「生命保険 増える選択技」 その2

11/15付読売新聞より

 健康かどうか、たばこを吸うかどうかなど、体の状態によって保険料(掛け金)が変わる新しい生命保険が相次いで発売されています。保険会社が「健康体」と認めれば割引率が高くなる保険だけでなく、逆にどんなに重い病気にかかっていても入れる保険も登場しています。これまでにない保険だけに、戸惑う人も少なくないでしょう。そこで、こうした保険の内容を点検するとともに、どんな点に気をつけて選べばいいかを数回に分けてまとめてみました。

 「一病息災」
 
 重病では、入れないが、軽度の疾病であれば、医師の診査もなく、告知のみで契約できるという保険もある。
 代表的なのが、住友生命保険の「一病息災R」(15年、20年満期)だ。この保険は特別養老保険で、40歳以上が対象になる。
 保険料は普通の保険と同じ水準に抑えてある。しかし、満期を迎えるまでに死亡すると、保険金は、普通の保険より少ない。
 だが、無事に満期を迎えたときの保険金は従来より最大8%程度高い。「一病」を抱えながらも、長生きしたら多くの保険金がもらえるわけで、まさに一病息災だ。

  「保険料の要素」

 ところで、保険料はどうやって決まるのだろうか。保険料は、1.どのくらいの人が死ぬかの予定死亡率  2.集めた保険料をどのくらいで運用できるかの予定利率  3.販売などのコストにどのくらいかかるかの予定事業率 −の三つの要素で決まる。
 病気の人が入る保険は、予定死亡率が上がる。だから、保険料を高くしないと、生命保険会社はやっていけない。アリコの保険がその例だ。逆に、契約者に健康な人が多いと死亡率が低くなる。それが、次に紹介する「吸いません」や「健康体割引」だ。
 
 「健康な人には」

 たばこを吸わない人の保険は、第百生命保険の「すいません」とアリコジャパンの「クラブ・ノンスモーカー」で、いずれも、保険料が少し安くなる。「私はたばこを吸わないのに保険料が同じなのは不公平だ」と考える人に受けて、ヒットしている。
 「健康体割引」は、大同生命が10月から始めた商品で、定期保険に加える特約の形をとる。
 大同はまず、会社のリストラで事業費を削減し、それによって、通常の保険料を最大20%下げた。
 そこへ、加入時に血圧値、体格、尿などを検査し、いずれも一定の値に入る「健康体」と認定すれば、保険料の下げ幅を拡大し、最大25%まで下げる。「健康体」は契約者の7割程度になるという。
 さらに、「過去1年間に全く喫煙していない」場合は、「非喫煙健康体」とし、下げ幅を一段と広げ、最大34%の割引になる。
 ただし、この34%という最大割引率は、たばこを吸わない健康体の38歳の男性が保険期間10年で契約した場合だ。もっと若い、たとえば21歳の女性の場合、10年満期では、たばこを吸っても吸わなくても健康体割引は約15%にしかならない。若い人は事故で死亡するケースが多く、健康かどうか、たばこを吸うかどうかで、短期的な死亡率にほとんど差がないからだ。この健康体割引は保険金額3000万円以上の契約のみだ。
 
 日本も高齢化が進み、病気とうまくつきあいながら、長生きする人も増えている。それに合わせ、生命保険も新種が登場し、選択技が増えた。保険に入るときは、自分に何が必要か、これまで以上に、考える時代になっている。

*大同生命 「健康体」 の基準の一部*

体格
・身長160センチの場合、体重が47キロから67キロ
・身長170センチの場合、体重が53キロから76キロ
血圧
・40歳の場合、最低が90未満で、最高が140未満

*住友生命 「一病息災R」 の契約基準の目安

高血圧症
・治療中、投薬中であっても、合併症がなく、血圧値のコントロールが良好
糖尿病
・治療中、投薬中であっても、食事療法などにより、合併症がなく、血糖値のコントロールが良好。ただし、インスリン治療中の場合は引き受けられない
胃かいよう
・手術を受けたことがない。治療中、投薬中は引き受けられない

*非喫煙者の定義*

アリコジャパンは、過去2年喫煙していないこと
第百生命は、過去1年喫煙していないこと


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