まだ検討中の段階です。
予備に買った球を利用して何か作ってみようということで、かつさんの「クロス・シャント・プッシュプル(CSPP)」の解説に掲載されていた嶋田さんのCSPPを参考にしています。
掲載の回路ではカソード側は抵抗になっているのですが、私としては、対アースの電源電圧が高くなるのが嫌なので、Nontaさんのアドバイスでカソード側にもコイルを入れるマキントッシュふうを検討してみることにしました。 カソード側のコイルは自作可能とのお話もありましたが、プレート側と同様に既製品のプッシュプル用小型出力トランス(以下OPTと略)を使用する予定です。
参考にした嶋田さんのCSPPは、初段6AU6の差動に出力管6550を乗せた一見通常のプッシュプル回路のように見えるものですが、一方の出力管のカソードと反対側の出力管のプレートを互いにクロスに接続したコンデンサにより、交流的にクロスシャント動作になるとのことです。
これは、二本の出力管のカソードとプレートを互いにコンデンサでクロスに接続した回路(図A)は、OPTを中心に互いに逆向きに繋がったかたちになり(図B)、コンデンサで接続された双方のカソードとプレートは交流的にはショートの同電位で、双方の逆向きの球のプレート・カソード間には同電圧がかかっているので、OPTのコイルを抵抗に書き換えれば図Cのようになり、間に入ったRLには直流電流は流れない回路になる、ということのようです。
コイルがカソード側に入った場合も同様なので、プレート側とカソード側に二本のコイルが入った場合、コイルは並列にしてもインピーダンスは同じなので、一つの球が一本づつコイルを負担すると見なせば、負荷は公称インピーダンス通りのOPTが使えるはずです(たぶん?)。
ということで、出力管は手持ちの6AH4-GTとして、ぺるけさんのマニュアルにあった6AH4の特性図に、5KΩの出力トランス(OPT)の負荷ラインを引いてみます。 下図のように動作点をプレート電圧(EP)270V、プレート電流(IP)26mA、バイアス25V程度としたAB級動作です。
プレート側とカソード側コイルの直流抵抗の電圧降下を見込むと、プラス側の電源電圧(B+)は約280V程度とします。
出力管のドライブは差動ドライブとし、ドライバ管のプレートを出力管カソードに繋ぎ、出力管バイアス抵抗をマイナス側からドライブするかたちです。 ドライバ管は、6SN7-GTBとして、同類の6FQ7のK.ameさんの実測図に動作ラインを引いてみます。
ドライブ電流を2mAとして、出力管の動作点バイアス25Vを作る負荷抵抗を12.5KΩとし、スイング余裕のアイドリング電流を0.5mA見込んでドライバ段差動の電流は片側2.5mA、計5mAの計画です。 また、ドライバ管は、出力管のバイアス抵抗を負荷とするともに、出力管カソードの5KΩOPTの振幅に合わせて動くことになるので、26mA×5KΩOPTを2mAでドライブすることに等しいとして65KΩ(26mA×5KΩ÷2mA)のロードラインを引くことにします。
下図からドライバ管の動作点は、バイアスが約10V、プレート電圧が210V位になり、動作点の出力管バイアス抵抗の電圧降下分25Vと出力管カソードの電位からドライバ管カソード電位は大よそ−230V、ドライバ管のバイアス動作代を20V少々と若干の余裕を見込んで負側の電圧は−255V程度としています。
CSPPの出力段は、プッシュプルの2本の6AH4のそれぞれのプレートと、カソード間に出力トランス(OPT1、OPT2)を繋ぎ、カソードと相手側のプレートを相互にコンデンサーでクロス接続したかたちです。 出力は、プレート側(Out1)、または、カソード側(Out2)、もしくは、Out1とOut2の並列取り出しのいずれかになります。
出力管のドライブは上述のように出力管カソードに繋いだ6SN7-GTBによるマイナス側からの差動ドライブです。 直結によるドリフトを避けるため、2本の定電流源を無極性コンデンサで繋いだAC差動とし、プレートの負荷になる出力管バイアス抵抗は12KΩの固定抵抗と1KΩの可変抵抗器に分けて出力管のバイアス調整ができるようにしています。 また、上述のように互いに反対側プレートから約0.5mAのアイドリング電流を供給するかたちにしています。
ドライバ段がマイナス側になるため、初段はPチャンネル・デュアルFETの2SJ109-GRの差動をPNPトランジスタの2SA1145でカスコード・ブートストラップし、ドライバ段の6SN7-GTBのグリッドに直結する構成です。 耐圧の関係で2SA1145(VCEO=−150V)のカスコードは電圧を分担させるため3段積みにし、ブートストラップは定電流ダイオード(CRD)で各バイアス抵抗に流れる電流を固定しています。
図2:6AH4-GT CSPP回路図