。
遺書の場合、すぐに意志確認できないケースも多いと考えられるため、現実的には同カードを持っていて脳死移植がスタートすることになるだけに、普及や正確な記入が重要な課題とされてきた。
現実に、脳死段階で全臓器を提供する意思を示したカードを持ちながら、一部に記入漏れがあったため、移植につながらなかったケースも出ている。
日本移植学会カード普及委員会は、年間10人のドナーが出るためには、1億枚の配布を要すると試算。今年からはカードと同様のシール約25万枚を全国に配布、運転免許証に貼るよう呼びかけている。しかし初めから自由配布制の限界を指摘する声もあり、家族が反対すれば、本人の意思に反する結果になることも考えられる。
米国では、免許取得・更新時に意思表示をすることになっている。我が国も、いち早く脳死を人の死と認めた欧米並みのシステムにすべきという意見もあるが、すぐさま国民のコンセンサスを得るのは容易ではないと予想される。
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